第90回全国高校サッカー選手権大会の周辺をウロウロ振り返るテレビ観戦記(矢板中央vs市船と市船vs大分)

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寒いですね。こんな寒い日には別館4thDayMarketCentreで心を暖めようとしてみてくださいませ。どうやっても温もりは発生しません。

家長移籍の界隈をサラッと。

遠藤兄のDVDの界隈をサラッと。

昨年末の山雅・マリノスの界隈をサラッと。

矢板中央vs市立船橋(01月05日)

矢板中央          市船

              

   10 20             09

17      09       08  10  11

   06 07            18 23

14 04 02 16       05 04 03 02

    01              01

放送の枕詞が「関東勢対決となりました・・・」。確かに関東勢対決ではあるのですが、ワタクシの勝手な見解として、宇都宮より北の栃木県は北関東ではなく南東北だろうと思うわけですよ、主に言葉(方言)の面から。あるいはさいたま市以外の埼玉県は南関東ではなく北関東ではないかとの疑いを排除しきれないわけで。ちなみ前橋・高崎より向こう側の群馬県信越地方です。

逆に千葉県の場合、千葉市まで、柏市までは都会。翻って内房やら南房総やら九十九里やらは首都圏にあらず。野田の扱いが難しいものの、船橋は東京生まれ東京育ちを除く誰から見ても大都会なわけで、その船橋矢板を同列に語るかねぇ?とか思うわけですが、ともあれ関東勢対決。

結局、セットプレーなわけですよ、市船は。ということでセットプレーから市船が先制点と追加点。そのまま市船の勝利。以上終了。

この日の解説は我らが小倉隆史。小倉さんは朴訥な風体や、バラエティ対応の出来る人柄から、松木系解説者のように感じなくもないのですが、実は解説が非常にお上手。基本的には技術的な解説に終始して、高校サッカー名物「人間劇場」には、周囲に失礼のない程度にだけお付き合いする、というスタンス。絶妙です。

順々決勝だと言うのに、全体として圧倒的な市船ペース。厳密には市船ペースと言うよりも、矢板中央が何も出来ないという感じ。いつもの述べるように、ワタクシみたいなサッカー未経験者にとっては、攻撃面の分析は出来ても守備の部分についてはよく分からない。

そういうなかでも小倉さんが、市船の守備の素晴らしさを、目の前で展開されているプレーに応じて、逐一説明してくれる。いかに市船のチェックが速いか、プレスが適切か、繋ぎのロングボールが正確か、などなど。

一方、矢板中央は後半から手負いのエース石井君を投入します。この石井君は風貌といい、ガタイのイカつさといい、プレーのダイナミックさといい鈴木隆行を、どことなく彷彿とさせます。

しかし、ほとんど状況を打開できません。この試合だけをみれば、「なんで、こんなチームがベスト8まで来てんだ?」って思ってしまいがちですが、それだけ市船の守備が凄いってことですね。決して矢板中央の選手たちが勝手にミスっているわけではなく、つねに市船が数的優位の中で厳しくチェックを繰り返して、手も足も出なくさせていたわけですから。市船、恐るべし。

市立船橋vs大分(01月07日)

市船          大分

            

09            21

18 10 07     11  13   09

12 23          06 07

05 04 03 02     08 04 17 16

01            12

というわけで、市船はセットプレー。はいはい。華麗なコンビネーションでゴールをこじ開けても、フリーキック一本で決めても、1点は1点。

追加点も市船は、あくまで市船らしく。相手が人数をかけて攻めてくると、しっかり守って前線の3人でカウンター。7番君とか、45人に囲まれても突破してしまう。それだけの技術があるなら、もう少し攻撃的というかポゼッション志向というかパスサッカーというか、要するに見ていて面白いサッカーをやれよ、とか言いたくもなりますが、敢えてそれをしないのが市船

市船が魅惑的なサッカーをやるというのは、バルサが「ロングボール、後は運任せ」サッカーをやるくらい、理念の喪失なわけですから。監督さんはインタビュー等で「勝利に徹するのが市船」といった旨の発言をしていましたが、厳密には「負けても良いから全力でつまらないサッカーをやるのが市船。つまらないサッカーさえできれば勝ち負けは度外視」なのではないかとの疑惑さえ禁じえません。

で、普通の高校なら、このまま市船の必殺「相手殺し」で、ずるずるタイムアップとなるところですが、さすがはベスト4まで勝ち上がった高校だけあって、大分は後半35分過ぎにセットプレーから1点差に追い上げるヘディングシュートを叩き込みます。

大分は、リードされた後も、ずっと開始直後と同じサッカーをしていれば付け入る隙もあったのかなぁとか感じます。つまり「意図的にロングボールを蹴り続けるサッカー」ですね。市船は中盤でのボール奪取能力が異様に高いので、敢えて中盤を省略するサッカーを自らのイニシアティブのもと推し進めれば、大分にも勝機があったのかもしれません。

というわけで市船は、マリノスみたいなサッカーをやるわけですよ。もちろん市船はここ数年のマリノスには存在してこなかった「中盤での連動したプレス」という必殺技を携えていて、最終ライン(というより両CB)の個人的な強さに依存しているトリコロールさん達とは少し異なりますが、まずは守備力を全面に押し出して戦うという面では共通する。

しかし、サッカーというのは相対性のスポーツです。攻撃的なチームも、超攻撃的なチームと相まみえれば守備的なチームとされてしまいます。アーセナルバルサと戦えば、パスの繋がらないチーム扱いですね。そういう論理によって、この日の市船ポゼッションサッカーを展開していました。18番の1年生君は、ここまでボランチで出場してきましたが、ほとんど左ウイングのような役割を担っていましたし。前線の3人以外の選手も加えた流動的なアタッキングなんて、もはや逆に市船アイデンティティが崩壊しやしないかとヒヤヒヤしておりました。