■ベルギー 2 vs 1 アルジェリア[WCグループH 06月18日]
序盤は両チームともワールドカップ初戦ということの影響もあったかの、慎重な立ち上がり。どちらかというとベルギーが攻めてアルジェリアが守るという構図ながら、互いにシュートまで持ち込めないような流れ。そのなかで機先を制したのはアルジェリア。カウンターから左サイドをグラムが突破。そのまま迷いなくクロスを放り込むと、走り込んでいたフェグリをフェルトンゲンが倒してしまい、PK。それをフェグリがきっちりと決めました。
それにしてもアルジェリアが築き上げた2重のブロックはえげつなかった。堅牢な城壁といいますか、カフカばりに「行っても行っても辿り着かねよ」状態。さしあたりベルギーはウィルツルあたりのミドルシュートで打開を図ります。そして前半も40分を過ぎたあたりから、本腰入れてブロック崩しに。往年の名作ファミコンソフト「アイスクライマー」のようにぶっ叩く。アザールが小刻みなステップで壁の土台を揺るがせはじめたくらいでハーフタイムに。
前半を65%前後のポゼッション率で支配しながらも攻め倦ねまくり、結局ビハインドを負ったまま後半を迎えることとなったベルギーは早め早めの選手交代で打開を図ります。そして、その積極策が実を結んだのは、後半の20分過ぎ。デブライネの中距離高性能放り込みに対し、途中出場のフェライニが頭1つも2つも高いところからヘディングシュートをねじ込みました。鳥栖の谷口に期待されるような働きを見事にWC初戦の大舞台でやってのる、これぞワールドクラスです。
これでベルギーは完全に勢いに乗りました。それに対してアルジェリアも引き分けならばプランの範疇内でしょうから、我慢強く集中力を維持させます。しかし、ベルギー特急は止められない。中盤でのハードなディフェンスでデブライネがボールを奪うと、前線にビルドアップ。グランダーのボールをアザールが、モウリーニョも嘆息するであろう身のこなしで抜け出しラストパス。走り込んだメルテンスが見ている側も気持ちよくなるようなドッカンを突き刺して、これが決勝点となりました。
というわけで、ベルギーが底力を示した一戦でしたが、勝利を引き寄せたのは、なんといってもビルモッツ監督のアグレッシブさでしょう。なんせ65分までに選手交代のカードを全て使い切ってしまうのですから。後半開始とともに投入したメルテンスは決勝点をあげ、後半の15分過ぎに投入されたフェライニが同点ゴール。その間、後半10分くらいにはエースのルカクに代えてオリジが投入されていた。まさに執念の采配といえるでしょう。
ビルモッツさん、采配に限らず熱くてアグレッシブですよね。試合途中、ピッチ内にビニール袋が落ちてきて邪魔くさい感じになると審判にアピール。主審が取り除いて副審に渡そうとすると、なぜかそれを横取り。なんなんでしょう、あの熱さ? そういうアグレッシブさが選手にも伝わったのでしょう、終盤のベルギーの選手たちはひたすら攻撃的でした。そして、その攻撃のリズムが勝ち越し後も持続し、まさに「攻撃は最大の防御なり」状態となっておりました。ベルギーとしては心地よい勝利だったのではないでしょうか。