■なでしこ 2 vs 2 オーストラリア[女子アジアカップ 05月14日]
序盤からオーストラリアの速攻に浮き足立ちまくっていた、なでしこ。なでしこ守備陣が裏に弱いのか、オーストラリアの突破力を誉めるべきなのか、そこのリスクを恐れない戦術によって不可避的に発生する副作用なのか、ともあれ、タジタジ。
で、前半20分過ぎ。山根が痛んで、少し試合が止まってからの再開直後、あっという間に先制点を奪われてしまいました。中盤でガツンとぶつかられて、吹き飛ばされて、オラオラオラってなドリブルからのシュート。こういうプレーをハイレベルで繰り出されると、モンゴロイドな日本代表にはしんどい。
ただ、前半のうちに大儀見を投入したことにより旗色は鮮明に変わります。大儀見がプレスの起点、クサビの受け手として抜群の存在感を示し、攻守それぞれにおいて基準点ができたことにより、なでしこにいつもの躍動感が戻ると、宮間の必殺“一発で相手最終ラインを切り裂く”ロングパスも猛威を振るうようになります。
・・・「あとは決めるだけ」って雰囲気のまま日本が圧倒する時間が続いたんですけどね。。。決定機を逸し続けていると、オーストラリアにワンチャンスを決められてしまったのですよ。サッカーの定石ですな。それが後半の20分。展開的には、かなり厳しい。
ただ、そういう流れをオーストラリアが勝手に手放してくれました。宇津木だか川村だかが中盤で相手を潰し、それを受け取った宮間が一発ロングパス。サイドのスペースを攻略した川澄のクロスが相手のオウンゴールを誘発しました。正直、ラッキー。
その後は互いにフレッシュな選手を投入して膠着状態になりましたが、そこで中堅選手たちが存在感を示してくれました。宇津木とのワンツーから川澄がクロスを入れて大儀見が押し込んだものですが、その前に川澄に展開した宮間のアウトサイドキックが美しすぎた。ここまでくると恋をする。試合は22のドローで終わりましたけど、トキメキが止まらない緒戦に大満足いたしました。
というわけで、この試合では、大儀見の投入が分岐点となりました。退いたのは吉良。なので、常套的に考えるならば「吉良の出来が悪かった」ということになろうかと思いますが、果たして、そういう解釈で良いのか。というか、その後の大儀見が果たした役割を見ていると、高瀬の出来に問題があったように思えなくもなかったりします。
もちろん吉良が良かったとも思いませんが、高瀬ではなく吉良が交代となった判断の背景には、このチームにおける序列ってものが存在しているように思います。というか佐々木監督って、チーム内における序列(どれだけ呼ばれ続けているか=臈次)を非常に重視しますよね。
この試合では高瀬の他に中島や宇津木が先発しましていましたけど、これらは、継続的に代表招集を受けるようになって数年が経過している選手たち。逆に言うと「初招集→そのままレギュラー抜擢」ってパターンがほとんどない。女子サッカーの場合、限られたπ(競技人口)の中でやりくりしていかなければならないので、「ひっかえとっかえ」ってわけにはいかない。なので、日本女子サッカーをめぐる現実を踏まえたとき、これはこれで合理的な方針なのかな、なんて納得した次第であります。