湯澤の神がかり〜水戸vs讃岐(8月21日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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日曜日は、J2で残留争い危険地帯より、ほんの少しだけ上の順位にいるチーム同士の対決を見てきました。

■前半

やや旧聞に属すニュースになってしまいましたが、イチローがメジャー通算3000本を達成しましたね。黒澤明的な美学よろしくな寡黙でクールなキャラクターも相俟って、もはや日本人のアイデンティティそのものな存在でございます。そんなイチローを世に送り出したのが、いまはなき仰木彬。大学生のころ、仰木マジックに傾倒しておりました。仰木さんの真骨頂は合理主義に基づいた奇襲攻撃の数々。ジャンルとしては“策士”に分類されるでしょう。

 

 

その対極といえるのは、因縁浅からぬ野村さんではなく、藤田元司川上哲治といった、巨人黄金期を率いた名将たちだと思います。とにかく慎重で、常套的なことしかしない。足が速い1番とバントが上手い2番バッター、みたいな。ホーリーホックの西ヶ谷監督は、この2類型のうち、後者、王道のジャンルでしょうね。442で真ん中で作り、サイドに振って崩して真ん中にリターン。白井の先制点は、まさに、そういうかたちからのゴールでした。

 

 

対するカマタマーレの北野監督ですが、基本属性は詳しく存じ上げないものの、この試合のシステムから判断する限り、仰木彬タイプ。ややもすればトリッキーなこともしてきます。なんせ、システムが中盤ダイヤの343だったりしますからね。当然、工夫しないとバランスが維持できないはずなんですが、さほど、アンバランスは感じませんでした。中盤ダイヤ左右に入った馬場と渡邊大剛というサッカーIQの高いベテランが成り立たせていたのでしょう。

 

 

このシステムの長所として、2トップに対して3バックですから、最終ラインが攻守において1枚余る。特に攻撃の際に左CBに入っていた我那覇が余っていて、そこからゲームメイクがなされていた。「“CB”我那覇が影の“司令塔”」とは、どんだけトリッキーなんだよ、と。でも皮肉というか何というか、前半のうちに追いついた同点ゴールはコーナーキックからミゲルが決めたものなんですよね。システムとか、関係あらへんがな、と。ともあれ同点のままハーフタイムに。

 

 

 

■後半

西ヶ谷サッカーの神髄、それはパスワークだと思います。よく訓練されたチーム戦術。その結晶とも言えるのが、2点目のゴール。サイドでそれはそれは流麗な崩しを見せると、クロスにストライカーの平松がヘディングで合わせるという、お手本のような得点パターン。サイドでの崩しなんて、左サイドに4人が押し掛けていたんですよ。SHとSBに加え、2トップとボランチの片割れがサイドアタックに参加するんだから、えげつない。

 

 

まさに「西ヶ谷イズム爆発!」ってシーンだったのですが、実は、その直前に面白い光景がありました。西ヶ谷監督がピッチから転がってきたボールを思いっきり外に向かって蹴り出したんですよね。そんなエキサイトするような場面でもなかったように思うんですけど、いろいろフラストレーションが溜まっていたのでしょうか。いや、そうではないでしょう。あれは、「西ヶ谷イズムを発動せよ!」という合図だったに違いない。ボタンを押したらミサイルが発射されて得点が生まれたのです。

 

 

そんなパスワークというチーム戦術を武器とする水戸ですが、それでも最後の最後に助けてくれるのは個人技だったりします。せっかく勝ち越したっていうのに、数分後にはPKを献上して安い失点で追いつかれると、さらに、今度は、主審の不安定なジャッジにナーバスになったロメロフランクが異議を唱えて、退場になったときたもんだ。やってるサッカーは悪くないのに、今ひとつ勝ち点が伸び悩む水戸。きっと、こういうところなのでしょう。

 

 

1人少ない状況ですし、引き分けで勝ち点1を守り切れれば御の字となったなか、それでも水戸に勝ち点3が転がり込んだ。殊勲者は湯澤。前半から神業のようにキレキレのドリブルを見せていた湯澤が、最後に残ったHPとMPを総動員して、1人で4〜5人を切り裂く、ドリブル&スルーパス。角度がないシュートを決めた白井も素晴らしかったですけど、湯澤の働きは少し常軌を逸していた。ちゃんと、こういうタレントをチームに組み込んでいたからこその勝利。素晴らしいゲームでした。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

・アラン

□推薦理由

2度までも同点に追いついた讃岐。2回目の同点ゴールはPKでした。そのPKのシーンで監督でもないのに、コーチングゾーンの一番前で大きく身振り手振りしている、ビブスを羽織ったブラジル人らしき選手がおりました。「おいおい、どーした、どーした!?」ってな話ですが、よくよく見ていると、なにやらブラジル人DFのエブソンに指示を与えている。ああ、そうか、通訳の役割を果たしているわけね。この場合、コーチングゾーンに出ることは許されるのか?

 

 

ともあれスポナビさんのアプリを開いて、誰であるかを調べてみる。名前的に該当しそうなのはアラン。名前をクリックしてみると、日本の高校を卒業しているらしい。なるほど、日本語が喋れるわけか。そういや、昔、ジーコジャパンの時に、三都主アレサンドロがピッチ内の通訳的な役割を果たしていましたよね。こういう背景の選手が1人いると、ブラジル人監督になったときに、とても重宝されます。どうだね、帰化してブルーのユニフォームを目指してみるというのは!?