■イングランド 1 vs 2 イタリア[WCグループD 06月15日]
なんとなく「イタリアの方が強そうだなぁ」なんて思って眺めていたのですが、案に反して序盤から決定機を多く作ったのはイングランド。あんまりイングランドってワールドカップで結果を残すイメージがないんですけどね。試合を進めていくと、イタリアも自分たちのペースを取り戻して、イーブンな内容に。両国のお国柄もあるんですけど、“雪崩れ込む”というより“個vs個”という戦いで、クラシカルなヨーロッパスタイルのフットボールが展開されました。
近年の国際大会ではイタリアの方が安定的な結果を残していますから、その貫禄を示すように、少しずつイタリアがイングランドを飲み込んでいくような印象もありました。実際に先制点をあげたのはイタリアでしたし。ピルロが思いっきり相手のマークを引きつけた上でお手本のようなスルー。距離はあるもののゴール正面でフリーになったマルキージオが開幕戦のネイマールみたいなシュートを決めて先手を取りました。いかにもイタリアらしい決定力。
「これで早くも趨勢が定まりつつあるのかな」とか早合点していたら、イングランドはさっさと追いつきました。スターリングが中盤でボールを持つと、裏へ走り抜けたルーニーへと展開。ルーニーからの正確無比な折り返しに走り込んだストゥーリッジが押し込みます。しかし、イタリアもハーフタイムを挟んで後半5分に再び勝ち越します。自陣から長短織り交ぜたパスを10本くらい繋いで、カントレーバがクロス。上手くマークを剥がしたバロテッリがパワフルなヘディングを叩き込みました。
その後、イングランドは少しトーンダウンしましたかね。もちろん相手の急所をえぐるようなカウンターは散見されましたけど、なんというか「テンション高く攻める!」って雰囲気が少し後退したような。とはいえ、イタリアにしてもイングランドにしても、一見するとダラリとしているようで、瞬間的にスイッチを入れて、一気にミドルシュートなどでゴールポストをかすめるなんてシーンが続出していましたので、“静かなる緊張感”といった形容詞がピッタリくるような展開でしたでしょうか。
というわけでイタリアが貫禄を示した1戦でしたが、やはりイタリア代表といえばピルロに注目してしまいますよね。プレースタイルといい、世代といい、日本代表の遠藤にキャラがかぶる世界のクラッキ。この人も衰えないですね。もともと運動量豊富ってタイプではないので、若い頃のプレースタイルのままベテランとなった現在でも活躍できている。ただ、コートジボアール戦でもそうでしたが、我らが遠藤がこの1年くらい、かなりわかりやすく運動量やらキレやらが低下したのに対してピルロは余り変わらない。
「遠藤とピルロとでは、何が違うのかなあ」なんて考えてみたんですけど、1つには、チーム戦術の問題があるかもしれません。イタリアは、かなりゆっくりとサッカーをしていましたので、そもそもそれほど多くのダッシュやらぶつかり合いを必要としない。ゆえに、そういう部分での衰えがあったとしても目立ってこない。もう1つ考えられるのは、ピルロって、思いのほか骨量が豊かそうな選手ですからね、アジア人としても小柄寄りの遠藤とは、カラダにガタがきづらいってことがありそうな気がします。