「個!」ってな試合【U23決勝】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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U23日本 3 vs 2 U23韓国[AFC U23選手権 01月30日]

先制点のシーンですけど、あれって狙ってましたかね。“あれ”というのは7番のサイドチェンジ。「よくそこを見ていたな!」ってチョイスだったんですけど、キックの質的にミスキックが結果的に絶妙なサイドチェンジになったように見えなくもなかった。そこを起点に最後はシュートコースが変って失点。シュートコースが変わったのは不運ですけど、でもペナルティエリアまで進入されたら頻繁に起こること。ミスキックも狙い通りだったかもしれないし、いずれにせよ不運で済まされない失点で決勝の幕が開きました。

 

 

それにしてもキープできなかった。中島にしても、大島にしても、なんだかドリブルが流れがちというか、ドリブルでボールを運ぼうとすると、ことごとく奪い返されていましたね。「水を撒いたとか、刈り込んだとか、芝のコンディションがこれまでと違ったのかしら?」なんてちょっと思ったんですが、そういうことよりも、単に日本がボールを奪ったときの韓国の守備配置バランスが絶妙だったのかな、と。せっかく奪っても、その瞬間に数的不利って感じでしたし。

 

 

そこで思い浮かんだのが、風間サッカーの哲学。適切なポジショニングによるパスサッカーを追求すれば、攻撃においても守備においても、常に数的有利が作れるているはず、というやつですね。ベップさんのサッカーが、その究極型なのですけど、常に適正な配置ができているから、流麗にパスが繋がるし、奪われたとしても、その瞬間において守備での数的有利ができている。「攻撃と守備を分けて考えるというのはナンセンスだ!」ってなばかりのファンタスティックなサッカーを、この日のU23韓国は見せていました。

 

 

韓国U23が風間サッカーに似ているのは、ボールをもらったら確実に収めて、くるりと身をこなしてパスコースを確保するところ。日本側から見れば「そこで潰せない」という状態が作られていたということです。そして逆に日本のアタッカーは「そこで潰される」という状態になっていた。ここの差が大きかった。韓国の場合、ポジショニングが宜しかったので、オートマティックにパスが繋がって、そこに“個”という「+α」がスパイスとして加わっていたんですけど、日本の場合、まずアタッカーが“個”のドゥエルに勝たないことには攻撃が形にならない戦術でしたので、中島とかが「そこで潰される」(“個”で敗れる)となると、どうしようもなくなってしまう。そんな苦しい時間帯が後半の半ばまで続きました。

 

 

要するに、70分程度とはいえリトルバルサなサッカーをそれなりに実行できていたように、“個”の技術(特に“止める”“蹴る”の部分)においては明確に韓国のほうが格上だったと思われるのです。戦術も洗練されていましたから、韓国に体力が残っているうちは、絶望的な実力差が突きつけられていた。2失点目なんて、左サイドを完璧に崩されていましたからね。この大会を通じて、「山中だと守備が不安で、亀川だと守備と馬力以外がおぼつかない」って感じ。ここにも“個”の差、韓国と比べたときのタレント不足が否めなかった。

 

 

でも、そんな韓国にも弱点がありました。パスサッカーの弱さがそのまま出たというか。パスサッカーって、攻守が連動しますし、どうしても一本調子になりがちなんで、メリハリが利かないんですよね。一言で現すと「サボる時間を作れない」。そこに浅野という異才がピッチに登場した。心身ともに“抜く”ことができなかった韓国としては、肉体的にも、なによりメンタルの体力的に、なかなかフレキシブルな対応ってのができなかった。そして、日本から見れば、浅野は少なくともスペースのある状況でのアタッキングに限れば素晴らしい“個”を持っている。足りていなかった“個”の部分を補って余りあるところまで高めてくれた。足りない“個”をあの手この手で埋めての優勝、ただただ素晴らしかったです。