□口が悪いダービー
相模原を率いているのはシュタルフ悠紀リヒャルト。我ながら粘着メンタルなのかもしれませんが、ワタクシの中ではずっとYSCC時代の印象のまま。とにかく試合中の口が汚い。気に入らない判定には耳を塞がずにはいられない罵詈雑言を浴びせかけるのがシュタルフ。一方の北九州は、炭鉱の男たちが作ったカルチャーも現代の「お行儀の良さこそ絶対正義」という価値観のなかで、サポーターの「ぶちくらせ」が汚い言葉認定されてしまいました。
それにしても生きづらい世の中になったものです。我々が子どもの頃には「だって先生がそういうことは良くないって言ってたもん!」ってのたまうクラスターは教室のコミュニティで爪弾きにされたものですが、現代のネット社会では、そういう面々が大手を振ってますもんね。多分、今も昔もリアルではさほど友達が多くはないと推察しますが、そういう手合いが大きな顔をできるのがネット社会であり、現代社会であり、人類が総意として作ってきたカルチャーの途中報告でもあります。
□未勝利と好調
さて、スターフライヤーで羽田を経由して乗り込んできた?ギラヴァンツですが、リーグ戦ここまで0勝3分3敗で20位。つまりは最下位。なんせ未勝利ですからね、致し方ない。率いているのは田中遼太郎さん。よく存じ上げない方ですので、Wikipediaを調べてみたら、選手としてはプロ経験がないものの、丁寧にコーチとしてのキャリアを積み上げてきた人らしい。ってことは何かい?一歩間違えれば日本のモウリーニョになるかもしれないってことかい?だったら大いに期待しようじゃないか。
迎え撃つ相模原は、リーグ戦ここまで3勝2分1敗で順位は4位。これまた一貫して主張してますが、シュタルフは口が悪くて昔の言い方でいうところの「親の顔が見てみたい」パターンの御人格ですが、一方でフットボールマネージャーとしての手腕を紛うことなく確かなものです。だから結果は出す。YSCC時代には5311(3バック+WB+中盤ダイヤモンド+1トップ、あるいは2トップが縦関係の352)によるポジショナルサッカーは鮮やかでした。なので相模原でもそれが期待できるのかと思いきや、スポナビアプリの過去の試合を確認する限り4バックなのか?それはそれで面白い。大いに期待しようじゃないか。
□リヒャルトの変わった部分と変わらない部分
というわけでピッチに目を移します。まずはギラヴァンツですが、早い時間帯のプレーで「なんか逆足アウトサイドでスゲえクロスを出す選手がいるなあ」と確認してみたら高橋大悟でした。442の右SHに入ってましたかね。北九州はこの高橋大悟をコンダクターとした攻撃をしかけますが、全体としては星に願いを込めた裏抜けが基本。つまりは縦ポンです。決して引き付けての裏返しではなく。保持時はこれといったフォーマットがあるというより、出しやすいところに出していく感じ。
一方の相模原はやっぱり4231でした。とはいえポゼッションという感じではない。ワンタッチで上手にSHがフリーになるよう予めデザインされているような気がします。とはいえ、前半はあまり多くは決定的なシーンを作れません。中盤で後手に回るというか、相模原に厳しいジャッジの影響を受けてたのと、加えて、リトリートが早いの良いのですがリトリートしすぎてボランチをフリーにしてしまう場面も多かったような気がします。
ともあれ前半の攻防ですが、なぜ相模原に厳しいジャッジが多かったかというと、前半に「どう見てもPKだよね?」ってシーンが相模原にあったにもかかわらず主審に流されてしまって、そうなるとシュタルフは審判団に断続的な詰問モードになります。言い方を変えると、PK見逃しを機にさっさとシュタルフが審判を敵に回してしまったわけです。シュタルフが熱くなればなるほど自チームへの審判の当たりが強くなる。そういうところはYSCC時代と何も変わりません。そんなことをしているうちに、バイタルでのチェックが甘くなった隙を北九州に突かれます。高がミドルシュートを決めて、北九州リードでハーフタイムを迎えました。
□魂の逃げ切り劇
後半に入って再びスコアを動かしたのは未勝利で最下位をひた走る北九州。前半からバイタルエリアでの守備がルーズだった相模原守備陣が、例によってペナちょい外での処理をもたついていると、シメシメとばかりに安光が決めきりました。なんというか、相模原は攻守にシステマチックなんでしょうけど、システマチックゆえに、ガツンというぶつかっていくタイマン勝負の部分で物足りなさを感じます。言われてみればYSCCのときも、そういう感じだった気がしないでもない。
雨脚が強まったり弱まったりを繰り返す中、後半になると雨脚の強い時間帯の割合が高くなる。そうなると両チームともハッキリ蹴るという選択肢の優先度が高くなる。ある意味では淡白な、ある意味ではパワフルな応酬が続くなか、相模原は奥山を投入。知らないうちに彼は右SBになってたんですか?おかしなクロスもありつつも、右ワイドの司令塔として起爆剤となる。しかし北九州のGK大谷がそこに立ちはだかる。大ベテランらしい振る舞いでチームに安心感を与えます。
終盤には北九州が永井龍を、相模原が武藤雄樹をピッチに送り込む。まさにジョーカーですが、存在感を示したのは永井だったでしょうか。フォアプレスでずっとプレーに関与し続けていました。とにかく北九州は逃げ切りモード。キックは全てクリア。そこに永井猛烈なチェイシングを繰り返す。最終盤に相模原は前田が地を這うイーグルショットを決めましたが、今シーズン初勝利を目指す執念が上回る。北九州が待望の1勝目をあげたんだとさ。