伊東輝悦との邂逅長野vs福島(3月9日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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まぁ、あまり事前の情報もなかったですし、例によって両チームのフォーメーションを確認します。長野については、スタメン表のポジション表記に倣うと、DFが4人、MFが3人、FWが3人となっていましたけど、並びとしては442でしたかね。

宇野沢と高橋のツートップで、もう一人FWとして登録されていた佐藤は左のSH。右は向で、ボランチが大橋と有永。「まずは選手がストレスを感じずにプレーしてくれれば」というスタンスでいくと、442って並びが多くなるような印象があります。

一方の福島については、433だったでしょうかね。元栃木の鴨志田がアンカーで、益子と内山俊彦インサイドハーフ。「そうか、内山俊彦ってまだ現役だったのか。そして左SBではなく、攻撃的な位置で使われているのね」なんて暢気なことを考えていたのですが、どうやら、かつて山形とかに所属していた彼とは同姓同名の別人らしい。

ともあれ、433だと、インサイドハーフと、SB、WGが同じサイドで密集を作ることができますから、サイドで数的優位を作ることができる。序盤は、「なんじゃ、このサイドでの人の多さは!」とか思ったのですけど、押し込まれていくうちに、なかなか、そういう優位性を発揮できなくなっていきましたね。基本的には、長野のペース。

で、本来なら、サイドで優位性を発揮できるはずにもかかわらず、福島からみた右サイドを脅かされるようになる。右SBは、元岐阜の野田だったのですけど、433の宿命として、ボランチ脇の中途半端な高さに空白ができてしまい、さすがの野田も、そこまでは潰しきれなかった模様。

そして、この試合で唯一の得点となる高橋のゴールも、長野からみて左サイドを攻略してのもの。左サイド攻略の立役者となったのは左SHの佐藤悠希。なんだか、佐藤悠介みたいな名前ですね。どうも、パルセイロモンテディオ風味が漂う名前の選手が好きらしい。

ところで、この佐藤、金髪なんですよ。そして、アスリートな体型でありながら、少し細身。どこがどうってわけではないのですが、遠目から見ると、なんだか、アジア枠で来日したニュージーランド人っぽく見えた。なんででしょうかね?

そして、この佐藤はジェフリザーブズ出身者らしい。なんだかんだでジェフリザーブズ出身者ってJ3とかJFLでは、ときどき見かけますよね。そう考えると、つくづくジェフがリザーブズを使いこなせなかったことが惜しい。初期には椎原とか要田とか、それなりにトップチームに人材を輩出していたんですけどね。もう少し存続させていたら、今頃はJ3の舞台にいたのだろうか。

■後半

後半になっても、ペースは長野。というか、俄然、長野。その原動力となったのは、長野のWボランチ。大橋と有永ですね。ベテラン大橋も良い味を出していましたが、もう一人の有永が非常に良かった。何が良いって、そのポジショニング。

ほぼベタ引き状態となった福島は、どうにか長野の攻撃を防いで、必死にクリアしようとするのですが、ことごとく、それをカットされる。どうにか繋いで、攻撃へとシフトチェンジしようとしても、あっという間に潰されてしまう。要するに長野のボール回収力がハンパなかったのですけど、その中心にいたのが有永(と大橋)。有永、不勉強にて初めて知ったのですが、柏の栗澤みたいな選手ですね。

ともあれ、はじき返せどはじき返せど長野にボールを回収されてしまう福島は、もともとベタ引きだったのが、ますます引き籠もらされる。福島のメンバーを眺めると、札幌からレンタルに来ている堀米に注意を引きつけられたのですが、この試合、左SBで起用されていた彼は、ほぼほぼ守備に忙殺されていましたね。

ルーキーイヤーにいきなり札幌の副キャプテンとかに就任した北の一等星(候補)ですけど、少し残念でございました。本職はボランチみたいですので、その位置で使われるところを見てみたかったりしますが、その辺りはチーム事情、致し方ない。

もっとも、終盤になると同点に追いつかなければならない福島は、火事場のナンチャラパワーで攻撃に出て、そうなってからは、堀米の受け手に優しいスペースへのパスが長野ディフェンス陣を、多少ながらもアタフタさせていました。

終盤における福島の反攻の契機は、おそらく柴原の投入に求められるでしょう。清水から岐阜にレンタルされていた、あの柴原ですね。長野最終ラインとの駆け引きを制して抜け出すなど、2列目からトップを追い抜くような動きで、福島の攻撃を活性化させました。

しかし、そのような福島の反撃も、長野が最終兵器を投入したことで芽を摘まれてしまいます。最終兵器とは、そう・・・伊東輝悦!! あの、‘鉄人’こと伊東輝悦、‘テルドーナ(静岡のマラドーナ)’こと伊東輝悦マイアミの奇跡の立役者こと伊東輝悦ですな。百戦錬磨の鉄人がピッチに入れば、そりゃ蛇に睨まれてしまうってもんです。

やはり、チームが落ち着く。巧みなポジションの微調整が、それだけでチームへのメッセージになるんですね。「今はボールを取りに行くところなのか、リトリートすべきなのか」みたいな状況判断が、テルの一挙手一投足によってチームに共有されるのですよ。こういうポジショニングはエスパルス時代から定評がありましたが、この年齢にあって、なお進化しているのかもしれません。

■日本代表への推薦状

□推薦者

・長野サポーター

□推薦理由

松本のサポーターが熱狂的なのは、もはやJリーグのファンなら周知の事実かと思いますが、AC長野のサポーターも、大したものですね。たぶん、雪のこととか、そういう理由だと思うのですが、なぜか東京の西が丘球技場で開催されたホーム開幕戦。長野新幹線とかで、はるばる大挙して駆け付けていました。

昔からサッカーが盛んな高いお土地柄という感じではないでしょう。にもかかわらず、これだけの熱量。おそらく、松本山雅AC長野パルセイロという両クラブがしのぎを削るなかで、このような熱いサポーターが形成されたものと思われます。

有名な話ですが、松本と長野は古くからの対抗関係にあり、要するに仲が悪い。その地域と地域のライバル心が両サッカークラブを成長させ、サポーターも増えていった。こういうダービー関係というのは、サッカーの本場とされる欧州のダービー関係に非常に近いんだと思います。そういう意味では、長野や松本のサポーターこそ、「本場仕込み」で、最も世界のスタンダードとの親近性が高いのかもしれません。