■イタリア 0 vs 1 コスタリカ[WCグループD 06月21日]
序盤しばらくはなんだかやたらとアバーテが積極的でしたね。「おやっ!? イタリアはイケイケモードで攻めまくるのか??」と勘違いしそうになりましたけど、決してそんなことになることはなく。やはりカテナチオのDNAがどうしてもうずいてしまうのかもしれません。一方のコスタリカはコスタリカで、相手の出方に応じて規律正しく、かつ臨機応変に組織的守備ができるこうチームですから、必然的にとっても渋い展開となります。
ただ両チームに相違があるとすれば、それはスペースを見つける能力。あるいは僅かなスペースであっても、そこを上手に利用するアジリティ。イタリアの攻撃陣が全くスペースを見つけられなかったのに対し、コスタリカのアタッカーは、イタリアのディフェンダーとディフェンダーが生み出す、僅かなスペースをスルスルスルと突くことに成功していました。ディアスのクロスに反応したルイスのゴールなんかは、まさに狭いながらも確実に存在するフリースペースを攻略したものでした。
ハーフタイムが明けるとブランデッリ監督はカッサーノを投入。この選手交代の効果は覿面でした。前半からカントレーバとマルキージオが2列目としての働きができていなかったところにカッサーノが入ったことで、バイタル付近でパスが繋がるようになった。ショートパスを織り交ぜた奥行きのある攻撃が可能となった。そして
いかにもイタリアらしく早め早めの選手交代で、インシーニ、チェルチといった選手が続けざまに投入されていきます。
しかし、コスタリカも、まるで百戦錬磨のような対応を見せます。クベロ、ブレネスといった選手が投入されたのですが、特筆すべきは、彼らの投入で、それぞれボランチ・2列目の左右が入れ替えられたところ。丁寧に微調整を重ねていたわけです。それだけ隙のないチーム作りをされたコスタリカですから、イタリアの猛攻を前にしても怯みません。イタリアをオフサイド&カウンター地獄に引きずりつつ、ほぼ完璧な逃亡劇を演じきりました。
それにしてもコスタリカの守備は見事でしたね。基本的に守備は人海戦術。特にイタリアは「まずはバロテッリ!」みたいに、パターンが明確ですから、そこさえ抑えてしまえばよい。5バックの数的優位を生かして、ガンガンにバロテッリを潰しまくり。また、出し手も、ピルロとデロッシのどちらか。しかも彼らはそれほど前後左右に動き回るわけではないですから、絶好のフォアプレスの標的として、運動量豊富にやはり潰しまくります。
後半になると、リードしていることもあり、全体がリトリートして「専守防衛から前線を走らせる」という常套的な守り方で逃げ切りを図っていましたが、特筆すべきはオフサイドの多さですかね。それだけ集中力を維持していたということです。そして、そういうコスタリカの粘り強いディフェンスを打ち破るだけのファンタジーがイタリアにはなかった。バッジオ→デルピエロ→トッティと受け継がれてきた「9.5番」の遺伝子は途絶えてしまったようです(も少し頑張れよ、カッサーノ!)。