ブーイングの周辺を、浦和vs名古屋(05/05)・清水(05/30)を素材にウロウロと…(+ちょい韓国戦)

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日付変わって日韓戦。

アルゼンチン戦については、その直後、スポナビブログさんにおいて、「どこまで喜んで良いか?」って部分でいろいろ議論があったようです。「あのアルゼンチン、マジやったか?」って記事を書いたブログさんには、けっこう愛という名のもとに条件反射的なコメントが寄せられて、大変そうだったり、案外シメシメしてそうだったり。

モノの本によると、人間の自意識って言うのは、自分で知覚しコントロールできる〈意識〉と、自分では知覚しコントロールできない〈無意識〉により構成されていて、しかも前者が3割、後者が7割らしい。

要するに「頑張るぞ!」って自らを奮い立たせても、実際に動員できるアドレナリンは3割ってことですね。アドレナリンの7割は、知らないうちに湧いてきたり、自分でもよく分からないまま何故か湧いてこなかったりするようです。

で、アルゼンチン。彼らは間違いなく本気とかいて「マジ」、気本とかいて「じま」だったのでしょう。少なくとも3割の部分は。では、自らの理性の力ではコントロールできない7割の部分はどうだったか。ひょっとしたら、「格下相手の親善試合」という客観的事実が、なんらかの影響を与えていた可能性も捨てきれないかもしれないですね。

そして、本日、日本目線で言えば「日韓戦」、韓国視点ならば「韓日戦」。相手が韓国となれば、例え仮に3割の部分で「親善試合だからケガしないように」と思ったとしても、7割の部分がギンギンにテンションマックスに導いてしまうはずです。

いや、楽しみになってきました。それと同時に、結果の如何に関わらず、無条件にギンギンかつマックスなテンションしてくれるライバルが隣国にいるという幸運に感謝する一日にしたいものです。

とはいえ、「アルゼンチン戦は何だったんだ?」みたいな不甲斐ない試合内容となれば、多少のブーイングもあるかもしれませんね。というわけで今回はブーイングについて(繋がったぁ!)。

予想だにしない「愛の鞭」には凹みますが、全く「愛の鞭」がないと、それはそれで凸りますよね。みたいな話。

皆さん、ブーイングって、どう思いますか。

少なくとも日本では、サッカーでのみ市民権を得ている行為なので、あまりサッカーを見たことのない友人とスタジアムに行くと「凹むわ、応援してる選手が挨拶きてんのに、一斉にブーイングとか、ありえへんわ」とか言われたりします。

まぁ、サッカーに特徴的な文化ですよね。

「いや、セパタクローの四国大会でも、ブーイングは起こる!」とか「モンゴル相撲の南関東大会でも、そういう光景を目にした!」とか言われますと、「はぁ、そうですか…」と、自分の無知を詫びねばならないわけですが、メジャースポーツinジャパンで、応援しているチームや選手に大々的なブーイングが浴びせかけられるのは、サッカーに特有なのかな、なんて思います。

さて、話は浦和です。

浦和はフィンケ体制になって以降、それまでのタレント頼りから、組織的なサッカーへとモデルチェンジを進めております。そのための避けられない一階梯として、主力選手を何人か流出させました。

サッカー文化の作法というか、「お約束」として、移籍した選手が敵チームの一員として里帰りした際には、盛大なブーイングでお迎えしますね。「愛情の裏返し」なのか、「可愛さ余って憎さ100倍」なのか、あるいはその両方なのか、とにかく愛されていた選手ほど、ブーイングの音量が大きくなる傾向があるようです。

マザーテレサは、かく、のたまった。「愛情の反対は憎しみではない。無関心だ。」と。

そんなわけで5月5日の名古屋戦を楽しみにしてました。良くも悪くも「浦和の顔」であった闘莉王埼スタに帰ってくるわけです。きっと5万人の浦和サポは近年稀にみるボリュームのブーイングで彼を迎えるに違いない、と。

それもサッカーの醍醐味の1つ。自ずから期待も高まるってもんです。んが、なんと田中マルクス闘莉王、通称「つーりお」、こともあろうに、累積警告により出場停止ときたものだ。

そんなアホな、と。どないやねん、と。遠足の日に雨が降った気持ちと言いましょうか、ワールドカップのためにあらゆる努力を積み重ねてきたのに、ワールドカップイヤーになるやコンディションを急激に崩してしまった感じと言いましょうか、とにかく、「うそん」てな気分になります。

俊輔(人並み外れた努力でプロアスリートになった人)の苦悩と、自分(お気楽に生きてるオッサン)のミクロなガックシを同じ土俵で語るワタクシには、きっと天罰が下ることでしょう。

ただ、この試合、もう一人、三都主がいたんですね。ブーイングの対象が。

正確な左足のキックを持つ三都主ですから、当然、コーナーキックとかも蹴るわけです。前半は、浦和ゴール裏の目の前でしたので、そりゃもう大騒ぎさ。

いや、痛快でしたね。「オレら、オマエのこと、忘れてへんからなぁ」の大合唱なわけですよ。「大嫌い、でも、大好き」。死ぬまでに一度で良いから言われてみたい。

さて、話かわって5月30日の清水戦。

清水には小野シンジですよ。これまた、ボールを持つ度にスタンドからは、漏れなく「大嫌い、でも、大好き」が投げつけられます。

これでエキサイトしなければ男が廃るってもんです。普段は温厚な小野選手が、宇賀神選手と、あわや乱闘的な小競り合いを起こしたり。でも、その後、「おっ!第2Rか?」とばかりに再び宇賀神選手に近づいたかと思いきや、実は仲直りの握手を求めに行っただけだったり。やっぱりシンジには笑顔が似合うのです。

さて、小野がブーイングされ当番を担当する一方、比較的ブーイングの音量小さめだったのが、永井選手。

福田選手の背番号9を継承するなど、浦和サポから見た愛着という意味では小野選手に勝るとも劣らない永井選手ですが、近年はあまり出番がなく、いまや清水で第5くらいのアタッカーです。

ただ、ドリブルのテクニックというか、縦に突破していく技術は流石のものがありますので、この日対面した浦和のSBサヌ選手も、対応に大わらわでした。

そんなサヌ選手を巧みにフォローして永井封じを遂行したのが堀之内選手です。基本的にバックアッパー的な存在ながら、おそらく技術そのものと同じくらい、その人間性やクレバーさによって、フィンケ監督の絶大な信頼を受けている選手ですね。

この日はナビスコということもあり先発出場。そして、ボランチとして中盤を締めるとともに、永井選手のサイドアタックのケアもキッチリ遂行していました。

完全なる一人二役だったわけで、どこで何をどう工夫すれば、「真ん中の守備」と「サイドの守備」が両立するのか分かりませんが、そんな矛盾した2つの役割を、破綻なくやりきったのですから、フィンケ監督が信頼を寄せるというのも頷けるところです。

永井選手は浦和サポのブーイングによる精神的圧力ではなく、堀之内選手のクレバーさによって途中交代に追い込まれたと言えましょう。

なんか、最後はブーイングの話じゃなくまりましたね。