テレビ観戦記ベトナム戦とナビスコ準決勝の周辺をウロウロ振り返る

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先週末は、なでしこリーグを見てきました。例によってマッチレポを4thDayMarketCentreにアップしておきました!!

Viva!西が丘なでしこ・浦和vsベレーザ(11月20日)の周辺をウロウロと…1/6

大野・名波・バルデラマなでしこ・浦和vsベレーザ(11月20日)の周辺をウロウロと…2/6

旅先のお化粧なでしこ・浦和vsベレーザ(11月20日)の周辺をウロウロと…3/6

宮間越えと13番なでしこ・浦和vsベレーザ(11月20日)の周辺をウロウロと…4/6

浦和のフィジカルなでしこ・浦和vsベレーザ(11月20日)の周辺をウロウロと…5/6

キリンチャレンジカップ2011 日本vsベトナム(10月07日)

アウェイでのタジキスタン戦の前に行われた壮行試合ですね。前半の比較的早い時間に先制しながらも、なかなか追加点を奪えず、結局10での辛勝になったいう試合展開だったやつです。

この試合、我らがザックは普段の4231ではなく自らの代名詞とも言える343で挑みました。テストマッチで実験的なチャレンジをすること自体に問題はないと思うのですが、結果として、その実験は大きな成果を収めることができませんでした。

確かザック流343の長所は「サイドで数的優位を作りやすい」という所にあったかと思います。サッカーの基本はオフトの言葉を借りるなら「トライアングル」。343だと、サイドでWBを絡めた三角形が作りやすい。この試合の左サイドを例にとるならば、「香川・長友・細貝」を基本に「李・香川・長友」「長友・細貝・槙野」「香川・長友・槙野」という三角形を作りながらサイドを制圧しようという狙いだったかと推測されます。

ただ、ほとんどの場合、両WBの長友と駒野は、各々の単独突破を強いられていました。理由は単純で、本来、長友や駒野と三角形を作りWBをフォローしなければならないボランチ、アウトのCB、2シャドーの選手たちが、なかなか攻撃的にアウトサイドに張り出すということができなかったから。

というか、そもそも、先に挙げた左サイドを例にとるなら、細貝も槙野も香川も、みんな「サイドでも能力を発揮できる選手」ではありますが、「サイドを主戦場とする」選手ではないですよね。だから、どうしても、「真ん中にプレーも選択肢があるのに、わざわざサイドに流れ出す」という判断を、本能的に下すってことがしづらかったのではないか、なんて想像します。

それにしても、ベトナムのディフェンスは見事でしたね。特に2列目と3列目のラインが綺麗だった。そしてコンパクトさも尋常でなかった。基本的には442だったと思いますが、ツーラインの間をケアすべく、流れの中で4141っぽくなったりして、また、サイドに隙ができがちだったのですが、そこは気合いと根性(別名:切り替えと運動量)でカバー。ダテに左胸に星を付けているわけではありません。

よくサッカーのチームってタイトルを獲得する度に左胸とか袖に星を付けたりしますよね。アントラーズとか帝京高校とか。だからベトナムのユニフォームの星も、一瞬そういうものかと思いきや、単に国旗の模様らしい。ベトナムって国旗が「赤に大きな星」なんですね。それをユニフォームの左胸に付けているものだから、思わず、何かタイトルでも取ったのか思ってしまします。尤も実際に2008年には東南アジア選手権を制しているようなので、「星一つ」というのは実態にも即しているんですけどね。

話が逸れました。ともかくベトナムは適度な距離感できっちり整った2ラインとチェックの早さ、連動性の巧みさによって素晴らしい守備を遂行していました。こういう相手のディフェンスを剥がすために一般的に有効とされているのがロングボール大作戦。そうすれば3列目が少しずつラインを下げていって、2列目との間延びが起きますからね。

