地上波の力2ステージ制復活の周辺をウロウロと…/7

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ここ2週続けて、水曜日の試合を見に行ってたりしたので、プチ中断期間に入ってしまっていた本シリーズ。その間に「構造的欠陥により白紙撤回か!?」みたいなことになってしまって、それに対して鬼の首を獲ったかのようにはしゃいでいる世論も、それはそれで健全だとは思いますが、2ステージ制を模索せざるをえなかった状況(Jリーグを取り巻く環境)や、導入によって期待される効果(現状のJリーグに必要とされているもの)について、本質的な部分が解決されたわけではないと思いますので、何事もなかったように再開いたします。。。

□地上波なき地域密着

Jリーグは発足のときから、「地域密着」を旗頭に突っ走ってきました。スポナビブログさんのなかには「殆どの地域でJリーグというものは「何となく知っている」という、薄らぼんやりとした存在」にすぎないと揶揄された方もいましたが、J誕生以前の日本におけるサッカーの位置付けを知っている身としては、わずか20年で「何となく知っている」まで来たことは驚異的な成功だと、個人的に考えています。

しかし、「地域密着」という意味では後発組であるはずのプロ野球チームが、あっという間に、そこの部分でもJリーグを追い越していったことには複雑な思いがあります。すなわち、福岡ソフトバンクホークスとか、北海道日本ハムとかの、ホームタウンにおける認知度(動員力)が、おそらくアビスパとか、コンサドーレを遥かに凌駕しているであろうことに、内心、忸怩たる思いがあるのですよ。

もちろん、プロ野球には、「戦後の日本人に喜びと熱狂を提供し続けてきた」という重厚な歴史があるわけで、そういう‘そもそものアドバンテージ’の差があることは否めないのですが、それに加えて、やっぱり、地上波放映の量の差、ローカル局での放映頻度の差というものもバカにできないのかなと思います。チバテレビではいっつもマリーンズ戦の放映をしてますし、東京MXではなぜかいつもホークス戦が放映されている。

□抜本的方向転換

さて、今回の2ステージ制移行における所要な理由として、「地上波放映の確保」というのがあります。これって、実はJリーグの歴史においてエポックメイキングな決断じゃないのかな、と思うのですよ。といいますのも、ご存知の通り、ここ10年以上に渡ってJリーグはスカパー!包括契約を結んできました。もちろんこれは、包括契約による安定的な収益が見込めるところに一義的な意味があったのでしょうけど、その根底には、日本サッカー界に通底する〈グローバルスタンダードを倣う〉という基本的な価値観があると思うのですね(「‘グローバルスタンダード’って、つまり‘ヨーロッパのローカル慣習’でしょ!」みたいなツッコミはさておき)。向こうでは「スポーツは有料放送でみるもの」という習慣が根付いているらしいので、「日本でも、そういう文化を!」という目論見でJリーグとスカパー!の思惑が一致した、と。

しかし、日本はあくまで日本、ヨーロッパのローカル慣習が、そうそう簡単に浸透しなかった。「ヨーロッパみたく有料放送でも十分に裾野を維持できる(ようになる)」という希望的観測はものの見事にハズれてしまい、スカパー!も、「今後も期待したほどの契約者を確保できなさそうだ」と判断するに至ったんじゃないですかね。スカパー!とJリーグの契約内容が見直される可能性もあるようですし。

要は「包括契約による安定収益には頼れない、やっぱ地上波じゃないと無理だ!」ってことを認めたのでしょう。だとしたら、「ミスを自ら認めること」を極端に忌避する日本文化においては、なかなか勇気のいる判断だったんじゃないかな、と思うのですよ。そして、仮にJリーグが自覚的に「地上波重視」の方向に梶を切ったとしたら、スカパー!との契約見直しを契機に、ローカル局によるJリーグ中継が増えたりしないかな、と期待したりします。

ローカル局と深夜枠を侮れるなかれ

ここでは、特に、「ローカル局の深夜枠」なるものに期待したいなぁってことを強調したいと思います。ワタクシが高校生の頃、舟瀬君という友人がいました。〈早く寝て、遅く起きる〉という断固としたポリシーを堅持していたワタクシと違って、舟瀬君は「オールナイトニッポン」とかを聴いているクチ。そんな舟瀬君がある日、「今日は水曜日か。じゃあJリーグの深夜放送があるから、夜更かしのお供が増えるな!」みたいなことを言っていました(当時は水曜開催が、ごく当たり前のデフォルトだった)。

時計の針は数年進んで、大学四年で卒論以外に特にやることもなかった時代のワタクシ。この頃になると、ワタクシのポリシーは〈遅く寝て、ずっと寝てる〉に変わっていたわけですが、ちょうど、その時期には、凋落期にズッポリはまりながらも、ヴェルディには、まだ日テレがお付き合いしていて、やはり、結構な頻度で深夜放送がされていました。

そうすると「まだ寝るのは勿体ない」という一心で、ついつい見ちゃうのですよ、ヴェルディ中継。小林慶行とかがルーキー時代の。それから数年もしないうちに、味スタが竣工して、ワタクシのJリーグ通いが始まるわけですが、特にハードルを感じることなくスタジアム通いができた前提には、確実に、ヴェルディ中継の観戦習慣があります。ワタクシの場合、大学生時代における夜更かしを目的とした深夜枠録画中継が、Jリーグ顧客になるキッカケの一つでした。

要するに、小中学生とか、ちゃんとした大人への影響力は皆無に等しくとも、夜更かししたいお年頃の人々(高校生〜大学生)に対するローカル局の深夜録画中継の捕捉力って、それなりに侮れないと思うのですよ。で、そういう夜更かししたいお年頃の人々こそ、現時点におけるJリーグの発信力では届きづらい層であり、かつ、取り込む優先度の高い層だと考えます。ワタクシが、地上波重視政策でローカル局の深夜枠が増えることを期待する由縁は、こんなところにもあります。