なでしこクラシコ〜INAC神戸vs日テレベレーザ(9月13日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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ワタクシ的夏休みの最終戦は、ポカリスエットスタジアムでWヘッダー。1試合目はなでしこのクラシコでございました。

■前半

クラシコな構図

厳密に言えば両チームとも4231だったんでしょうけど、INACはどちらかというと433に近いような4231。トップ下がボランチ寄り。で、チームのスタイルとしては低い位置でしっかりボールを繋ぎつつ状況を打開し、相手に隙が出来て視界が開けたら高性能なロングパスをフリーになっている前線の選手に届け、前線のアタッカーは個のスピード&パワーで一気にゴールに詰めかけるサッカー。スター軍団ですし、イメージとしてはレアルマドリード

対するベレーザは、4231とはいえ、トップ下の籾木はほとんど2トップの一角のような役割。いわゆるセカンドアタッカー(あるいはシャドー)。で、全体としてはヨミウリの遺伝子を継承する伝統のパスサッカーを展開していました。ショートパスで相手守備陣を切り崩し、ロストしても、すぐさま奪い返して、相手を蟻地獄に陥れていく、まるでティキタカ時代のバルセロナ。ユース上がりの選手が多いことも、バルサっぽい。そう、この試合はなでしこクラシコなのです。

□構図の推移

序盤は圧倒的にベレーザでしたよ。INACは低い位置で自分たちにとってのカタチを作ろうとしますが、ベレーザは人数をかけたショートパスサッカーで高い位置に多くの選手がいる状態。なので、低い位置でボールを回しているINACと、高い位置に多くの選手が残っているベレーザ。そりゃ、ボールを奪ったそばからINACはボールを奪い返されてしまうってもんです。ってなわけで序盤はベレーザペース。

まあ、でも、サッカーって、そんなプレスが90分なり45分なり続くようなスポーツではない。それが続いたら、まさにリアルバルセロナ。やがて一息ついてしまう。そうなると、少しずつINACにも状況を打開するようなロングキックが増えていきます。ロングキックが発動してしまえば、ベレーザのラインは全体的に下がらざるを得ないので、ビルドアップも多少はできるようになって、前半も20分過ぎにはイーブンに近い攻防が繰り広げられるようになっておりました。

■後半

□後半のINAC

前半は押され気味だったINACは、ハーフタイム明けから高瀬愛実に代えて、増矢をピッチに送り込みます。また、後半の15分にはアンカーの伊藤美紀を下げて、アタッカーのチャンスルギを投入。システムを442(2トップは縦関係気味)へと攻撃のギアを上げます。増矢、良かったですね。さすがは次世代のなでしこを担う予定のホープ。代表でも印象的だったパンチ力を、この試合で見せてくれましたよ。決まりませんでしたけど。

少し残念だったのは、戦術上の理由なんでしょうけど、伊藤美紀が下がってしまったこと。伊藤美紀って、あの伊藤美紀ですよね。“仲田歩夢2世”とか言われていた。髪を切ったのか。そして、ポジションはアンカーになったのか。常磐木学園時代って、それこそポジションも髪型も仲田歩夢と同じで黒髪ロングなサイドアタッカーじゃなかったでしたっけ? そんな伊藤美紀のアンカーっぷりが、小柄で猫背な姿勢といい、絶妙なポジショニングで攻撃を後方支援する小気味良さといい、なんかシャビっぽかったんですよね〜。

□後半のベレーザ

対する後半のベレーザですけど、長谷川唯が投入された。伊藤美紀が髪を切ったのなら、こっちは髪が伸びていた。ショートカットのイメージがありましたが、いつの間にやら、後ろ結びのできる長さになっていましたね。前半は左ウイングが中里、右ウイングが上辻だったんですけど、長谷川の投入で、上辻がアウトになり、長谷川が左、中里が右になりましたね。で、スコアが動いたのは、長谷川がテコ入れした左サイドの崩しから。

決めたのは、代表常連の阪口。この試合、ベレーザで出色の存在感を示していたのは、ともに代表の阪口と田中美南だったんですけど、田中美南が1対1のチャンスで悉くシュートを海堀の正面に飛ばしてしまったのに対し、阪口はヘディングシュート一発で仕留めてしまった。フィジカル、視野、両足のパスワーク、どれをとっても一級品。次のワールドカップは、年齢的にも、この選手がなでしこジャパンの大黒柱になっていくのでしょう。

■日本代表への推薦状

□推薦者

・土井山下杏也加

□推薦理由

というわけで、田中美南のシュートは決まらなかったんですが、それは、海堀のシュートストップがあったから。いくら正面に飛んできたとはいえ、それを確実に処理するためには相応の反射神経が求められる。海堀のセービングって絵になりますよね。でも、ゴールキックをそのままアウトにしてしまったり、“不用意”と“アグレッシブ”は違うぞってな飛び出しで、ゴールをお留守にして決定的な危機を迎えてしまったりって場面も続出。まさに川口能活

その一方で、ワールドカップでは海堀から正守護神の座を奪えませんでしたけど、ベレーザのキーパー土井山下の安定感は凄いですね。安定感というか、貫禄というか、落ち着きというか。涼しい顔でピンチの根を摘んでいく。判断を誤らず、まるでイージーなシュートであるかのようにセービングしていく。そうなんですよ、海堀が川口能活なら、土井山下は楢崎正剛なんです。海堀と土井山下にも、川口と楢崎のように切磋琢磨して、代表に君臨し続けてもらいたいところです。