□花の都ダービー
何年か前、喜寿を迎えようとする母が母方の親族と東京に来ることがありました。その時に案内して最も喜んでくれたのが赤坂迎賓館。いくつになってもやっぱり女性は華やかな光景が好き。で、迎賓館といえば京都にもあるんですよね、しかも京都御所の中に。いわゆる御所(土御門御所と言うらしい)の他に仙洞御所ってのがあって、それに加えて迎賓館がある。こちらの迎賓館は21世紀、とゅうぇにーわんせんちゅりーになってからできたそう。
なぜ京都と東京に迎賓館があるかというと、そりゃ外国の貴賓がたくさん来るから。貴であり賓である人を迎えるから迎賓館。いつかは自分に向かって使って欲しい言葉、それが“賓”。宝くじ一発で金持ちにはなれても、品格が備わる可能性は限りなくゼロなんで、決して自分に向かって使われないであろう言葉、それが“賓”。ともあれ、なぜ外国の賓客がたくさん来るかといえば、歴史上の伝統的な都と、現在の都(京)だから。死にたいくらいに憧れる花の都なのですね。つまりはこの一戦は花の都ダービーなのです。
□直近好調対決
さて、のぞみ一択で乗り込んできた?サンガですが、快調です。ここ5試合の成績は4勝1分0敗で今朝の暫定順位は6位ですが、前節終了時は首位でございました。毀誉褒貶あるチョウ・キジェ監督ですけど、まあ、「ある人にとって不快に感じたらそれはハラスメントだ」って言いだしたら、社会で生きていく上で、というか人と人とが関係性を持って生きていくのであれば、不快な思いをすることも、また、させることも、そんなことは日常茶飯事ですからね。そういうことですよね。
迎え撃つFC東京はここ5試合、2勝2分1敗。順位も少し上げて14位。シーズントータルでは決して良い成績ではありませんが、クラブも生き物、良いときもあれば、悪いときもある。新監督とチームとの擦り合わせに時間がかかることも、そりゃ当然あるわけで、「世の中そうそう良いことばかりじゃないわね」という人生経験を積んだ達人サポーターたちは、ある程度悟りの境地にあるのかもしれません。
□京都の大量リード
というわけでピッチに目を移します。まずはサンガですが、中盤は福岡アンカーに平戸と武田将平。なんとなくチョウ監督率いるサンガが好調のときは武田が先発できているときのような気もする。そんなチョウサッカーの真髄は「人ではなく場所にボールを出す」。考え方としてはポジショナルですが、綿密な配置ではなく気合と根性と運動量でスペースに出されたボールに追いつこうというのが日本のガラパゴス性でしょうか。
一方のFC東京は442で2列目に俵積田と野澤が入っている。FC東京のウイングってこんな若者中心のメンツでしたっけ?遠藤とか小柏とか佐藤ケインはどこに行った?というよりもけが人がめっちゃ多いのか?もちろん俵積田や野澤に文句があるわけでは決してないですけど。でも、多分けが人が多いですよね、室屋でなく長友が先発でしたし。442だと仲川がSHとして計算しづらいとかみたいな事情もあるんですかね?
ともあれ前半の攻防ですが、前半10分までに2回もPKを与えて、あっさり2点のリードを献上するってどういうこったい。1点目についてはバングーナガンデの個人的ミスですかね。落下点を見誤ってアフターでぶつかっていけば、そりゃPKだよ。2失点目は、その前のコーチングの段階で明らかに意思疎通がてきていなかったキム・スルギュとショルツのところのミス。こりゃアカン。前半ロスタイムには平戸のパーフェクトアーリークロスに鈴木が合わせて3点目。まさかの3ー0で折り返しました。
□FC東京の大敗
さてハーフタイムがあけて後半開始となりますが京都の選手たちがなかなかピッチに戻ってこない。もはやこれも新手の時間稼ぎなんじゃないかというくらいの遅刻。FC東京サポーターからはブーイング。これは仕方ない。さすがのチョウ監督もペコペコします。そしてただでさえ遅れているなか、宮本はさらになかなかピッチに戻ってこない。これには主審のイバン・バルトンさんもブチ切れ。円陣を組むことを許しません。これも仕方ない。
ともあれ後半ももちろん追いかけるFC東京が攻めたてます。しかし、前半と同様に京都が固めるブロックの外周で躍らされている感じがしないでもない。ただ、FC東京もそれなりに立派なところはあって、ブロックの外周からのクロスでもなんだかんだで決定機を作るんですよね。おそらく、そういうトレーニングをしているんだと思います。ポゼッションでやる以上、最後はブロックをこじあけないといけない。その対策はしているということでしょう。
さらにFC東京には強力なWジョーカーもいる。マルセロ・ヒアンもマルコス・ギュレルメが登場します。投入直後は期待感も結構ぶち上がりました。しかしそれもやがて一段落すると、最後にもう一つの落とし穴。出しどころのない状況で無責任にボールを戻されたキム・スルギュが苦し紛れに東に出したところを奪われて、エリアスにハットトリックを許してしまいました。そりゃゾロゾロと観客も帰り出すわって話。というわけで、FC東京がコテンパンにやられたとさ。