だから後半20分くらいにザックがマイクを投入しようとしたのは非常に理に叶っているわけです。で、その投入は槙野の肉離れのワリをくって実現しなかったわけですが、これはこれで良かったのかな、とも思います。たかがテストマッチごときで追加点を奪うために、まだ本番まで3年近くあるってのにもかかわらず、本来の志向するサッカーとは逸脱したロングボール大作戦を敢行してもしょうがないですから。苦戦すべき試合でちゃんと苦戦するというも強くなるために必要な一階梯でしょう。

ナビスコカップ準決勝 浦和vsガンバ(10月09日)

ガンバが謎の3rdユニフォーム(黄色というか、なんか蛍光な感じの色)で戦いながらも、リーグでは残留争いの中なぜかナビスコでは快進撃していた浦和に、梅崎の大活躍もあって敗戦した、あの試合でございます。

2011シーズンは春に一度レッズの試合を見たのですが、それ以降は埼スタからすっかり足が遠のいていましたので、デスポトビッチを見るのは、この試合が初めて。浦和サポーターさんのブログ等を拝見していると、かなり酷評されていた選手ですね。そしてペトロビッチ監督が辞任の弁を述べたときに、「もう少し点の取れるFWがいれば…」と、あたかもチーム不振の責任は、監督ではなく前線の選手が一身に背負うべきかのごとき言説の対象として、一面的に「スポーツにおいて敗戦など失敗の原因を作った人物」扱いされた選手でもあります(しっかし「A級○○」とかでも使う「○○」もSPAMなのか…)。

で、ワタクシなりにどのように感じたかというと、テレビ観戦ですし、リーグ戦とは全く異なって、確変モードになるナビスコカップだったという点も差し引かねばならないのですが、それでも、第一印象は「悪くない」という感じ。「ポストプレーしかできない」という批判があって、確かにポストプレー以外の場面では終始消えっぱなしだったのですが、それでも、「ポストプレーさえもできない」という外国籍FWも少なくないJリーグの現状を考えれば、外国籍助っ人として概ね平均値にある選手ではないでしょうか。

気になるのは、デスポトビッチ選手が給料に見合った働きをしたか否かを脇に置いといて、浦和のサポには、未だワシントンやエメルソンの幻影から抜け出せない人も少なくないのではないか、ということです。重要なのは、デスポトビッチ選手が点を取れないことではなく、キャラクターのハッキリしているにもかかわらずデスポトビッチ選手の個性をチームに組み込めなかった部分にあるような気がします。

そういう意味では、同じように、単なる「個人攻撃」で終わらせてはいけないのがマルシオ・リシャルデス。この選手も、やはりこの試合をテレビ観戦する限り、特に後半、持ち味を発揮していました。つまり20でリードしていて「あとはしっかり守ってカウンター」ってシチュエーションだと、彼のこねくり回す技術が生きるんですね。だから、よく「浦和に加入して劣化した」なんて声を聞きますが、むしろ「少ない人数で攻めきる新潟では個性がフィットしたが、強者の戦術を敷く浦和では、その長所が発揮しづらかった」と評価すべきではないでしょうか。

さて、浦和の話ばかりになりましたが、ガンバについても。

この試合、ガンバは満身創痍。明神と遠藤を欠いていました。キムスンヨンもいませんでした。そうすると俄然、選手層に不安がよぎるわけですね。実際に、この日のガンバ中盤は、二川・佐々木・橋本(病み上がり)・武井で、ベンチには横谷だけ。

ペトロビッチ広島もそうですが、西野ガンバみたいにパスで繋ぎ倒すサッカーを志向するチームというのは、成熟度というか円熟味というか阿吽の呼吸というかを優先せざるをえないので、どうしても比較的少数のグループを中心にチーム作りをせざるをえませんよね。そうなると、必然的に欠場者が重なると一気にチーム力が低下する。しかも西野さんは、「ゲームに出場するに値する選手か」ってところのジャッジが非常に厳しい。横谷選手はあれだけ中盤が破綻していたにもかかわらず、結局、最後まで出番がなかった。こういうところにガンバのジレンマがありますよね。