イングランドvsイタリア&ドイツvsイタリア【ユーロ観戦記】

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大迫の落選については、【相手を立てることを知っていて、じぃっと「うん、わかる、わかるぅ」と社交辞令でも良いので頷いていてくれる女子力の高い人】に語り続けたい今日この頃、皆様におきましては如何お過ごしでしょうか?

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イングランド 0 vs 0 イタリア[06月25日 EURO2012]

壮絶な死闘の末、120分ではスコアレス。PKでイタリアがイングランドを退けることとなりました。

さて、お家騒動やら怪我人続出やらで前評判は必ずしも高くなかったイングランドでしたが、極東の第三者からすれば、胸を張って帰国するに相応しい散り方をしたのではないでしょうか。

英国人と言えば、燕尾服にシルクハット、手にはコウモリ傘をステッキ代わりにそえる、いわゆるひとつのジェントルマン。まぁ、島国東洋人の勝手で古典的なイメージですけど、ともかくイングリッシュマンと言えば紳士と昔から相場は決まっております。

とはいえ、この試合におけるイングランド代表フットボーラーたちは決して「お高く」とまっていませんでした。英国は紳士の国であると同時に、近代工業発祥のお国柄、資本家と労働者、ブルジョワジープロレタリアートという階級の二層分化が著しい(著しかった?)、2大政党制の国家であります。

その2分類でいけば、この日のイングランド代表は紛れもなくプロレタリアート。どこまでもピルロに食らい付き、攻撃でも精力的にフォローアップに向かうところなど「お前は明神か!」と思わずツッコまずにはいられないパーカーを始め、無骨なカウンターに多くの選手が全力疾走する姿、あのジェラードさえ派手なプレーは封印して骨太なプレーに専念するところなど、これを労働者と言わずして、何をマルクスは擁護するというのか。

翻ってイタリア。この国は、アルデンテに茹で上げたスパゲッティを片手にシエスタを満喫し、そこに女がいる限り、それを男は口説かなければならない国民性、ということに島国東洋人の勝手で古典的なイメージではなっております。そう、彼らはブルジョワジーなのです。現実におけるGDP的なアレコレはさておいて。

なのでプレーも優雅、、、に見える、、、選手が目立つ。例えばそれはピルロ。そしてモントリーボ。もう、モントリーボなんて、野洲高校の平原君ぐらい優雅ですよね。守備もあんまりやりませんし。全力で大汗かきながら走り回るって感じでもないですし。イタリアでプロレタリアート臭を漂わせていたのはデロッシくらいのものでしょう、見てくれ的に。。。

そんなイタリア代表ですが、この試合では4312で始まり、途中から4321、いわゆるクリスマスツリーのような陣形を選択しました。これらの陣形だと、人選にもよるんでしょうけど、「3」の左右両端、具体的にはデロッシマルキージオは、それほど大きくサイドに開きません。

サイドのスペースは、FWが流れるなり、SBが上がるなりして使ってくれい!ってな感じ。必然的にイングランドの両SBは内に絞りますので、中央はかなり堅牢になります。そして、その反作用として、イングランドの両SHがアタッキングに出た直後には広大なスペースが出来ます。

そこにカッサーノが効果的な走り込みを行い、ピルロとかが高精度ロングパスを送り込むってところから、チャンスを量産していたブルジョワジー伊太利亜。なので、カッサーノの運動量が少し落ちて、ディアマンティと交代して退いた後には、意図的に相手を崩すってシーンが幾分ながら減ってしまいましたね。逆に言えば、カッサーノが、いかにこのチームの浮沈を握っているかが非常に明確になった、そういう試合だったのではないでしょうか。

■ドイツ 1 vs 2 イタリア[06月29日 EURO2012]

序盤はドイツの猛攻。それを防ぐとイタリアが押し返し、そのムードの中、イタリアが先制します。キエッリーニが謎のオーバーラップを繰り出し、ボールを貰ったカッサーノが23人を「ふんふん」とあしらって柔らかいクロス。そこにバロテッリが飛び込み、頭で合わせました。

そして、さらに前半40分の少し前。モントリーボピルロばりの高性能ロング縦パスがバロテッリに届き、そこからは規格外の弾丸シュート。お前は日向君か!と。そりゃシャツも脱ぐってもんだ。

敗色濃厚のドイツも最低限の意地は示し、後半ロスタイムにPKで1点を返しましたが、時すでに遅し。なんやかんやでイタリアらしくリードを守りきりました。

それにしてもバロテッリの2点目は凄かった。決められる瞬間、遠くから友人が近づいてきて「やぁっ!」って声を掛けるときのように少しだけ左手を上げたままフリーズをしたノイアーの姿が忘れられません。そして、シュートが突き刺さったあとに膝から崩れ落ちる感じも。昔、「燃えろ!プロ野球」っていう、例えばクロマティとかだとバントでもホームランになるファミコン(もちろん初代)の野球ゲームがあって、そのゲームでは満塁ホームランを打たれるとピッチャーは片膝ガクンってなったんですが、まるでそんなシルエットでしたよね、ノイアー

先制される前から、相手シュートをキャッチングしたときなどに、敢えて平然を装い「大丈夫、大丈夫!」って雰囲気で周囲を落ち着かせていて、これまでの試合だと、「さすがノイアー、落ち着いているし、落ち着かせているなぁ」と風格に感心していたのですが、この試合では、相手がイタリア。やはり風格という意味では、向こうサイドのブッフォンの方が一枚上手ですね。カシージャスや、日本でなら楢崎ですが、プレーそのものはともあれ、キーパーにとって「風格」が漂い出すのは顔に皺が出てくるようになってからなのかもしれませんね。35歳くらいがキーパーにとってピークと言われますが、ノイアーの童顔とブッフォンの皺クチャ顔を見比べていて、妙に納得できました。

この日ドイツは、たぶんクロースが真ん中、エジルが右って形をメインにしていたと思うのですが、エジルの右サイドってCLにおけるレアルのときにも感じたのですが、どうっすか?若干の微妙感を禁じえず。別に悪いってわけではないのですが、少なくともスピードとドリブルの切れ味でサイドを切り裂くぜってなウインガータイプではない。で、左がポドルスキ。これまたサイドを縦に突破する選手ではない。

なので、いきおい攻撃は中央突破が多くなるのですが、真ん中を固めさせたらイタリアのDF陣は強いですからね。そもそも高さ勝負で圧倒的な優位にあるわけではないので、やはり、ある程度センターはばらけさせたい。そのためにはサイドを揺さぶって、相手を引き出すってことがドイツには必要だったと思うのですが、上で述べたように、両サイドはウイングタイプではなかった。

特に、左サイドですね。左を攻めると当然、右SBは内に絞るわけですが、その右SBはキエッリーニときたもんだ。彼が絞ってしまえばイタリアは実質3バックのようになり、難攻不落感が格段に向上する。結果ドイツは半ば左からの崩しを放棄するに至った。ドイツの敗因は、サイドにおいて個で勝負できるリベリとかロッベンみたいな選手がいなかったところにあるのではないでしょうか。