名古屋の敗北は番狂わせではない〜名古屋vs町田(9月9日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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土曜日は札幌、日曜日は仙台、そして水曜日は名古屋です。夏休みを満喫するにも程がある。天皇杯三昧ですな。

■前半

□名古屋の苦戦

一応、J1に所属している名古屋と、J3の町田との対戦ですから、チームとしてのカテゴリーでいけば、名古屋が格上で町田は格下という構図ではある。ただ、あくまでそれは「チームとしての格」であって、「出場している選手の格」ではない。この試合の名古屋は、いわゆる「ベストメンバー」からは程遠いスターティングラインナップ。この日のスタメンで、J3なら間違いなくレギュラーって選手は、川又はさておき、他には最終ラインの3人と小屋松くらいだったのではあるまいか。

なので、決して名古屋が技術レベルで町田を圧倒できる条件にはなかった。そうすると、システム上の噛み合わせであったり、両チームのコンディションがダイレクトに影響する。442の町田に対して、名古屋は343でしたから、定石通り、名古屋は町田にウイングバック裏のスペースを突かれまくる。町田の奇跡的決定力不足と、メインスタンド側の劣悪なピッチコンディションのアシストがなければ、前半のうちに町田に大差を付けられてはいたのではなかろうか。

□会心の町田

町田視線で述べれば、「これが町田のスタイルだ!」というサッカーが展開できていたのではないでしょうか。前半から何回も何回も相馬監督は拍手をピッチに送っていましたし。J3だと我慢合戦みたいなところがあって、相手もひいて守ってくることも少なくないなかで、なかなか相馬監督自慢のパスサッカーを発動できずにいることが多い。割と前半は縦ポンに近いサッカーをしますよね、普段の町田って。後半になってスペースが出来て、ようやくパスサッカーになる。

でも、この日の相手であるグランパスは仮にもJ1クラブですから、さすがにひいてはこない。その反面で、出ている選手は決してJ1でバリバリのレギュラーってクラスではない。こりゃ、町田的には、磨き上げてきたパスサッカーを披露するには、これ以上ない相手ですよね。そして、町田は守備も良かった。献身的なフォアチェックセカンドボールを回収し、守備の選手ははっきりとしたプレーでセーフティーに凌ぐ。川又の高さには増田の高さで対応。サッカー内容としては、町田がパーフェクトな前半だったと思います。

■後半

□西野采配

後半は西野監督の選手交代が注目されました。ハーフタイム明けから森と杉森に代えて、田口とダニルソンを投入します。これは少し意外でした。森、良かったですから。相手の意表を突くスルーパスを出したり、ゴール前まで顔を見せたりと。杉森は杉森で、フィジカルに勝る相手ディフェンダーにも怯まずぶつかり合ってましたし。むしろ、望月があまり良くなかった印象があったんですよね〜。あまりボールを貰えてなかったというか、貰おうとしてなかったというか。

でも、この交代は交代で悪くなかった。森と杉森も単独では悪くなかったんですけど、パスレンジが短かったというか、視野の広いプレーは出来ていなかったかもしれません。また、望月も後半はトップ下にポジションを上げてからは、散発的ながら、キレを見せる場面がなくもなく。また、投入された田口とダニルソンはWボランチを組んでロングキックで前半との違いを示しいました。ちなみに西野采配といえば、小屋松がケガしたということかもしれませんけど、矢野貴章のFW起用が見られましたよ、とてもとても久しぶりに。

□相馬采配

対する相馬さんは相馬さんで、合理的な選手交代を見せます。まず、後半途中から足を痛めて動きの悪くなった戸島に代えて、久木野を投入。さらに、前半はキレキレながらも後半は流れに埋没しかけていた宮崎を下げて森村にスイッチ。そして、最後のカードとしてジョーカーであるサビアをピッチに送り込む。意外性とか面白みには欠けましたが、おそらく相馬さん的にはシミュレーションしていた通りの選手交代ができたのではないでしょうか。

ちなみにサビアの投入でアウトになったのは重松。この試合の重松は非常に良くって、元FC東京の選手らしく相手がJ1だからってビビることなく、強気のプレーでテクニックを発揮していたので、その重松を下げるのには少し疑問があったんですけど、試合を決めたのは途中投入の久木野が得たPKを、相馬さんが最後まで残した鈴木が決めたゴールでしたから、相馬さんの采配が正しかったようです。

■日本代表への推薦状

□推薦者

田口泰士

□推薦理由

ハリルさんになる前には継続して代表に呼ばれていた選手。故障で長期離脱していましたが、復帰しました。やっぱり良い選手ですよ。グランパスが全体として前半に出来ていなかった、「1人飛ばす」とか、「いったんボールを止めて落ち着かせる」とかを平気でやっていた。また、局面によっては、敢えて鬼パスでハッパをかけたり、何よりもワンタッチパスの時の視野が尋常でなく広い。ちゃんとルックアップするから、判断を誤らないんですよね。

ハリルさんは半ば強権的に世代交代を推し進め、遠藤保仁が代表に呼ばれなくなりましたけど、遠藤が呼ばれなくなったからといって、遠藤みたいなプレースタイルの選手が要らなくなったわけでは決してないですからね。必要ですよね、「正確で丁寧なパス」「視野の広さを生かした緩急両様のプレー」を実践できるボランチ。長谷部や山口蛍が今のところレギュラー格ですけど、こういうタイプが加われば、また新たな化学反応が期待できると思います。