■日本U23 1 vs 0 北朝鮮U23[AFC U23選手権 01月13日]
なんだか、ホイッスルが鳴るなり違和感がありましたねぇ、いろいろと。何に違和感を覚えたかって、まず北朝鮮の応援に、ですよ。さすがはマスゲームの国だけあって、声援も一糸乱れない。しかも鳴り物などは使わず、チャントってノリでもなく、用意された所作を粛々と繰り返すような応援。発声のきっかけとなるプレーから判断する限り、どこまでサッカーという競技に親しめているのかは、なかなか微妙でしたけど。
違和感を感じる要素は北朝鮮の応援以外にも他にもありました。それは解説の福西さん(BSでの観戦でした)。なんだか単語のチョイスが若者言葉なんですよね。アナさんが「北朝鮮は433が多いのですが」と振ると、「逆にツーボランチ気味ですね」と応答する。“逆に”って何?? いつから中盤逆三角形とボックスは“逆”の関係ってことになったんだ??
続けて「20番の選手が守備の時には、アンカーじゃないですけど、最終ライン前のスペースを消すような動きをする」なんてことを言う。・・・だから“じゃないですけど”って何なんだ。俊輔なんかもそうですけど、サッカー選手って、「厳密には○○と断言すべきじゃないかもしれないが」って脈絡において「○○じゃないですけど」って使いたがりますよね。でも、実際の含意は「アンカーとして」なんですよ。全然“じゃないですけど”じゃない。ねっ、若者言葉でしょ。ちなみに福西さんは、ワタクシとほぼ同世代の四十(しじゅう)絡み。世間的には、いいオッサンです。
まぁ、北朝鮮の応援にせよ、福西さんのワードチョイスにせよ、そんなことはこの試合の本質ではない。本質的な部分においても違和感はあって、それはキックオフ直後に我らが日本代表が先制点を奪ったこと。手倉森さんが作り上げたチームなのに、序盤から一気呵成に攻め立てて、しかもそれを抜け目なくゴールにまで結びつけるとは! 嬉しい誤算というか、仙台時代の手倉森さんの印象からすれば、違和感っちゃあ、違和感。
とはいえ、リードを奪って以降は、タジタジになってしまいましたね。実力がおおむね似通っている場合、負けてるチームが攻勢に出るってのは、サッカーに普遍の現象。で、アナさんは「北朝鮮のロングボールに押し込まれています!」と盛んに実況していました。なんですが、確かに後半は仰るとおりだったものの、少なくとも前半のうちは両チームとも似たスタイルだったような。
似たスタイルというのは、ともに「ライナー性のミドルパスをダイレクトに23本繋いで、そのまま手数や人数をかけずにシュートまで持ち込む」というもの。ブラジルワールドカップで躍進した準強豪国が見せていたバレーボールみたいなサッカー。一昔前までならば「縦ポンの北朝鮮と、ショートパスを繋ぎ倒す日本」という構図になりそうなものを、時代は変わったものだ。これまた、ワタクシの固定観念的には違和感でございました。
ただ、この試合でも、違和感を感じなかった要素もありました。それは、なんだかんだで逃げ切ったこと。1点差をどうにかこうにか、でもバタつくことなく守り切るというのは、いかにも手倉森さんのチームらしい。また、日本代表って、マイアミの奇跡を引き合いに出すまでもなく、相手の猛攻を前にして守備一辺倒になった場合には、わりと守り切れたりする。そこは忍び難きを堪え忍んじゃう辛抱強い国民性。ひたすら耐えるってシチュエーションは比較的得意なんだと思います。ともあれ、白星発進。このあとの試合も渋く勝利を積み重ねてもらいたいところです。