戦術的交代の周辺をウロウロと…2011年シーズンのJリーグを振り返る・選手の群像編

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前回は元海外組について触れましたが、そんな元海外組だって戦術上の理由で交代させられたりするわけで、「戦術上の理由」ってというのは、なかなか奥ゆかしいのです。

さて、前エントリーで述べたように横浜FMvs神戸(06月05日)を見に行ったわけですが、2011シーズンのヴィッセルには複数の元海外組がいますね。1人は大久保選手。ただ、大久保選手は、この日、ベンチ入りしていませでした。でも神戸には、もう1人元海外組がいます。そうですね、宮本選手ですね。もはや多くの日本人にとって忘却の彼方となった記憶ですが、彼は一時期オーストリアザルツブルクにいましたよね。しかも、日本であまり報道されなかっただけで、それなりに活躍した模様。さすがはHe speaks Englishなだけあります。

その後、乞われて神戸に加入した宮本選手ですが、やはり彼は3バックでこそ輝く選手。4バックとなると「帯にtoo short & 襷にtoo long」。もはや、ルー大柴状態ですが、ともあれ、帰国後の宮本選手はベンチを温めることが多かった。

この日も、その例外ではなかったわけですが、試合前のウォーミングアップには姿を見せます。サブ組がまとまってボール回しをしているとなれば、ついつい宮本選手を探してしまいます。そして、見事、見つけ出したときには、何だか凄く得した気分になります。

元海外組のこういう、「顧客満足度向上作用」も、Jリーグの健全な発展のためには、とても大切なのではないかと、強く感じた瞬間でした。

いまや珍しいことではなくなった海外挑戦も、彼らのようなパイオニアがいたからこそ。時代を切り開いた開拓者たちの存在感を改めて痛感した1日となったわけですが、海外組といえば、マリノスにも俊輔の他に、もう1人、元海外組がいます。大黒選手ですね。帰国後はヴェルディ横浜FCFC東京横浜FMと、京浜工業地域を行ったり来たり、自動車産業季節労働者のようにさすらっている印象の強い大黒選手ですが、この試合では、きっちりスターティングラインナップに名を連ねていました。

2トップの一角だったのですが、相棒は渡邊選手。大黒選手が11番で渡邊選手が9番です。

ツートップと言えば9番と11番。昔から、そう相場は決まっているのですが、一方で、なかなか、こういう教科書的な組み合わせを、プロの世界で見ることは難しい。ワールドカップの各国代表なんかでは、たまに見かけますが。だから、渡邊・大黒の9番11番ツートップと出会えただけで、試合前から感慨無量にならざるをえないわけです。

ともあれ、大黒選手は、前半から、ガンガンに相手DF裏を突きまくります。そして、それに合わせるように俊輔から正確な縦パスがバシバシ通ります。

元海外組の2人だけで次々とチャンスを量産していたのですが、一方で、2人だけでチャンスを作れるが故に、「多くの人数が有機的に連動する」というシーンも少なくなってしまっていたようにも見えました。

大黒選手は前半だけで交代してしまったのですが、おそらくそれは、上述のような戦術的理由によるものではないかと推察します。

ところで、戦術的理由による選手交代として2011シーズンで最も印象的だったのは、FC東京vs熊本(07月24日)です。この日も圧勝モードに入っていたFC東京は、2011年シーズンなかなか出番がなかった柳楽選手を投入しました。普通に考えれば余裕の采配で試運転させたというところだと思いますが、穿った見方をするならば、パワフルだけど危なっかしさも同居する柳楽選手を投入することにより、他の選手、特に守備陣に緊張感を与えるという大熊監督の深慮遠謀があったのかもしれません。

実際、柳楽選手の投入以後、不用意なミスは明確に減ったような気がしなくもない。しなくなくないような気もする。柳楽の投入は梶山・徳永・森重対策だったに違いないのですね。

なんせ試合は、全盛期だったFC東京がちょちょいのちょいで50とかにしてしまったものだから、そうなれば、梶山・森重という「舐めまくりコンビ」による軽率なプレー群のお出ましなわけです。もちろん、羽生先生あたりは渇を入れ続けていたものと思いますが、チーム全体がなんとなく余裕綽々モードに。

そういうなかで特に梶山については逆に「アカン、オレがミスしてる場合やない」みたいな自覚が芽生えたのか、周りのミスをフォローするような働きをしていました。梶山の軽率のミスを減らす意外な方法として、「逆に周囲が軽率にミスする」というのがあるかもしれません。なので梶山対策という意味では、柳楽投入は非常に効果的だったものと評価できます。

ただし一方の森重は、いつもの森重。周囲になんて影響されません。大量リードした後はちゃんといつものように自陣でヘディングを空振りしたりします。塩田とか今野とかは唖然としたかと思われますが、当然のことながら本人は悠々としたものです。まさに泰然自若。森重については柳楽効果が薄かった模様。

ちなみに、熊本戦でFC東京は、もう一つ余裕綽々なことをしていました。なんとコーナーキックを今野選手が蹴ってたのですね。10で勝っている首位攻防戦だとしたら絶対ないことでしょう。

ただ今野選手の名誉のために付言しておくなら、今野選手のコーナーキックは、なかなか高精度でしたよ。「オイオイオイ」なんて思いながら見ていたら、意外にも「普通のボール」が蹴り込まれていましたので、あながちバカにできたものではありません。

というよりも大竹選手をセレッソに貸して以降のプレースキッカーは今野選手でも良かったんじゃなかろうか。。。うん、これは言い過ぎでしたね、はい。

というわけで、試合中の采配といっても、おそらく監督さんは多種多様の思惑を込めて選手を投入したりひっこめたりしているんだろうなぁ、ということに思いを馳せてみました。