ドイツとフランスの相違するバランス感覚についてアレやコレや分析してみる【フランスvsドイツ】の周辺をウロウロと…★ワールドカップ各試合を振り返る★

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■フランス 0 vs 1 ドイツ[WC準々決勝 07月05日]

キックオフから互いに「いつものサッカー」ってヤツを展開していました。ドイツは、例の、バイエルンなサッカー。一方のフランスはベンゼマの縦への迫力を最大限に生かそうという、ときには縦ポンも辞さないサッカー。そんな、互いがジャブを打ち合っている状況の中で、不意に先制点が生まれます。フリーキックフンメルスが合わせただけの、ごくごくシンプルな得点でしたけど、今回もまた、ワールドカップでの得点とは、こういうもの。

 

 

時間とともに両チームの選手が汗をかき出すと、それぞれのチームのクオリティというのが出てくる。前半の半ばには戦前の予想通りに【ポゼッションのドイツvsカウンターのフランス】という構図で試合が進んでいくようになります。で、前半も終盤になると、両チームともにシュートまで持ち込む場面が増えていき、同時に、ちょっとした接触でPKを主張するってシーンが目立つようになりました。互いに相手にストレスを与え合う、そんな前半戦だったといえるのではないでしょうか。

 

 

後半に入っても見応え溢れる一進一退は続く。相変わらずポゼッション的にはドイツなのですけど、フランスのカウンターの鋭さも健在で、相手ゴール前における攻防の回数自体は、ほぼ同じくらい作っていたのではないでしょうか。ドイツがリードしつつも、追いかけるフランスも刃をちらつかせて襲いかかる。ヒリヒリするような神経戦。両指揮官ともに、慎重に慎重にカードを選んで切っていきます。ドイツはシュールレゲッツェ、フランスはレミーとジルーが登場。ガチンコのどつき合いは結局90分(+α)続いて、そのまま10でドイツが優勝候補の威厳を示しました。

 

 

この試合、ドイツの3ハーフはシュバインシュタイガーをアンカーにクロースとケディラをインサイドで使ってきましたね。イメージ的にはダブルボランチ+アンカー。要所を押さえてフォローに専念するアンカーのシュバインシュタイガーはさすがでしたが、クロースとケディラのインサイドコンビも対照的で興味深かったですね。クロースがボールを持てば縦にクサビのショートパスを入れて組み立てていく感じで、ケディラが持てば左右に大きく展開するか、一度下げてじっくり体勢を整えるってやり方になる。長短のパス、速攻遅攻を両者で分担しているようでバランスの良さを感じました。

 

 

一方、フランスはフランスでバランスの崩れないチーム作りをしていました。フランスの特徴は、その左右対称加減にある。例えば両ウイングのバルビュエナとグリエスマンはアジリティーと推進力のあるタイプで、大まかには似ている。またインサイドハーフのポグバとマトゥイディも大柄でダイナミックながらなんとなく冗長な雰囲気がパトリック・ビエラを雑にしたようで同系統。SBのドゥビシューとエブラも攻守にバランスのとれた典型的SBという意味で印象が近い。そこに背骨としてのベンゼマとカバイエが芯を通す。ベスト8でドイツに屈しましたが、なかなかグッドチームだったといえるのではないでしょうか。