■日本 0 vs 4 ブラジル[10月16日]
ボールのポゼッション的には50-50の、相手を考えれば「良い試合の入り方をしたなぁ」とか考えていたら、スポンとパウリーニョにミドルシュートを叩き込まれました。圧倒的に守勢に回っていれば、もう少し人海戦術的に壁があったんでしょうが、「好事魔多し」の典型例。
で、審判はポーランド人の方らしいので、無意識的に強者のブラジルに有利なジャッジになりがちです(詳細はバルセロニズムと資本主義の精神テレビ観戦(ミランvsバルサ・1st&2ndレグ)の周辺をウロウロと…)。今野がPA内でハンドを取られ、PK献上。ネイマールにサクッと決められ突き放されます。
こうなると、いろんな要素がブラジルの味方をします。いろんな要素とは、「運」とか「神様のご機嫌」とか「巡り合わせ」とか、要するに「リズム」とか「流れ」とかですね。後半に入ってからの3点目は、長友がコーナーキックにかぶってしまい、フォローした吉田に当たった、事実上、オウンゴール。とにかく流れが悪い!
で、それから30分くらいは、どうにかスコアを動かされずに済んでいましたが、まぁ、ブラジルとしては、敢えて動かす必要もなかったですからね。「隙があれば」くらいの感覚でいたのでしょう。そして隙があったのでしょう。カカに4点目を突き刺されてしまいました。
もう、先制されてからは、ブラジルにいいようにやられましたよね。完全にブラジルが醸し出す魔のオーラに身体全体、チーム全体が包まれてしまい、メドゥーサに睨まれた状態。そんな状況に置かれてしまっていた選手たちに対してネガティブな評価を下すのもアレですので、敢えて誉めましょう。
誰を誉めるかと言えば、長谷部。そう、「フランス戦では試合感のなさでダメダメっぷりがハンパなかった」ことでお馴染みの我らがキャプテンですね。心を整えることを得意とする日本の右心房ですが、ブラジル戦は、多少、良くなりましたかね。
例えば、今野がPKを取られたときは、今野に成り代わってレフェリーに抗議するとともに、今野本人にもフォローの声をかけたり(キャプテンとしては辺り前の仕事とも言えますが)、前半、なかなか日本が形を作れない中、ミドルを撃ったり、と。
解説の清水さんが、「こういう展開では、取りあえずシュートを撃ってみることが大切ですよね」みたいなことを言っていた、ちょうどそういうタイミングでしたから、状況を嗅ぎ取る判断力というか、嗅覚は一試合をこなしたことで、多少なりとも向上したようです。
守備では、「カカには追いすがれず、ネイマールからは子ども扱い」って感じでしたが、それは交代して入った細貝も同じでしたし、試合感とか、そういった次元の問題ではないのでしょう。ただ、二試合とも60分でアウトですから、筋力とか心肺機能とか、そういった「ゲーム体力」だけは如何ともしがたいようですが・・・
しっかし、一試合で随分と変わるんですね。ワタクシも先日、数年ぶりに原チャリに乗って、コンビニまでの往路はドキドキものでしたが、復路はすっかり感覚を取り戻していたので、そんな感じでしょうか?・・・えぇ、だいぶ違いますね、はい。
■清水 2 vs 0 FC東京[ナビスコ準決勝2nd 10月14日]
セットプレーからの流れで右に開いた高木がクロス。相手DFをすり抜けるようにポジションを取った大前が教科書通りにヘディングを地面に叩き付けて、キーパーからすれば届きそうで届かない放物線でボールが飛んで、清水が先制しました。
追加点も清水。自陣でどうにか前にボールを運ぼうとする中、高木がサイドチェンジっぽい縦へのロングパスを思いっきり蹴ったら、狙ったのか、たまたまか、とにかく大前に繋がり、そのまま独走。丸山が必死に対応を図りますが、抵抗むなしく、大前が2点目を叩き込みます。
その後は、FC東京が前傾姿勢になって攻めまくり、清水がカウンターを虎視眈々と狙うというお約束の展開。ポゼッションのチームと、サイドアタックのチームですから、特にそういう傾向は顕著になるわけですが、試合終了間際にカウンターからPKというのも、‘いかにも’ってやつです。てなわけで、大前のハットトリックで清水がFC東京を下した一戦となりました。
フと思ったのですけど、この両チームには、なんだかキャラクターの被る選手が多く所属していますよね。
例えば八反田選手と丸山選手。両選手はポジションこそ異なれ、同じ背番号で、16番。ルーキーであるにもかかわらず凖レギュラー級の番号を背負うのは大学サッカーのスター選手だったから。即戦力として入団し、シーズン途中から出番を得ているところも、よく似ています。或いは、林彰洋と平山相太。これまたポジションが全く違いますけど、日本人離れした190cmを超えるスケールに恵まれています。それから、Jリーグを経由せず(強化指定はともあれ)、海外に渡り、気がつけば日本に舞い戻ってきていたことも共通していますし、何よりも、顔が似ていませんか?童顔ですよね。大きな身体をしておいて、もっさりしたベビーフェイス。
で、この両チームで、もっともキャラが被るのが村松と米本。ともにロンドン世代で、アンカー系のボランチ。球際に激しい守備が持ち味ですよね。顔が垢抜けたシュッとした雰囲気ではない、という点も似ていますが、そこは置いておきましょう。
ともあれ、この2人の出来が、両チームの明暗を分けましたかね。この試合、梶山やルーカスといったテクニック自慢の選手が、どういうわけだか足にボールが付かない感じだったのですが、それは米本にも伝染した模様。彼にも変なミスが目立ちました。例えば、中盤で八反田選手にぶつかり合いを挑まれ、思いっきりボールを奪われてしまったり、相手の攻撃をしのいで、「さあ反撃だ!」ってところで、真ん中に戻したボールが危険な位置で相手のアタッカーに渡ってしまったり。
一方の清水。こちらの場合、村松はもちろんのこと、前述の八反田や三杉君イメージの杉山も、けっこう球際をハードにいってましたね。FC東京はバイタルエリアの最後のところでパスがずれ続けていたのですが、それは、清水の中盤が守備を頑張ったことの賜物だったのかもしれません。