審判だけは、ある意味において世界水準横浜FCvs岐阜(10月23日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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■前半

この試合は、要するにJ2の中位vs下位という構図だったわけで、当然のことながらハイレベルな応酬などといったことは期待すべくもなく。特に前半は両チームともボールが収まらなかった。お互いがボールを相手にプレゼントしあっているような、そんな印象さえ否めなく。

岐阜に関しては、‘弱者の戦術’といいますか、そもそも、‘繋いで繋いで’ってサッカーを志向してはいない様子で、‘少ない手数でシュートまで!’って雰囲気。変にこねくり回して危険な位置で失うことだけは避けようということだったのでしょう。ボールを奪うとサイドのスペースに走らせるので、‘収める’という作業は回数が少なくなる。

一方の横浜FCは、中盤の面子や、トップに小野瀬を使ったり、SBに武岡を使ったりするわけですから、ポゼッション戦術だったとは思われますが、その割には簡単にボールを失う。テクニシャン系の選手らしく逞しさが足りないというか、チェックを受けるとすぐにボールを失っていました。

全体的にボールを収められない中、わけても、その納められなさ加減にフラストレーションを感じさせられたのはトップに入った黒津。CFとして使われいるんだし、ポストワークをするなり、スペースに出たボールをしっかり攻撃に繋ぐなりすることが彼の役割だと思うのですが、まぁ、収まらない。

スペースに出したボールに追いついたかと思えば、次の瞬間に相手DFがカラダを寄せてきた途端に失ってしまう。スピードを生かすわけでもなければ、キープ力を発揮するわけでもない。「だったら、カズの方がリズムを作れんじゃない?」とか思ってしまったわけですが、黒津は黒津で意地を見せます。

後半の35分過ぎ、コーナーキックからのチャンスで貴重な先制点を挙げたのですね。しかも、そうとうにアクロバティックで難易度の高いシュート。一応、これで相殺されたことになるのかな、みたいな。後半、PKも決めてますし。

■後半

先制された岐阜は後半に入ると、右サイドを崩して、最後は染谷が同点ゴールを決めます。前半から染谷はカウンターの起点として局面を打開すべく奮闘していましたね。この選手の魅力は運動神経が良さそうなところでしょうか。動きがキビキビしている。反射神経とか、空間認知能力とかに優れているっぽいので、サッカー以外の競技をやっても一流になりそう。

また、サイドアタックが有効だったのも、前半から引き続く現象。横浜FCの中盤(寺田・佐藤・高地・小野瀬・野崎)は比較的スタイルの近い選手たちですから、頻繁にポジションチェンジを繰り返します。それ自体は流動性を生んで良いのですが、あまりにも頻繁すぎて、却ってサイドの守備は誰が責任を持つのかって部分が曖昧になってしまっていたように思います。なんせ、みんな真ん中に入っていくのが好きそうな面々ですから、サイドがしょっちゅうお留守になっていた。

その後、黒津のPKで再びリードを許した岐阜ですが、そのまま引き下がりはしません。途中投入されたスティッペが殊勲の同点ゴールを奪います。で、追いついた後もスティッペはノリノリ。かなり荒削り系の選手に見えましたが、ターゲットとして攻撃を牽引しました。しかし、そのスティッペの快進撃を止める出来事が。相棒役の中村が2枚目のイエローで退場してしまいます。

そうなると岐阜としては防戦一方。そもそも勝ち点1で御の字というプランだったでしょうから、これ以降はひたすら専守防衛横浜FCの猛攻を堪え忍びます。ロスタイムに入ってからの放り込み跳ね返し大作戦は見ていて心を打つレベル。中でも樋口の奮闘は目立ちました。もともと2トップの一角として先発したのですが、スティッペの投入により左SHに。そして、数的不利になってからは、左SHとして守備に奔走し、FWとしてカウンターに走るという一人二役を見事にこなしていました。覚えておきたい選手です。

■日本代表への推薦状

□推薦者

・長谷さん(主審)

□推薦理由

前半から岐阜にばかりカードが出る。そして後半のPK。遠目からなので確認できませんが、見た感じ正当なタックルだったような。で、その挙げ句に中村への退場通告。2枚目は異議か何かだと思いますが、厳しすぎるような印象がなくもなく。要するに、結果的に横浜FCを一方的に利するジャッジが多かった。

ここで思い出されるのが、数年前まで‘世界最高’と賞賛されていたコッリーナさん。この‘世界水準そのもの’ともいうべき名レフリーも、ホームアドバンテージをしっかり斟酌することで知られていました。日本人は良くも悪くもバカ正直で、「アウェイで不利になりながら、ホームではそれをやりかえさず、公正に差配する」なんてことを言われがちですから、こういうしっかりホームアドバンテージを取る‘世界水準’のジャッジをする長谷さんは、日本が世界に近づくために必要不可欠な人材なのではないでしょうか。(もちろん皮肉です)