■フランス 2 vs 1 ルーマニア[EURO2016 06月11日]
昔、ワタクシが小学生だった頃、ソウルオリンピックが開催されて、そのときの担任の先生が、授業中であるにもかかわらず、テレビを点けて、開会式を見せてくれました。厳密には自分が見たかったら見ただけなんだと思いますが、そのときに発した言葉が「オリンピックなどスポーツの大きな国際大会を見れば世界がわかる。例えば、選手入場を見ているだけでもいろんな国、いろんな国旗があることがわかるでしょ」というものでした。一理ありますよね。
それはワールドカップでもいえますし、ユーロも同じ。例えば、この試合の選手入場の光景を見ていると、「フランスはかつて多くの植民地支配を展開していたんだな。逆にルーマニアには、おそらく南半球などには植民地がなかったらしい。」なんてことが伝わってきます。フランスの場合、スタメン11人中少なくとも5人が移民の子孫であろうと予想される。そして、そういうバリエーションがサッカーの国力を向上させていることは紛れもない事実。
世界がわかるといえば、世界経済についても、なんとなくわかりますよね、広告看板を眺めていれば。「KIA MOTORS」とか「ENERGY of AZERBAIJAN」の看板は出ていても、日系企業の看板が出てきませんでしたよね。ソニーとかトヨタって、昔からユーロはスルーでしたっけ? ちゃんとチェックしてきたわけではないので確かなことはいえませんけど、10年くらい前までは「日本の企業はどこにでも広告を出すんだな」と感じることが多かったので、なくなったらなくなったで、少し寂しい。
ともあれ、ユーロの開幕戦。それはつまりホームのフランスが大声援に後押ししながら船出を飾るための試合。なのですが、FIFAランク的には格下のルーマニアも立派でした。気が強いというか、ヨーロッパの国同士ですからそれが当たり前なのかもしれませんが、まったくビビらない。“勇戦”という言葉がこれほどぴったりとくる状況も珍しい。自分たちのパフォーマンスを臆することなく、正面から出し切りながら戦っていましたね。素晴らしかった。
フランス視点に立てば、「悪くはないけど、なんだかなぁ」といった印象だったでしょうか。ベンゼマがいない影響とかもあるのかななんて思ったり。具体的にはジルーが消えていたように思われたのです。カラダを張って前線でキープするという場面がベンゼマほど多くなかった感じなので、そこら辺の問題かな、と。でも、先制点を奪ったのはジルーなんですよね。これがサッカーの面白いところ。CFですから、得点さえ決まれば、それで英雄なわけです。
パターン的に、このままフランスがリードを保つなり追加点を奪うなりして逃げ切りそうなものだったのですが、後半の20分にPKを決めたルーマニアが追いつきます。こうなると今大会唯一のホームチームとしては、引き分けのまま終わるわけにはいかない。デシャン監督もドンドンと選手を替えていく。しかも、ポグバとかグリーズマンとかを下げちゃう。思わず「大丈夫か、おい!?」と驚いたのですが、大丈夫でした。ピッチに残したパイエがドッカンミドルを突き刺しました。いやぁ、さすがEURO。ちょーおもしれっー!!