後半の苦戦についてアレやコレや事情を斟酌してみる【なでしこvsガーナ】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

■なでしこ 5 vs 0 ガーナ女子[練習試合 09月13日]

ついつい男子サッカーの常識で考えてしまいますから、「相手はアフリカの強豪か。だとしたら、それなりの試合になるんだろうなぁ」なんて予断を持っていましたが、ファーストプレーで高瀬が先制点を決めてしまいました。で、その10分後には阪口が追加点。ちなみに、両ゴールともに、宮間が最終ラインとキーパーの間のスペースに放り込んだ正確な縦パス。男子のワールドカップでも有用性が再確認された「縦1本」ってやつでした。

 

 

その得点に際して阪口とガーナのGKが交錯。双方ともに痛んでいる時間にガーナは監督さんを囲むように緊急会議。高校スポーツで強豪校と普通科の公立高校が対戦すると、こういう光景になったりしますよね。それくらい開始直後からしワンサイドゲーム感が思いっきり出ていました。果たせるかな、ささっと3ゴール目をゲット。川澄のアシストから高瀬が決めたもの。高瀬はこれで2ゴール目。代表では決定力が不足気味の高瀬ですが、ここで固め打ち。

 

 

4点目は、宮間と川澄が左のコーナーキックであまりトリッキーではないショートコーナーでこねくり回してのクロスから。ガーナのクリアを中島が拾ってクサビ。上がっていたCBの北原が頑張ってポストワークをこなし、落としたところに長船。CB2人で決めたゴールでした。ちなみに、北原と長船、それぞれ名前が佳奈と加奈。そりゃ解説の松木さんも「2人の夢がカナった」なんてことを言うっちゅうねん。ダジャレは早野さんの専売特許じゃないのです。

 

 

さらになでしこは前半のうちに中島がミドルシュートを突き刺して5点目。ここまで見事なワンサイドゲームは、アジアの一次予選に参加しなくて良くなって以降の男子だと、そうそう見かけられなくなりました。そして、こうなるとかえって難しい。何が難しいかというと、緊張感を持続させることが難しい。高校スポーツならば、どうやっても「最後まで緊張感を緩ませてはいけない!」という無理難題をお題目のように唱える顧問からお叱りを受けてしまうパターンです。

 

 

果たせるかな、選手を5人入れ替えた後半に入ると、前半とは打って変わってスコアが動かなくなります。といっても、旗色が悪くなったとか、そういうことではなくって、男子も含めた日本のお家芸「決定力不足」が大盛りでサーブされただけなんですけどね。代わった選手が特別に悪かったわけではないのですが、宮間が見せるような相手の対応力を遙かに凌駕するようなスーパープレーは影を潜めてしまった。“問答無用”感がなくなってしまいました。主力として1人だけピッチに残った川澄も、相手がベタ引きで、なかなか突破力が生きる展開ではなくなりましたし、相手の「守り慣れ」を上回ることが出来ませんでした。後半の戦いへの評価は難しいですけど、致し方ない部分もあったのかな、と思います。

 

 

というわけで、圧倒的な得点差での勝利。「これぞ壮行試合!」という感じになったわけですが、こういう景気づけを唯一の目的とした壮行試合って、南アフリカワールドカップあたりから、あまり見られなくなりましたよね。「格下相手の親善試合」ってものに対する世間様の批判が高まりましたから。そういう意味では、キリンさん主催によるフレンドリーマッチのクラシカルを久々に堪能できたといえます。「ワールドマッチ」と銘打っており、キリンさんの名前が出ていないのが皮肉ですけど。

 

 

ちなみに、後半になって得点の勢いがなくなってしまった理由ですが、これは前半に5点入ったことで、かえってガーナがリセットしやすかったという要素が強いように思います。前線に1人で踏ん張れるスールマンを投入してきたことに象徴されるように、後半のガーナは「もう、別の試合と考えて、後半は格上相手の穴熊戦法をどこまで遂行できるかのテストだ!」って雰囲気で挑んできました。低い位置で人海戦術ディフェンスを仕掛けてきたので、なでしこからすれば、少し難しくなってしましたね。