ワールドカップ各国分析〜イタリア編【グループD】

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ザックジャパンコートジボワール相手に初戦を落とした瞬間、多くの「(自称)サッカーに関心のある」日本人にとって、ブラジルワールドカップの記憶は風化を始めたわけですが、一応、ワタクシはWCの全試合を録画を中心に見ました。で、その各試合のレポは少しずつ「ワールドカップTV観戦記」としてアップしておりますが、それと並行して、「ワールドカップ各国分析」もアップしていこうかなと思います。1週間に1カ国とすると、コンプリートするのに8ヶ月、2015年の5月、完全に皆さま「とっくにそんなこと忘れたよ!」って時期になってますけれども・・・。

 

というわけで、今回は、気がつけばグループリーグを敗退していたイタリア。

 

プランデッリの懊悩

 

確か、プランデッリって「カテナチオから攻撃サッカーへの脱却」みたいなことを旗印にしていませんでしたっけ? そのプランデッリが、この大会ではクリスマスツリーを採用していました。クリスマスツリーといえば往年のACミランが好んで採用したシステム。もはや、ワタクシ的にはカテナチオの象徴なわけで。なんつーか、さしものプランデッリも、パスサッカーの実現に挫折したのかなぁ、というのが、本大会のイタリアを見て感じた印象。

 

 

まぁ、クリスマスツリーの申し子といいますが、この選手を生かすために考案されたと言っても過言でないピルロがいるわけですし、前線にはバロテッリという個の力でゴールを奪える(個の力でしかゴールを奪えない)タレントもいるわけですから、合理的っちゃ合理的なのかもしれませんが、なんとなく「天保の改革」を想起してしまいます。「結局、江戸幕府の体制内における改革だったよね」「黒船襲来とかによる根底からの改革とは本質的に違うよね」みたいな。

 

 

バロテッリカッサーノ

プランデッリの改革失敗を象徴的に印象付けたのが、グループリーグ最終戦ウルグアイ戦)における選手交代。プランデッリの秘蔵っ子というか、この選手に改革の成功を全て託していたと言ってよい、一蓮托生のバロテッリに交代を告げた。正直、ワタクシの節穴には、イタリア国内でバッシングを受けたほど、そこまで今大会のバロテッリが悪くなかったように映ったんですけど、この交代が、プランデッリ改革失敗をあまりにも象徴的に突きつけてきた。

 

 

そんなバロテッリと、もう一人、アズーリのアタッキングを託されていたのが、主に途中出場してきたカッサーノカッサーノといえば、我々世代的には、「この選手の獲得により引導を突きつけられた」ってな、中田英寿との因縁が印象に強いわけですが、いまだにバリバリなんですね。なんだかんだで、息が長い。なんだかんだがなんだかんだ過ぎてエグいんですけど。今大会では、貫禄のキープ力を示しながらも、全体としては消えがちだったですかね。

 

 

ファンタジスタの系譜

さて、今大会のアズーリに対しては、「守備の人材が枯渇しつつある」なんて批判がイタリア国内外からよせられているようですけど、果たして、問題はそこなのだろうか? というのも、カテナチオで勝てていたということは、逆から見れば、「少ない人数で得点を奪えていた」ということになるわけで。そして、それを可能にしていたのは、ファンタジスタの系譜なのではなかろうか。90年代以降だけでもバッジオデルピエロトッティとイタリアには常にファンタジスタがいた。

 

 

その一方で、トッティが外れるようになって移行のアズーリに、そのような系譜を継承するファンタジスタが存在しただろうか。今大会、ビエリの役割を担うバロテッリをサポートしていたのは、カントレーバやら、肝心なところで退場したマルキージオ。仮にモントリーボがいたところで、彼らが「前の三人だけで得点を奪える」あるいは「一人で局面を打開して、他の二人のゴールをお膳立てできる」選手かというと、少しプレースタイルが違うような。現在のアズーリを救えるのは、新たな「9.5番」の出現に思えてなりません。