残酷な明暗〜SC相模原vsギラヴァンツ北九州(9/30)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□地味な方の政令指定都市ダービー

実はこの試合が年初予定では早くもワタクシ的今シーズンラストマッチなのですが、何の因果か、それが裏天王山となってしまいました。相模原はともかく、ニューウェー……ギラヴァンツがねぇ。まさか、まさか。ともあれ、この両チームには明確な共通点があります。それはズバリ“地味な方の政令指定都市”である、ということ。例えばサッカーに興味のない北九州市民は、横浜と川崎は知っていれども相模原とか知らないだろうし、相模原市民にとって福岡県の政令指定都市といえば福岡市だと思うのですよ。

それぞれ、市の名前がかなりムリヤリなのも似てますね。“相模原”はそもそも広域地名だし、“北九州”に至っては、“北”の下に“九州”を付けるとか、広すぎやろ、と。北九州の場合、小倉市で良かったんじゃないかとも思われますが、八幡とか若松とか折尾とか門司が怒るんでしょうね。中心が複数あるのです。逆に相模原には中心がない。相模原駅相模原市役所近辺が相模原の中で最も栄えているかといえば、決してそうじゃないですし、橋本に政令指定都市の看板を背負わせるのはどう考えても荷が重い。……とにもかくにも、“地味な方の政令指定都市”ダービーです。

 

□裏天王山も好対照

この試合、裏天王山ではあるのですが、目下の調子は好対照。まず相模原は調子が良いのですよ。ここ5試合を見ても2勝2分1敗。どこの昇格を争うチームですか?ってくらいのものです。最初から戸田さんと心中しようとせずにベテランを補強しておけば良かったのに。順位もブービーに上がりました。我々世代的に“ブービー”といえば「パーマン」ですが、相模原もようやくパーマンの域に到達しようとしている。

反対に北九州は調子が悪い。監督にラスボスが登場しても低空飛行が劇的に改善するということはない。ここ5試合を振り返ると、1勝1分3敗で、相模原に替わってビリになってしまう。東海地方出身のワタクシとしては、最下位のことを“ビリ”とは言わず、ついつい“ドベ”と言いたくなる癖がいまだに抜けないところです。……そういえば18歳で上京した頃、埼玉県民である友人に「東京では“ドベ”ではなく“ビリ”だよ」とドヤられたなぁ。

 

□北九州が攻める

さて、例によって相模原は疑似カウンター的なサッカー。問題は、それが意図的に相手を引きつけているのか、あるいは結果的に押し込まれているだけなのかがわからないところ。ともかく、低い位置からレーザービームで齊藤聖七を走らせる。システム的には中盤逆三角形の352だと思いますが、牧山がフレキシブルな位置取り。相手エンドでは齊藤と並んで3421っぽくなって、自陣では増田と並んだISHになるイメージ。

対する北九州は、ボランチの永野が永野ですね。永野の何が永野かというと、髪の長さが永野、芸人の。ただ、ややこしいのは右SHとしてアジリティを効かしていた野瀬が永野以上に永野だった点。もちろん髪型の話ですけど。サッカーの内容はラスボス・コバさんなんで442。CBがボランチに刺して、そこからサイドに展開するか、1列飛ばして平山のポストワークを生かしていくかって感じ。352なんでWB裏とアンカー脇が空くので、そこを上手く突けていました。

で、そんな北九州が序盤から圧倒していて、オフサイドで取り消された幻のゴールとかもありましたが、相模原も少しずつ押し返していく。そんな中でラスボス・コバさんが「焦るな!」って声をかけたタイミングで、同時にゴール裏からいかにも炭鉱の町の男たちって声色の「行くぞ〜!!」って発破がかかった感じが面白かったです。さすがは鉄と油にまみれながら近代日本の勃興と戦後の高度成長を支えただけのことはあります。

 

□北九州が力尽き

ハーフタイムが明けた後半2分、野瀬が先制ゴールを決めます。よく知りません。トイレに行ってました。ハーフタイム終わりかけにトイレに行くのが最も合理的だという経験則が裏目に出ました。ともあれ相模原的には追いかける展開になりましたので、戸田監督は魂の3枚替えを敢行します。2トップを安藤&デュークに入れ替え、さらにベテラン岩上のところに元気な西山を入れる。まあ、いつものパターンですね。

その、いつものパターンが大的中。まずファンタジスタ西山が、いつも通りの存在感を示します。重厚な岩上に対して、軽業師のような西山。相手の脇をすり抜けつつ縦パスをビシビシ突き刺していく様は見ていて爽快です。そんな西山以上に大的中だったのが2トップで、特に安藤。投入された安藤は、さっそく絶好機を迎えると、思いっきり当たり損なう。でも、自分も相手もボールともつれながら、なんやかんやでこれが同点ゴールに。

その後も安藤&カルロスの2トップのコンビネーションで北九州守備陣をキリキリ舞いにし続けると、キレっキレの安藤がミドルレンジのファインショットを突き刺して勝ち越し。相模原が逆転に成功します。逆に北九州は、後半の途中から中盤から前線にかけての運動量がガクッと落ちると、最終ラインの耐久力もわかりやすく低下。小林監督も、その最終ラインをテコ入れしますが、焦りがミスを呼ぶ悪循環にはまりこむ。目下の調子をそのまま反映するような展開で、相模原が残留を引き寄せる大きな勝ち点3を掴み取りました。