金崎君、ぶちきれるの巻〜鹿島vs湘南(8月20日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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どちらもセカンドステージは調子が今ひとつ。特にのっぴきならないのは湘南。そんな対決を見てきました。

 

■前半

 

年間勝ち点の差が今シーズンにおけるチーム力の差ですから、必然的に湘南は弱者という位置付けになるのですが、湘南スタイルは弱者の戦術を許しません。持ち前のハイプレスだけでなく、抜擢された武田と神谷のWボランチが強気にゲームメイクしていました。低い位置から狙いのあるパス出しをして、受けた選手たちが責任を持ってドリブルを仕掛けていく。鹿島守備陣の隙間をヌルヌルと引っ掻き回すシーンが序盤から散見しました。

  

  

とはいえ、これはこれで鹿島にとっては好都合だったかも。湘南が低い位置でゲームメイクしてくれるということは、そこにプレッシャーをかけて奪えたら、決定的なショートカウンターを発動できるということですから。なので、じっくり相手の様子見をする伝統の鹿島としては意外なくらいにハイテンションなハイプレスをしかけます。もちろん、それは前述したような湘南スタイルを踏まえてのもの。これはこれで、一つの戦術眼です。

 

 

そんなわけで、調子が上がりきっていないとはいえ、鹿島はいつ何時たりとも鹿島なわけです。もうね、「えっ、そんなところに3人目の選手が走ってたの? よく見てたね〜」ってなパスがバシバシと通るのですよ。ワンタッチ、ツータッチで、局面から離れたところにパスを出したら、ちゃんと選手が走ってた、みたいな。「尋常じゃないくらいにクリアな間接視野を持ってるのか?」とか思ってしまいますが、実際には鹿島伝統の“阿吽の呼吸”ってヤツでしょう。

 

 

なかでも絶妙な“阿吽の呼吸”を感じさせたのが、エース金崎と若大将鈴木の、鹿島右サイドコンビ。この2人が湘南左サイドのスペースをガンガンに攻略しまくっていた。もちろん、ワンタッチ、ツータッチのパスワークで。湘南の左というは菊池大介のサイドですからね、耐久性には不安があるところ。そこでチョウ・キジェ監督は前半のうちから武田に代えて奈良輪を投入し、菊池をボランチにスライドさせることで修正を図ってきました。

 

 

 

■後半

前半をスコアレスで折り返した後半戦は、さながら湘南キジェ監督とアントラーズ石井監督の知恵比べのような様相を呈します。選手交代の采配対決といいましょうか。まず興味深かったのはボランチの采配。湘南のキジェ監督は長谷川アーリアジャスールをピッチに送り出し、チームにダイナミズムを付与します。さらには長谷川を一列上げて岡本を投入。この試合、湘南は、神谷・武田・菊池・長谷川・岡本と、5人の選手が入れ替わり立ち替わりボランチに位置に入りました。

 

 

対するアントラーズの石井監督は石井監督で勝負師です。やはりボランチに関する采配で、キャプテンの小笠原を途中交代させました。ベテランに蒸し暑い夏場は厳しいということもあるんでしょうけど、少しプレーのクオリティが低かった。途中交代もいたしかたないところ。しかも、代わりに登場したのが柴崎岳ですからね。その名前がアナウンスされたときにスタンドからは、この試合一番ともいえる大歓声が起きました。さすがは10番。

 

 

この日の石井監督の采配はシビアでしたね〜。ピッチでのパフォーマンスだけを判断材料としたドライなカードの切り方に徹していた。最も象徴的だったのは、エース金崎を途中でピッチから去らせたこと。ここのところゴールも少ないですし、これまた妥当な判断ではあったと思いますが、当の金崎本人はブチキレまくり。監督との握手は拒否するわ、ベンチのペットボトルは地面に投げつけるは、悪態の限りを尽くしていましたね。

 

 

これが、監督が名波さんなら「チームの和を乱す許されない行為」だとして「ペナルティーとして次の試合は使いません」ということになるんでしょうけど、より優しそうな石井監督はどういうマネジメントをするのでしょうか。ともあれ、悪いのは100%、金崎です。だって、決勝ゴールを決めたのが石井監督が残した鈴木なんですもん。いやあ、ふてぶてしいシュートでしたね、鈴木。なんだか貫禄とか風格さえも感じさせる。そのまま鹿島が1点差を守りきりました。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

・神谷優太

□推薦理由

有名といえば有名な話ですけど、この選手の履歴はなかなかトリッキー。ヴェルディのユースを途中でやめて、高体連青森山田に移籍してしまったんですからね。自分に足りないものを求めて青森まで行くのだから大したものです。ちなみに青森山田の大先輩といえば柴崎岳なわけですが、柴崎が投入されたのは神谷がピッチを退いた後。残念ながら対決は実現しませんでしたね。他に櫛引もいますけど、いまだ曽ヶ端の牙城は崩せないらしい。

 

 

ともあれ、プレースタイルそのものは青森山田的要素よりもヴェルディユース的要素が目立ちますね。なんといっても、いちいちプレーが強気というか、自信満々というか、良い意味で生意気なんですよ。若者らしくて宜しい。ヴェルディの下部組織でボランチ(中盤)、そしてプレーが強気で、雰囲気が生意気となると、どことなくオランダに旅立った小林祐希を想起させますよね。ヴェルディユースの先輩に追いつけ追い越せで頑張っていただきたい。