■メキシコ 1 vs 2 イタリア[コンフェデ 06月18日]
キックオフ早々から、バロテッリの存在感は異常でしたね。どんだけ強引なシュートを撃っていくんだ、と。お前はリアル日向君か、と。もはやアブノーマルの域に達しつつある悪童を前にヒヨってしまったのか、メキシコは冴えませんでした。
せっかく攻撃に出られそうになっても、蛇に睨まれたカエルのようにバックパスに逃げてしまうし、勇気を振り絞って縦へのクサビにチャレンジしても、飛んで火に入る夏の虫と言わんばかりのパスカットを食らってしまうし、‘相手に飲まれたリアクションサッカー’みたいな感じで、まぁ、冴えない。
必然的に先制点はイタリア。問答無用とは、こういうことを言う。ピルロのフリーキック。良いときの俊輔みたく、いとも簡単にゴールの隅っこに放り込んでしまう。若い頃は‘ひよっこ’みたいな印象もありましたが、髭を蓄えるようになってから、すっかり風格を漂わせていますね。
ただ、さすがは北中米チャンピオンであり、ロンドンオリンピックの金メダリスト。ただでは引き下がりません。キエッリーニのボールの扱いがルーズになったところをドスサントスが見逃さずにかっさらい、キエッリーニのファールを誘うと、見事にPKを獲得。エルナンデスが綺麗にしずめて同点。ただ、決められたとはいえ、ブッフォンのオーラがハンパなかった。ともあれ、ワンチャンスを生かして、メキシコが同点に追いついて、再び緊張感のある展開に。
もっとも、この試合は終始一貫イタリアのペースでしたから、それが得点に繁栄されるのも時間の問題。イタリアには珍しく、パスを何本も繋ぎながら、最後はバロテッリが勝ち越し弾を決めます。イタリアの良さが凝縮されたゴールでした。イタリアの良さとは具体的に、一つには3Dというか、浮かせた縦へのショートパスで相手の裏を取れること、そして、もう一つに、バロテッリのムキムキさですね。力強くて美しいという、女子向けアニメの主人公みたいなゴールでした。
そうなんですよ、イタリアはエレガントなんですよ。で、どうしてそんなにエレガントなのかと分析してみたところ、彼らは常に遠くを見ているんですね。広い視野で、かつ、相手のチェックを交わした上で伸びやかに足を振り抜くから、とにかく美しい。
そして視野が広い分、判断が速くて、小気味が良い。攻撃的なチーム作りをしていながらも、〈最短手数でシュートまで行く〉というスタンスはイタリア国民のDNAに刷り込まれているようです。ザックが日本代表のバックパスにマジギレするのも納得いたしました。