■U19なでしこvsU19北朝鮮女子代表[AFC女子U19選手権 10月20日]
なんだか、スコアレスドローの試合って、久々に見た気がする。序盤から互いが互いの出方をうかがう五分五分の展開。そのうちに【ポゼッションのなでしこvsロングボールの北朝鮮】という構図が明確になります。ただし、せっかくのポゼッションしてもPAに入ると途端に勝負強さがなくなるという、日本サッカー界全体に蔓延する宿痾に若きなでしこも蝕まれてしまっている模様。後半に入ると北朝鮮も、最初の15分くらいは少し前に出てきていたとは思いますが、構図自体は前半と特に変わることもなく、ただただ、なでしこに手詰まり感が色濃くなっていきます。
観客のほとんどいない試合でしたから、ベンチの叫び声をマイクがよく拾っていたのですが、「とにかく2トップに当てろ!」という部分を徹底したかったらしい。確かに、縦クサビをスイッチに中央突破を仕掛けるというのはサッカーの常道ですが、一方で、いくらなんでもサイドアタックを放棄しすぎていたのかな、という印象も否めず。
ちなみに日本の両SBは上野と清水。上野は見るからにチャキチャキしていて、基本的に公立一筋で育ったワタクシとしては、「あぁ、中学校のころ、あんな感じの女の子、いたなぁ。なんなら刈り上げとかして」みたいな雰囲気。この上野に関しては、特に後半の20分前後の時間帯に、盛んに攻撃参加して、持ち味を発揮しておりました。
上野の逆サイド、右は清水。この選手はベレーザの選手で、トップチームでもバリバリのレギュラーですので、何度かスタジアムで見たことがあります。ちなみにベレーザは他にも土光、長谷川、籾木あたりがレギュラー。他にもこの試合で先発していた田中美南や中里がベンチメンバーで、非常に若い世代が活躍していて、‘オレの原ちゃん’こと原菜摘子さんは、いまや‘妙齢’扱いでしょうか。そんなことはともあれ、風貌がとても可憐な清水なのですが、この試合では、悪い意味で攻撃において可憐すぎましたかね。もう少し「オラオラ!」感が欲しかったかも。
一方、北朝鮮は近年稀に見る縦ポンサッカーでしたね。10年前なら日本でもJ2などには幾つか見られた縦ポンサッカーですが、もはや全世界的に絶滅危惧種。まぁ、この国は国家体制が絶滅危惧種的な‘社会主義’ですからね。将軍様が『資本論』をちゃんと読んでいるかどうかはさておき。
そんな縦ポンサッカーに徹する北朝鮮ですが、どう考えても「なんとしてでも勝つ!」って感じではなかった。勝てば優勝で、勝たなければ準優勝確定なのに。愚考をめぐらすに、これにはいわゆる‘政治的配慮’があったのではないか、と。この試合、日本が勝てばU20WCへの切符を獲得しますが、引き分け以下なら中国にもチャンスが出てくる。つまり、北朝鮮のチームには日ごろから恩を蒙っている中国のために、「準優勝に終わっても良いから、日本には絶対に勝たせるな」という指令が下されていたのかもしれません。なんてね。