大人の意地〜東海学園大学vs鈴鹿アンリミテッドFC(8月27日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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天皇杯一回戦、愛知県代表と三重県代表の試合を見てきました。

■前半

天皇杯の醍醐味、それは、普段は異なるカテゴリーで戦っているチーム同士が対決するところ。一回戦とかは近い地域同士の対決になることが多いので、練習試合とかではしょっちゅうやってそうですけど、少なくとも公式戦で大学である東海学園大学と、アマチュア社会人クラブである鈴鹿アンリミテッドが対決するというのは、相当珍しいパターンです。東海大学リーグと東海社会人リーグでは、どっちのレベルが高いのでしょうか?

 

 

ついつい我々は大学生はあくまで“学徒”であり、アマチュア社会人クラブは大人ですから、大人である社会人クラブの方が、成長段階である大学生よりはクオリティが高いような先入観を持ちがちですけど、サッカーに関しちゃなかなか微妙なところ。この試合では鈴鹿アンリミテッドが東海学園大学を押し込んではいましたが、果たしてそれが技術力の差による必然なのか、東海学園大学側の戦略なのかは、自明のことではなさそうでした。

 

 

なんというか、鈴鹿アンリミテッド、押し込んではいたのですが、押し込んでいるだけだったんですよね。一応、攻め込んでいるように見えながら、じゃあペナルティーエリア内に人数がいるかといえば、全くそんなことはなく。人数をかけてはいるものの、結局は東海学園大学が形成している守備ブロックの周縁を右往左往しながら、さっぱり突破口は見つけ出せず。「で、そこからどうやってシュートまで持ち込むの?」ってことの繰り返し。

 

 

逆に東海学園大学の方は、チャンスこそ多くないものの、その少ないチャンスでアタッカー陣がゴリゴリの推進力を見せて相手ゴールに襲いかかる。要するに攻撃は個人技に託しているという部分もある。けれども、決してそれだけでなく、相手陣内で数的優位な状況ができると、そこから一気にスイッチオンとなって、小気味よい流麗なパスワークが発動したりもする。そんな“肉を切らせて骨を断つ”みたいなカウンターから先制点を決めた東海学園大学リードでハーフタイムを迎えます。

 

 

 

■後半

前半を押し込みながらもビハインドで終えた鈴鹿ですが、後半に入るとさらに圧力を高めます。その中心にいたのは小澤司。前半のうちに渋谷と交代でピッチに入るや、ほぼフリーマンのような流動的なポジショニングで鈴鹿の攻撃を牽引します。初期設定は右サイドだったかと思いますが、左に流れたり、真ん中で勝負したりと八面六臂。前半はなかなか中央で勝負できていなかったところに思いっきり大きな風穴をこじ開けます。

 

 

攻撃に関しては、「1から10まで」と評価して過言でないくらいに、全てを1人でこなしていた小澤。挙げ句の果てには、直前のスローインで手を滑らせて、あわやファールスローみたくなってしまった右SBの原からボールを取り上げてスローインしてしまうくらいに全てを一手に引き受けていた。おそらく、先発で使われていなかったのは、この選手を先発させると、チーム全体が彼に依存してしまうから、それを抑止するためのなのではあるまいか。

 

 

そして、小澤の活躍に触発されるように、それぞれの選手がそれぞれの意地を見せるようになる。例えばゴールキーパーの岡田。鈴鹿は人数かけて攻めている分、何度もカウンターから決定的なピンチを迎えていた。その度にゴール門番として立ちはだかったのが、小澤同様、元水戸のJリーガーであるGK。さらに、讃岐で活躍した、やはり元Jリーガーの堀河は、ミスの少ない安定した技術で、小澤が動き回る分のバランスを整え、リスクマネジメントをしていた。

 

 

元Jリーガー以外も意地を見せます。同点ゴールを決めた北野は、実は相手となった東海学園大学のOBだったりする(らしい)。そりゃ、後輩の手前でヘンなところは見せられません。先輩としての面目躍如のスーパーミドルでした。さらに決勝ゴールの小西は中京大卒です。東海地方の大学サッカーを牽引してきた中京大OBとしては、その座を脅かす東海学園大学の軍門に下るわけにはいきません。これまたライバル大学卒としての意地でございました。結果は延長にもつれながらも2対1で鈴鹿アンリミテッドが社会人としての意地を見せて、2回戦進出を決めました。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

・鹿山拓真、本多琢人

 

 

□推薦理由

いや、別にプレーそのものがどうのこうのってわけではないんですけどね。天皇杯のパンフレットを買って読んでいると、東海学園大学のスタメンの多くが系列校の出身とのこと。どうやら、東海地方における流通経済大学を目指しているらしい。そんな中で複数の選手がスタメン入りしていた高校が中央学院と長崎南山だったりする。なかなか渋いですね。どちらも高校選手権の常連って感じではないですが、上に挙げた選手は、そのうち長崎南山高校出身のご両人。

 

 

長崎南山でしょ。もう、完全にミッション系ですやん。そもそも長崎は隠れキリシタンとか、そういう伝統でカトリックが多いですし、名古屋(近郊でしたっけ?)にある南山大学って、これまたキリスト教の学校ですよね。ともあれ、長崎といえど国見でなければ、小嶺さんのいる長崎ナントカ大学付属でもない。進学先も関東リーグでなく東海リーグ、しかも中京大でなく東海学園大学。これだけマイナーな経歴で日本代表まで成り上がったら、チビッコに夢が与えられます。頑張ってくださいませ。