オリンピック準決勝(男女)の周辺をウロウロと…【オリンピック観戦記】

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さて、いよいよ、ですが、このタイミングで日本人としては御先祖様に御挨拶に行かねばなりません。決勝も3決も「生で楽しめない」なぁと、敢えて語弊のある「大人」の表現を用いる今日この頃、皆様におきましては如何お過ごしでしょうか?

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夏場のサッカーは退屈だ、とかなんとか言っちゃって東京Vvs富山(08月05日)その1

前半の富山はダラダラしていた、とかなんとか言っちゃって東京Vvs富山(08月05日)その2

前半のヴェルディメリハリがあった、とかなんとか言っちゃって東京Vvs富山(08月05日)その3

■なでしこ 2 vs 1 フランス[ロンドンオリンピック 2012 サッカー女子準決勝(08月07日)]

キーパーがファンブルしましたね。先制点。押し込んだ大儀見を誉めなければならないわけですが、ま、棚ぼたでした。2点目はスーパーゴール。これまたセットプレーからですが、宮間のキックといい、そこに飛び込んだ阪口のタイミングといい、ほぼ完璧だったのではないでしょうか。

とはいえ、フランスも、そのまま引き下がってくれるわけもなく、選手交代を機に攻勢に出ると、なでしこは防戦一方。そして75分にはクロスを途中出場のルソメ選手に見事なまでに叩き込まれました。そして、そのルソメ選手の突破に対し、阪口選手は78分にはPKを与えてしまいます。しかし、そこで福元が立ちはだかります、というかフランスのビュサグリア選手が勝手に外してくれました。

互いに死力を尽くした大一番となりましたが、実力伯仲、互角とも言える両チームの明暗を分けたのはフランスの2つのミスだったと言って良いでしょう。

オリンピック開幕前のテストマッチが再現する形になった対決ですが、戦いの内容は全く異なるものとなりました。テストマッチでは、一方的にボコボコにされたのですが、この試合ではなでしこが圧倒。ただ、テストマッチで敗戦したときにも、「開幕戦にピークを合わせてフランスに対して、なでしこは疲れがピークの状態。ピーキングの相違が結果に現れただけ」と評されてもいました。

ただ、この試合の勝敗を分けたのは、チーム全体のコンディショニングというより、「怪我で苦しんでいた選手が、このタイミングでトップフォームを取り戻した」というところに大きな要因があるように思います。申し述べるまでもなく、澤選手と岩清水選手でございます。

この試合、序盤は非常に固い試合でしたよね(後半は一発勝負のトーナメントらしい、手に汗握る展開になりましたが)。互いにバイタルの守備がタイトで、ボール支配率とは無関係に、両チームとも、なかなか得点の糸口を掴めないまま時間が過ぎていきました。

なでしことしては、パスこそ繋がるのですが、なかなかタメが作れない。時間のコントロールが出来ませんでした。理由としては、やはり本来なら中盤の収めどころとなるべき宮間選手が、悉くボールルーザーになってしまっていたところにあると思います。中盤でタメが作れないから両SBが高い位置取りを出来ない。SBが低めにいるから、そりゃ支配率は上がるんですけど、ボールを回したところで、相手としては、ある程度サイドを捨てられる。そうすると大型のフランス両SBが中に絞りますから、CBも思い切って前に出られて、中央が盤石になる、と。

一方、なでしこのバイタルも強固でした。その要因はいろいろあると思いますが、やはり澤と岩清水の存在は大きい。このオリンピックを通じて岩清水のポジショニングは、もはや人間離れしているかのごとく研ぎ澄まされています。そして、澤。男子で言えば、遠藤や、あるいはセットプレーなどで守備に参加していたときの本田をイメージすれば近いと思うのですが、相手に押し込まれたときに、低い位置でキッチリ悠然とボールの預けどころとして機能してくれる選手がいるというのは、非常に頼もしい。後半は一方的に攻め立てられて苦しい時間が続いたなでしこですが、それを耐え切れたのも、おそらく澤がもたらす安定感のおかげって要素が小さくないかと思われます。このあたりの存在感は、まだまだ宮間が澤に勝てないところ。さすがです。

■日本 1 vs 2 メキシコ[ロンドン五輪 男子サッカー準決勝(08月08日)]

なんなんですかね、この大会における大津の輝きって。練習でも撃てないだろうってな強烈なミミドルシュートをサイドネットに突き刺すというコントロールで叩き込みました。この得点は、その直前における徳永と東のパス交換、足下に収める技術と落ち着きも素晴らしかったですね。

ただ、そこはメキシコ。これまでの相手とは本質的にレベルが違います。ドスサントスコーナーキックエンリケスがすらして、ファビアンが頭で合わせて同点。そして、その後はメキシコが主導権を握ります。

それでも日本は粘り強く対応していましたが、権田から受けたボールに扇原が緩慢な対応をしてしまいボールをかっさらわれると、そのままぺらるたにぶち込まれてしまいました。その後も、なかなか打開の糸口はみつからないまま時間は経過し、ロスタイムにダメ押しの3点目。えぇ、完敗です。

上のなでしこvsフランスのレポで、「実力伯仲、互角とも言える両チーム」と表現しましたが、他のブログさんなどを拝見していると、「実力的にはフランスに分があった」という評価も多く見られました。確かに後半は圧倒的に攻められていましたからね。

ただ球技というのは、追い詰められた方が攻撃的に出ると、互いの実力関係とは無関係に、どうしてもリードしている方は守勢に回ることになる。サッカーにおいては、特に、その傾向が顕著で、実力が互角だと、試合終盤に近づくにつれ、ビハインドを負ったチームが攻めて、リードしている側が追い込まれる。人間のメンタルというのは非常に繊細なもので、あのオシムをして、「この傾向は古今東西いかんともしがたい」と白旗を上げさせたくらいです。

だから、後半に圧倒的にフランスが攻勢に出たからといって、なでしこがフランスより劣っていたとは思いませんし、あのPKが決まっていたら、なでしこが攻撃に出る時間は飛躍的に増えていたはずです。で、同じ事がこの試合にも言える。メキシコに2点目を決められてから、それなりに日本代表は攻勢に出ました。保持率もかなり高くなりました。けれども「だったら、最初からもっとSBやボランチの攻撃参加を促せよ」という意見があったなら、それは球技の機微を無視した意見になるでしょう。おしりに火が付きながら、あの程度しか攻められなかったのですから、両チームに相当の実力差があったことを認めるべきです。

なによりもメキシコは、しっかり日本をスカウティングしていた、、、と思います。例えば永井はスペースを消されていただけでなく、相手DFにしっかりカラダを寄せられて、スピードを生かせる状況を作り出せませんでした。決勝点についても、確かに結果論的に述べるならば、扇原は他のフィールドプレーヤーに比べて少し隙が多い。敢えて狙い所を絞るなら彼ということになる、これも、ある程度メキシコはスカウティング済みだったかもしれません。そして酒井宏樹。彼はトップスピードに乗った攻撃参加の迫力は素晴らしいですが、スローダウンすると威力が半減するのですが、この試合、彼の威力は終始、半減しっぱなしだったので、それも研究されていた可能性もありますし、アーリークロスを2回程、完全にブロックされましたから、メキシコの作戦通りに消されたと言えるでしょう。

さて、最後の3決は日韓決戦。キムボギョンと清武のどっちが上か、セレッソサポならず、ここでハッキリさせたいところでしょうし、健闘を祈りたいですね。