摩訶不思議な岡山の強さ〜ザスパ群馬vsファジアーノ岡山(3/24)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□晴の国vs赤城おろし

群馬の大槻監督と岡山の木山監督って同い年なんですね。ともに1972年生まれなんだそうで。逆に言うと、それくらいしか共通点が見つからなかった。そもそも気候が真逆。岡山は“晴の国”ですからね。実際には快晴率が日本一高いわけではないみたいなことも聞いたような気がしますけど、冬でも過ごしやすいことは間違いない。

対する群馬は上州の空っ風なわけで。特に正田醤油スタジアムのある前橋は“赤城おろし”の本場。冬は寒いんじゃ(敢えての千鳥風=岡山弁)。で、冬の気候の厳しさと比例するように、経営の安定性も好対照。ゴールドマンサックスな社長がレールを敷いた岡山は、比較的安定した健全経営。逆に群馬はチーム名の転変が示唆するように、右往左往の七転八倒、あるいは七転八起。そんな両者の対決です。

 

□首位vs最下位

さて、東海道新幹線上越新幹線を乗り継いで?乗り込んできた岡山ですが、今シーズンはここまで4勝1分の無敗。しかも目下3連勝中で首位に立っております。素晴らしい成績ですね。別に、1位、すなわちナンバーワンにならなくても、もともと特別なオンリーワンなんですけど、どうしても順位を比べたがる。こういう世界に一つだけの花イズムという部分では、スポーツ界ってまだまだ遅れているのかもしれません?

迎え撃つ群馬は、ここまで2分3敗で勝ちがない。しかも目下のところ3連敗中で、順位は最下位、すなわち二十位です。その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな、そう、「おごりの春」、盛者必衰の理をあらわしています。ということは逆から言うと、衰者必盛の理もあるかもしれませんので、ここから巻き返していく可能性に期待しましょう。……大槻さん絡みでいろいろ腰が落ち着かなかったってのもあるかもしれないですし。

 

□ともにファンタジーは追求しない

というわけでピッチに目を移します。まず岡山ですが、基本は左で崩して右で仕留める、って感じなのでしょうか。左はシャドーに田中、ボランチが仙波、WBが末吉でCBが鈴木ですからね。特に末吉が高い位置で絡めるとチャンスになってました。仕留める側の右は長身FWの太田に加えてのWBも長身の柳。柳、更生してますかね。いろいろありましたが。同世代のライバル、ヴェルディユースのFWだった郡はいろいろの部分を制御できずにサッカー界からはドロップアウトしましたが、やんちゃなヴェルディに対して行儀良さ目のFC東京ユース。行動とプレーで贖罪してください。ちなみに柳(やなぎ)と郡(こおり)でだいたい柳行李(やなぎこうり)ですね。

ともあれ、対する群馬はシステムが左上がりの442とか3421とかあれこれ言われますが、一つ確実に言えることは佐藤亮は右SHの位置、しかもほぼライン際にいるということです。逆足の滝君。そして高澤は、より平松に近いレーンで縦関係(前者が下で後者が上)になりがちだということです。

志向するサッカーは、アプローチは真逆ながら、少なくとも前半の戦い方は類似していたと思います。すなわち、リスクを避け、人数をかけずに、前線の裏抜けに託す戦い方です。ただ、岡山は昨今のポジショナルブームに則って、ある程度低い位置でボールを回して正しい位置取りができたらヨーイドンって感じなのに対し、群馬はスタンダードというか、クラシカルなカウンタースタイル。奪ったら前線が走って、何はともあれそこに向けてパスを出したり、あるいは高めで奪ったら一直線にドリブル突破、みたいな戦い方でした。

 

□シャビエルのラストプレー

渋〜い前半の戦いを見る限り、塩化ナトリウムに満ちた試合になるかと思いきや、後半早々に試合は動きます。川上がヤケクソ気味?にクロスの角度からシュートを撃ったら、それがオウンゴールを誘発して群馬が先手を取ります。しかし岡山も引きません。サイドからのパスを受けた仙波が完璧に折り返して相手守備陣を引き裂くと、そのまま完璧なミドルシュートを決めて試合は振り出しに戻りました。仙波、試合を通じて良かったですね。ペナ下で二次攻撃をコンダクトするってシーンが何度もあって、アジリティとパスの正確性などには惚れ惚れしました。

さて終盤の戦いですが、群馬は一貫してアタッカーの誰かが長い距離のドリブルすることで攻撃が可能になる。アタッキングサードにボールを運べる。その群馬の単騎突破を受け止めて、そこのクオリティ不足につけこんでボールを奪ってそのまま裏返すというのが岡山の基本的な攻撃パターン。ある意味、両チームとも攻撃の再現性という意味では物足りない部分を禁じえないのですが、それでも勝ち点3を奪うのが首位のチームだし、そこで勝ち点を得られないのが最下位のチーム。ロスタイムも尽きようとするラストプレーでシャビエルが決勝ゴールをあげました。岡山から勝ちそうな雰囲気はあまり感じなかったので摩訶不思議な勝利ではあるのですが、群馬が相手の前がかりに攻め続けてきても、慌てることなく悠然とマイペースにサッカーをしていたところがウイニングメンタリティというか、好調なチームの強さなんでしょうね。なんとも哲学的な一戦でございました。