プランBと存在と遠藤の存在感ナビスコカップ決勝戦(11月8日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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ナビスコカップの決勝戦を見に行くのは、広島vs磐田の年以来です。

 

 

■前半

 

広島もガンバも、少なくとも直近のシーズンに限っていえば、あまり攻撃を前面には押し出さないスタイル。例えば広島は森保さんになってからは343というよりも、541の印象が強くなっていますし、ガンバは長谷川さん就任によって、破壊力あるカウンターサッカーで席巻している。こういう両チームがマッチアップしたものだから、それなりにポゼッションしながらも、さほど前がかりにならないという攻防が展開されます。

 

 

ただ、そうはいっても、これまた双方ともに共通するのですが、もともとはパスサッカーを標榜していたチームですから、それなりに繋げるわけです。特に、後ろめの選手たちが、ポジションのわりに技術がある。なので、自陣でミスを連発して、中盤でボールをプレゼントしてしまうってシーンが少ない。ゆえに、一旦、マイボールにすると、かなりの確率で相手ゴール前までボールを運んでいきます。交互に攻守を順番に披露していく、見応えのある序盤戦となりました。

 

 

そんな互角の展開をブレイクしたのは、西村さんのジャッジ。微妙な判定でしたが、ガンバ守備陣のハンドをとってPKを与えます。それにしても西村さん、少し前のACL決勝では、同様なハンド疑惑も含めて頑なまでにPKを与えなかったのに、ここでは、容易にPK宣告するんですね。まあ、ジャッジの基準というのは試合ごとに一定していればよく、2つの別個の試合における基準が同一である必要はさらさらないので問題もないんですけど。

 

 

そのPKを冷静に決めたのが佐藤寿人。こういう大舞台でPK決めるのって凄いですよね。「PKなんて決めて当たり前」なんてことを言う人もいますけど、こういう、一種、異様な緊張感に包まれた試合でのPKを見ていると、そんな意見がいかに皮相であるかがわかりますし、PKを決めるということの凄さを実感できるのもスタンド観戦の醍醐味。ちなみに佐藤寿人は追加点も決めました。こぼれ球が足下に入りすぎて難しい態勢になりながらも決めきった、これまた貫禄のゴールでございました。

 

 

■後半

 

ガンバは前半の終了間際にパトリックのヘディングシュートで1点差に追い上げると、後半の頭に、再びパトリックが決めて同点に追いつきます。それにしても、パトリック、破壊力がありますね。フロンターレにいた頃は足下が覚束なさすぎて出番を与えられなかったんですけど、甲府とかで成長したのか、あるいはカウンターで推進力を生かすことに特化した起用法がはまっているのか、ともあれ、気付けは優良助っ人外国籍選手の仲間入り。

 

 

後半はとにかくガンバの良さが目立っていた。そのターニングポイントは大森の投入でしょうか。3ボランチ気味で引いて守っていた前半と打って変わって、鬼のようなフォアプレスでガンガンに広島を押し込んでいった。これによって、それまでは巧みにガンバの網をくぐってパスワークを成立させていた広島もビルドアップが機能不全に陥ってしまいました。また、宇佐美の守備負担も軽減されたようで、俄然、エースの躍動感が際だつようにもなります。

 

 

そうして、圧倒的なガンバペースのもと、フォアプレスによってタジタジとなっていった広島は、徐々に佐藤寿人が孤立しだす。寿人本人も踏ん張りが利かなくなってしまい前線でキープができない。そんな広島を傍目にガンバはスコスコとボールを前に運んでいく。特筆すべきは、前線の4人+遠藤のうち、オンザボールなのは遠藤と宇佐美だけで、残りの3人がオフザボールのハードワークに専念していたこと。この、主役と脇役の役割分担が見事だったと思います。

 

 

要するに、長谷川監督は、守備的に自陣を固めるプランAに加えて、むしろ、こちらが普段着なんでしょうけど、鬼プレスで宇佐美と遠藤を生かすというプランBも用意していた。そこがサンフレッチェとの明暗を分けたと思われます。サンフレッチェは、例えば清水や森崎浩司を投入して打開を図りましたが、リフレッシュと微調整の域を出るものではなく、皆川を入れた残り数分のパワープレーを除いて、「アレがだめなら、コレでいこう」という変化を付けられなかった。一発勝負では、こういうところが、ときに致命傷になるようです。

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

遠藤保仁

□推薦理由

本文でも述べましたが、この試合、ガンバの中盤は遠藤を頂点とするダイヤモンド(3ボランチ?)でした。明神をアンカーで使い、中盤の両サイドに守備で頑張れる今野と阿部を配置することによって遠藤の守備負担を軽減させる目的があったものと推測されます。どうしても、我々オーディエンスは、ブラジルWCでの遠藤投入→失点の影を払拭できずにいますから、ついつい遠藤=守備に不安という見方をしてしまいます。

 

 

しかし、やはりテレビ画面で判断しちゃいけません。ダイヤモンドの頂点ゆえに、半ばフリーマンっぽい動きを容認されていたであろう遠藤は、まさに熟練のポジショニングで、しっかり守備組織の一員としての機能性を発揮しておりました。何より、低い位置でボールを落ち着けられる、あるいはチーム全体を落ち着けられることが、どれだけチームを失点から遠ざけてくれるか。結果として2失点を喫した前半でしたが、遠藤の存在感は際立っていたと思います。