■アルゼンチン 1 vs 0 ベルギー[WC準々決勝 07月06日]
まだ、試合がほぐれていない状況だったんですけどね、イグアインが先制点を決めます。メッシが中盤で巧みな身のこなしからディマリアへ。ディマリアのラストパスはベルギー守備陣に当たったのですが、そのバウンドに反応したのがイグアイン。上手でした。ただ、ベルギーもベスト8まで進撃してきた巨人ですから、厳密には巨人ではありませんが、それくらいでは動揺しません。すぐに立て直して、再びほぐれていない状況に試合は戻ります。
前半も半ばになると、ポゼッションとしてはベルギーのゲームとなります。というかパスサッカーのチームと南米のチームが対峙すれば、概ね、こういう構図になります。しかも南米側がリードしているのだから、それはなおさら。前半の30分過ぎにはキーマンであるディマリアが負傷交代。これで機動力が低下しましたけど、アルゼンチンとしては「それなら、それで、それなりのやり方で」って感じで小刻みなステップからの攻撃でベルギーの腰を引かせます。
後半に入ると、アルゼンチンが攻勢を強めます。というか、ベルギーの運動量が落ちます。そもそもアルゼンチンは前半からメリハリの利いた省エネサッカーをしていましたからね。その辺りの効果が時間の経過とともに出てきます。それでも、ベルギーは選手交代で打開を図る。ミララスとオリジに代えてメルテンスとルカクを投入したのに伴い、アザールを中央に移すと、ようやくアザールが10番らしくボールに絡むようになる。ここからの攻撃には迫力があった。対するアルゼンチンも勇気があった。ガゴを投入し、長い時間にわたる退却戦を凌ぎきります。最後10分は本当に凄い試合でしたが、ベルギーがアルゼンチンの軍門に下りました。
見ていて思ったのは、「日本がアルゼンチンを目指しても、向こう50年くらいは絶対にムリだな・・・」ということ。彼らの何が凄いって、自分も止まって、ボールを止めていても平然としていること。「来るなら来い、交わしてやるから」という意識が徹底している。ボールを持っているときの強気さ加減が、日本人のメンタリティ、或いは日本のサッカー指導法とは余りにも異質。「まずは自分の責任(個人技)で数的優位を作る」って発想は、なかなか日本では難しいでしょう。
逆にベルギーのサッカーは日本のサッカーに似ていましたね。ヨーロッパ流のサッカーというか。低い位置で丁寧にビルドアップして、サイドに流す。そこからのパスワークで、どうにか相手のマークを剥がそうとするサッカー。ほぼザックジャパンと同じです。違いがあるとすれば、フェライニと本田の差でしょうか。両者に優劣はないと思いますが、あくまで“使う側”にこだわる本田に比べて、“使われる側”としても機能するフェライニの存在がベルギーの攻撃に幅を与えていたと思います。