SBの重要性についてアレやコレや再認識してみる【ベルギーvsアメリカ】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■ベルギー 2 vs 1 アメリカ[WC準決勝  07月02日]

「序盤戦だから相手の出方を伺おう」なんていう様子見モードは一切なかった試合。序盤から両雄ともに攻めまくりましたねぇ。決勝トーナメントですからね、「負けない」ではなくて「勝つ」となると点を取らないといけません。なので、のっけから両ゴール前が忙しい展開に。ワタクシもときどき使う表現ですが、「テニスを見ているような試合」。こういう感じになるのは、概ね後半30分過ぎと相場が決まっているのですが、それが前半からずっとだから凄い。両チームに共通するのが、解説の名波さんと賑やかし担当の松木さんも繰り返し述べていたように、縦に速いというところ。違うところは、前線にボールが運ばれた後。ベルギーはドリブル重視で、アメリカはアーリークロスって感じ。

 

 

後半に入ると、やおら試合はハーフコートゲーム化します。ベルギーが前線のタレントを生かして、攻め立てまくる。アメリカはクリアするのが精一杯で、なかなかカウンターモードに移行できない。そこでクリンスマン監督はウォンドロウスキを右サイドのズシに代えて1トップの位置に投入。デンプシーがトップ下に下りて、トップ下のブラッドリーがボランチにスライド、ボランチに入っていたジョーンズが右サイドに回すという配置変更で打開を図ります。・・・が、打開できません。相変わらずベルギーが攻めまくる。シュートを撃ちまくる。90分間で枠内シュートが30本だとか。しかし、ハワードが神がかってました。アトランタ五輪ブラジル戦の川口ばりのスーパーセーブでゴールを割らせません。

 

 

試合が動いたのは延長戦に入ってすぐ。延長から投入されたルカクが華麗な身のこなしで前を向き、カウンター気味に独走。折り返しがこぼれたところをデブライネが回収し、ドリブルで一拍おいてシュート。ついにハワードの牙城を崩しました。試合を決定づけたのは、そう、ルカク。延長前半間際には、先制点とテレコ、デブライネのラストパスをルカクが決めて追加点。ルカクとしても、先発をオリジに譲らされた溜飲を下ろしたことでしょう。

 

 

で、これでアメリカの息の根も止まったかと思いきや、彼らのフロンティアスピリットを甘く見てはいけません。最後の力を振り絞りチャンスを作ると、3枚目のカードとして投入されたグリーンが1点を返す。その後も、アメリカが押しまくる。かなり精度の高いラストパスが入っていく。のですが、90分+延長戦を戦ってきたアタッカー陣は、疲労で最後のボールタッチがぶれる。ベルギーも必死に掻き出す。感動的な熱戦でしたが、最終的にはベルギーがリードを守り切りました。

 

 

 

さて、この試合では、お客さんがピッチに乱入してきましたね。海外サッカーを見ていると時々あることですけど(Jリーグでは、今やほんとんどない)、この大会では唯一だったでしょうか。南米での大会ですからね、ミーハーで目立ちたいというより、サッカーを堪能したいという層が多かったのでしょう。で、油断していたのか、なかなか警備員が取り押さえに来ない。しばらくウロウロ走っている。その様子を見ている選手の流川楓的なヤレヤレ感が面白かったです。

 

 

試合内容を振り返ると、両チームの右SHがキーマンでした。すなわちアメリカのビーズリーとベルギーのベルトンゲンですが、この2人が攻撃参加できるかどうかで、攻撃の厚みが大きく違ってくる。アメリカの場合、ベルギーの守備陣の前に、ビーズリーがボールを持ち上がらないことにはビルドアップもままならなかった。また、ベルギーの場合、速攻とシンプルな仕掛けが多くて攻撃が単発になりがちな中、サイドでベルトンゲンが1枚加わることで、波状攻撃がはじめて可能になっていました。現代サッカーにおけるSBの重要性を改めて認識いたしました。