フィンケを考えるその3/3(やはり「ウロウロ」がないと落ち着かないの巻)

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フィンケについて語ってきました本シリーズは、一応、今回で一旦終了です。また、何か思い浮かんだなら続編もあるかもしれませんが。

フィンケさんって、ドイツで成功した監督であることは間違いないですよよね。2部のクラブを1部に上げたのだから、一般的にそれは成功という範疇に入る出来事でしょう。

「CL優勝以外は成功とは言わない」とか「モウリーニョに比べれば大したことない」みたいな反論は御容赦下さいね。

ザッケローニJapan誕生の難産っぷりを見ていて分かるように、ヨーロッパ人の感覚からすれば、日本に来ることなんて、言わば「都落ち」なわけですので、「日本のクラブの監督を引き受けてくれる指導者」という観点からすれば、最上級の実績を誇っていると言って良いでしょう。

そんなフィンケさんですが、ここ「ふぁーいーすと」では大苦戦しております。ドイツで実績を残しているわけですので、フィンケさんのことを「無能」というのはバカげてます。上手くいかない理由を考えずにカタルシスを求めているだけの、思考停止ですよね、それでは。

フィンケさんが苦労している背景を考える前に、浦和が上手くいっていない理由を考えてみましょう。

ワタクシは数試合しか見ていませんので、毎試合応援されている熱心なサポーターからすれば、また印象も異なるかもしれませんが、前回に述べたように、まず「攻めます宣言をした上での緩急のない攻撃」ってのが、あるかと思います。

基本的にショートパスを繋ぐ遅攻で、相手もしっかりブロックを作っている。さすがに真ん中はこじ開けられないので、最終的にはクロスを放り込むが、しっかりと準備している相手DFに弾かれる、ってパターンが比較的多いかと思います。

ただ、たぶん、フィンケさんは、このスタイルのもとドイツで結果を残してきたんだと思います。ということは、遅攻そのものが悪いわけではない。実際、チャンスの量産にも成功している。

じゃ、なんで点が入らないのか?ってところで、ワタクシは、その理由を「エジミウソン」だと考えてます。

前にも述べましたが、別にエジミウソンのことをダメなFWだと考えているわけではないですよ。

ただ、「遅攻で最終的にはクロス」というチームにおいて、FWに求められる必要なプレーは、「止まった状態でヘディングをする技術」なんだと思うのです。素人発想ですけども。

そういうプレーが求められるとすれば、エジミウソンは適役ではないですよね。

少しアングルを変えます。

フィンケさんは、試合後の記者会見などで「チャンスは作った。けれども、それが合理的な結果に結びつかなかった。ならば我々がやるべきことは、もっともっと多くのチャンスを作ることだ」みたいなことを、毎回のように言ってますよね。

確かに理にかなった考え方だとは思います。ただし、チャンスを増やせば本当にいつかシュートが決まるのでしょうか?

別の言い方をすれば、合理的な状況を作れば、そのまま合理的な結果が得られるのでしょうか?

おそらくドイツでは、そうだったんだと思います。しかし、「合理的なプロセスから合理的な結果を得る」というのは、ドイツ人の持つ特異な長所なんじゃないかと感じるんですよ。

FWに限定すれば、「チャンスを確実に決める」ということになりますが、南アフリカのワールドカップを見ていても、そういう部分に関して、ドイツ代表って突出してませんでした?

なんか、クローゼとか、いとも簡単にシュートを決めているように見える。それはつまり、個人のスーパープレー一発で決めているのではなく、何人かの好プレーを適切に積み重ねていくことでゴールを奪っているということなんだと思います。

ドイツがワールドカップで大ハズレにならないのは、「教科書通りにチャンスを作って、それを確実に点にする」という合理性に、異常なほど優れているって要素もあるんじゃないかと思うんですね。

だから、ジャーマン生まれブンデス育ち、リーガの選手はだいたい友達なフィンケとしては、「選手は当然、そのような合理性を身につけている」という前提でチームを作る。

しかし、日本人は、どちらかというと、そういう合理性から縁遠いところにいますよね。

どフリーなときほど外す

みたいな。日本人のチャンスでの力みっぷり、焦りっぷり、そういう気質は、正直、フィンケの想像力を超えていると思うんですよね。

エジミウソンはブラジリアンですが、この人は「チャンスを確実に決める」というより、「自分のモードに入ったときに凄い決め方をする」ってタイプじゃありません?

古い例えで申し訳ないですが、クライファートみたいなタイプ。

でも、フィンケのサッカーで結果を残すのは「スーパーシュートを決めるが、イージーなシュートは確実に外す」クライファートよりも、ベルカンプとかサリナスとか、「ゴール前では恐ろしく冷静」ってタイプかと思います。

難しいことは何もできないが、簡単なことでは、まず失敗しない。浦和には、そういうフィニッシャーが求められているのではないでしょうか。

極端な話、ブラジルの全国選手権で得点王になる選手よりも、ドイツの2部リーグで10点取る選手の方が、フィンケのサッカーでは多くのゴールを上げられるような気がします。

エジミウソンには申し訳ないですが、以上のような理由で、エジミウソンを「戦犯」的に扱わさせていただきました。

余談ですが、タラ・レバを語れば、ワシントンとフィンケのサッカーは、相当に相性が良かったんだろーなー、なんて思ったりするのはワタクシだけでしょうか?

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