暑かったですねぇ。iPhoneが「本体温度が下がるまでムリです」みたいなことをいいやがんの。
■前半
直近は味スタでの観戦が続いていましたので、その目に慣れてしまっている身としては、三ツ沢って、ホントに見やすい。専スタだから当たり前かもしれませんけど、その中でも三ツ沢って、特に見やすいと思うのですよ。ただ、ですね、上述のように、ひたすら暑かったんで、どうしても見る側としても集中力が散漫になるわけで。見る側ですらしんどいんですから、ピッチの中で走り回っている選手の皆様方は、そりゃもう大変ですよね。
そんな酷暑の13:00にキックオフ。序盤は横浜FCがイニシアチブを握りました。「真ん中で収めてサイドに振って、センタリングに飛び込む」って形が最初の5分間くらいだけで何度か作り出せていました。ただ、これだけ暑いと、あまり機敏に動けませんから、ついついカラダとカラダをぶつけ合うってシーンが増える。そういう中で、横浜FCはFWだか、トップ下だかで先発していた野村が太ももをぶつけて交代を余儀なくされ、それとともに全体的にトーンダウン。
一方の大分が展開していたは、こういう暑いコンディションだと、いささか厳しいサッカー。「ワントップの後藤にボールを収めてもらう」ってスタイルのサッカーでないので、ボールの落ち着かせどころがなかった。なので慌ただしく上下動を繰り返さざるをえない。そこで、前半の半ば過ぎからは、アンカーのダニエルがCBの高さまで下がってボールを持ちます。それによって預けどころができただけでなく、何度か脅かされていた西の裏のケアも可能となりました。
■後半
ところで、結局、人間の“やる気スイッチ”って、どこにあるですかね? 「見つけえてえ〜あげるよ」っつって、本当に見つけられれば苦労はしないわけですけど、田坂監督はトリニータ戦士のやる気スイッチの場所を心得ている模様。よくわからないんですけど、大分は後半になって、突然、前線のプレスが連動するようになった。こういう情景を見ていると、ついつい「できるなら、最初からやれ!」って言いたくなりますが、それは言わないお約束。
一方、横浜FCの山口監督もチームのスイッチを押す技術を身につけているらしい。こちらは我々の目にも見えるスイッチ。内田に代えて小野瀬を投入するくらいのタイミングで野崎をサイドに出して、松下をトップ下に移動させます。真ん中に移った松下は熟練の技術と経験に裏打ちされたポジショニングでチームの潤滑油として機能していました。こちらの変化、“スイッチ”は、ひたすらロジカルな変更。“スイッチを入れた”というより、“ギアを切り替えた”といった感じでしょうか。
まあ、“やる気スイッチ”が見つかるかどうか、あるいは、見つかったところで、それでスイッチが入るかどうかなんて“神様のイタズラ”みたいなところがあります。“自分のやる気”ほど自分でコントロールできないものはないですから。そういうところ、神様はイジワルなのです。そんな“神様のイタズラ”に翻弄されたのが、トリニータの安川。相手の突破を止めてイエローを貰うと、そこからのセットプレーのピンチで、今度は自らオウンゴールを叩き込んでしまった。受難ですな、受難。
そうなると、失点の原因となった安川とか、熱き心を持つダニエルとかは前に出てしまう。この2人が前半からいろんなバランスを整えていた大分ですから、これで一気にバランスが崩れる。そこで、田坂さん、今度は風間を投入してシステムをWボランチにして、バランスの再修正を図ります。そうやって、最後まで、冷静に我慢強い采配を捨てなかった田坂さんに対し、神様はイタズラではなくご褒美を与える気になったらしい。若狭のゴールで引き分けに持ち込みました。
■日本代表への推薦状
□推薦者
・野崎陽介
□推薦理由
この試合、早々に野村が負傷交代したことでスクランブル投入されたアタッカー。別にそこまで凄いプレーをしていたわけではないですけどね。ただ、プレースタイル的にはアギーレが好きなタイプなんじゃないかなと思いまして。この選手のプレースタイルを一言で述べるなら“無駄走りとアジリティー”ということになろうかと思います。運動量があって、献身的で、かつ、相手の嫌がるスペースに走り込んでいくことができる、そういう選手です。
現在の日本代表で言うと、岡崎が近いっちゃ近いんですけど、少しディテールが違って、岡崎が「力強い」というイメージなのに対し、野崎の場合は「すばしっこい」といった印象が強い。いずれにせよ、ハードワークのできるセカンドトップですね。で、ポストプレーヤーなら大迫とか、本田とか、皆川も含めてそれなりに攻守に計算が立つんですけど、セカンドトップタイプとなると、宇佐美とか柿谷とか、香川も含めて、ハードワークには不安がある。なので、岡崎以外にも、こういうタイプが必要かな、なんて思います。