「スキスキスー」(by細川ふーみん)みたいな囲碁将棋横浜FMvs広島(10月19日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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首位攻防戦となったこの試合を、一言で表現するならば‘大人の試合’。ハイテンションなぶつかり合いでは決してないが、静かなる緊張感で張り詰めた、そういう試合でしたね。まず、涼しくなった季節の、しかも序盤だというのに、両チームとも意図的にゆっくりゲームを進める。中でも象徴的だったのが、富澤のボールコントロール

広島がブロックを形成した状態でボールを持つと、その場で止まった状態にてボールキープ。相手のフォアチェックをおびき出してからバックパス、みたいな。同様のプレーは俊輔にも見られましたが、こういう、一見すると‘なめ腐った’スタンスのプレーが、この試合、‘大人の試合’の両チームのあり方を如実に示している。そして、そうやって、良いようにあしらわれているように見えて、なんでかんだで、その‘なめ腐った’いなしにも、ちゃんとプレスをかけてミスを誘発する佐藤寿人も、また大人。

そんなこんなの展開が、90分ずっと続きます。90分は言い過ぎだとしても、スコアが動いた後半10分までは、少なくとも、そう。もうね、緊張感が溢れ過ぎてた。なんだか、日曜日の午前中にチャンネルをひねっていたら(チャンネルを‘ひねる’って表現、どのくらいの世代にまで通じるのだろうか。昭和60年代生まれには、もう通じないんだろうなぁ)、うっかり教育テレビに合ってしまい、将棋中継を見入ったときに感じる緊張感ですよ。横浜が羽生名人なら広島は谷川竜王、みたいな。

あるいは『ヒカルの碁』を読んでいたら、こういう気持ちになるんですかね。如何せん読んだことがないので分からないですけど。その場合、横浜なり広島なりのどちらかが『ヒカルの碁』の主人公(推定、ヒカル君)に相当するのでしょう。ともあれ、お互いが虎視眈々と相手の隙を突き合う。そして隙を突いてきた相手の隙を更に突き返す、そういう展開。見てる側としては疲れて仕方ない。

■後半

こういう展開になると、ありきたりながら、最後は‘個’が試合の趨勢を決定づける。実際にスコアを動かしたのはマリノスの若大将・斎藤学の個人技でした。それも、彼が最も得意とする形、左サイドをドリブルで突進し、カットインしつつ相手のマークを外しながら、ミドルシュートを突き刺す。広島としては警戒していた形でしょうし、これ以外はしっかりとシャットアウトしていたので、まさに斎藤の‘個’が広島の組織を凌駕した得点と言えるでしょう。

それにしても、良くも悪くも‘中庸’といったイメージのある樋口監督ですが、仕事キッチリなチームを作ってます。この斎藤や俊輔などの躍動が、それを物語る。いまのマリノスの何が良いって、最後のスパイスこそ‘個’を生かす一方で、そういうスペシャルなタレントが必要としなくとも、ビルドアップ自体はちゃんとできているところ。これは木村A監督や、木村B監督の時代には見られなかった現象ですので、評価に値するでしょう。

一方、‘個’の部分で広島は苦戦しました。広島の場合、‘個’を担当するのは、佐藤寿人なりミキッチなりになるんだと思いますが、ここで突き抜けられなかった。寿人については終始、中澤との熱いバトルを繰り広げ、一進一退の素晴らしいマッチアップで、惜しいシュートも何本か放ちました。見応え十分のパフォーマンスを堪能できました。一方のミキッチ。これまたミキッチ自体の出来は悪くなかったと思います。ただ、それ以上に対する横浜FM奈良輪の守備が完璧だった。

ドゥトラが試合に出られないということで、不安要素に挙がっていた左SBですが、代わりに抜擢された奈良輪が、まあ、良かった。ミキッチへのパスを幾つもカットしたかと思えば、1対1でも抜かれることはほとんどなく。もちろん広島の側にも、カウンターの際に悉く一拍ほど持ちすぎるという自滅要因もあってのですが、奈良輪の殊勲が横浜の完封劇をもたらしたと言っても過大評価にはならないでしょう。

■日本代表への推薦状

□推薦者

水本裕貴

□推薦理由

この試合における水本の出来は、彼としては普通だったと思います。取り立てて、どうってことはない。水本の名前を挙げたのは、せっかくなんでザックへの逆風に便乗してやろうかな、みたいなノリでございます。

水本って、何回か呼ばれて、それなりのパフォーマンスを見せながらも、気がつけば召集されなくなりましたよね。一方で伊野波は、割と呼んでもらえている。客観的条件を述べれば、「〈Jリーグで優勝争いをしているチームのレギュラー〉が呼ばれなくて、〈Jリーグの残留争いで苦戦しているチームのサブ〉が代表の常連」という現象が現出している。もちろんザックは‘世界水準’を知り尽くしている指揮官なので、その基準でみれば、欧州を経験した伊野波の方がお眼鏡に適うのかもしれませんが、なんともヘンテコな状況ではありますよね。