「ジーコのDNA!?」ってな試合【日本vsイラク】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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U23日本 2 vs 1 U2イラク[AFC U23選手権  01月26日]

この試合では、キックオフからしばらくの時間帯において、珍しく日本代表がポゼッションで優位に立っていましたね。大会を通じて手倉森ジャパンは、どちらかというと敢えて受けに回る(イニシアティブを握ることの固執しない)戦い方をしてきて、ボール支配率では後手に回ることが多かった印象もありますけど、モロモロの数字以上に強さを感じさせる勝ち方が続いてきましたから、それなりに相手からリスペクトされるようになってきたのかもしれません。

 

 

それからイラクが披露していたサッカーのスタイルというのも、日本のパスが繋がっていたことに関係していそう。伝統的にイラクって、あまり中東っぽいサッカーをしない。UAEやサウジアラビア(特にGKがアルデアイエだった時代)に象徴される中東サッカーの黄金パターンは、ずばり“堅守速攻=必殺縦ポン”で、マハダビギアとかダエイがいて強かった頃のイランも、前線の個を最大限に生かす攻守分業サッカーでした。でも、イラクって、あまりそういうイメージがない。

 

 

特にジーコイラクのフル代表を率いて以降は、なんだか日本のサッカースタイルに似てきたような。ユニスやヤセルといったタレントを軸に置いていたジーコ時代のイラクは、どこかゴールデンエイジの日本サッカーを髣髴とさせる部分があった。要するに、Jリーグで慣れ親しんできたサッカーと近年のイラクサッカーは、それなりに親近性がある。よく似たDNAを持つもの同士となれば、やりやすいっちゃ、やりやすくなる。むろん似ているからこそやりにくいって部分もあるんでしょうけど。

 

 

そういう、どこか居心地の良いノスタルジーにどっぷり包まれてしまったのか、せっかく先制したのに、日本の若武者たちは前半のうちに失点してしまいます。しかも「あらま!」ってな失い方。伝統的な日本代表のあり方はこの日のイラクのサッカーに似ているとはいえ、フル代表も含め直近の日本代表は「手数をかけない」サッカーで、特に手倉森ジャパンは、「相手なりにサッカーをして、勝負強く結果を得る」ってスタイルを磨いている。相手が前掛かりになったときに、嘲笑うように受け流せるのが、このチームの良さのはず。反省材料です。

 

 

ちなみに「相手なりにサッカーをして、勝負強く結果を得る」というのは、手倉森さんの古巣である鹿島アントラーズが伝統的に見せつけてきたスタイル。で、鹿島のスタイルとは“ジーコイズム”だとされている。でも、厳密には「ジーコが連れてきたブラジル人ネットワークが残してくれた」遺伝子であって、ジーコが個人として遺してくれたDNAではないのかもしれません。だって、ジーコ、日本代表を率いているときに、そういう勝負強さとか、全く根付かせてくれなかったですもん。

 

 

むしろ、この試合を見ていてジーコが日本代表の遺伝子レベルに残してくれた財産は、“アジアでの公式戦において劇的ゴールで結果を引き寄せる”っていうDNAなのかもしれません。なんか、大黒とか俊輔とか、ジーこの頃の日本代表には、アジアとの戦いにおける終了間際のドラマチックな決勝弾(あるいは同点弾)が多かったような。この日の原川のゴールシーンなんて、10年ほど前に、しょっちゅう見かけていた既視感があった。ジーコのDNAということにしておきましょう。