サッカーのイロイロな見方の周辺をウロウロと…2012年シーズンのJリーグを振り返る・選手の群像

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珍プレー好プレー[横浜vs仙台(03月17日)]

プロ野球が現在の「国民的スポーツ(娯楽?)」としての地位を築き上げるには、様々な要因がアシストしてきたものと思われます。例えば、某球団は、某新聞社の紙面作りのツールとして発展し、「(自称?他称?)盟主」の座に上り詰め、名物社長の毒も相俟ってプロ野球人気を牽引し続けてきたりとか。加えて最近つとに思うのは、「テレビ番組の影響も無視できないなぁ」ということ。一番わかりやすいのは、「巨人の星」を代表とするアニメですが、「珍プレー・好プレー大賞」の類の功績も、なかなか侮れません。

そういうプロ野球の成功例に倣って、サッカーでもJリーグ開幕当初は「珍プレー集」みたいな番組やら特集なりが試みられました。ただ、野球と違って、サッカーって、難しいですよね、珍プレー(=エラー)の定義が。足を使うスポーツである以上、上手くいかないことが前提にあるので、ほとんどのプレーが「エラー」の範疇に入ってしまうわけで、なかなか野球みたいにはいきません。

この試合でいえば、ベガルタが先制点を上げたシーン。あらぬタイミングでボールがやってきたウィルソンが相手ゴールの真ん前でヘディングを打ったら、見事なまでに真上に打ち上がってしまった。これって珍プレーっちゃ珍プレーなんですが、結局、それがそのまま繋がって得点に結びついたので、決して「悪いプレー」ではなかったってことになる。

あるいは、仙台がスローインだか、ゴール脇でのFKをクイックリスタートしたときだかに、赤嶺にボールをチョンと出したところ、赤嶺は明後日の方向を眺めていて完全にボールをシカトしたシーンなどは珍プレーにあたるのでしょうか。

まあ、「珍プレー」を「珍奇なプレー」ではなく、「珍しいプレー」と定義すれば、横浜の中澤が、自陣でボールの扱いにもたつき、赤嶺にボールを奪われ決定的なピンチを迎えた場面などは、中澤にあるまじき「珍しいプレー」ではありましたが、中日ショート宇野の伝説のヘディングほどのインパクトには敵わないのかなぁ、と。

■スーパープレーの美しさとカウンターの美しさ[横浜vs鹿島(03月31日)]

この試合の直前に、CL準々決勝のバルサvsミランを見ていました。もちろん画面越しですが。そして録画ですが。いや、バルサって美しいですよね。バルサの美しさについては、多くの方々が同意してくれるものと考えますが、それと同じくらい、ミランも美しかった。

もちろんミランバルサ相手にショートパスを華麗に繋いでいくようなことはしていません。にもかかわらずミランを美しいと感じたのは何故か。というか、サッカーにおける美しさとは何か。みたいなことを考えおりました。そして、この試合を見ていて、一応の結論というか、仮説というか、中間報告のようなところにたどり着いたので、以下、その辺りのことを。

マリノスには中村俊輔アントラーズには小笠原満男という、日本を代表するゲームメーカーがいることによって、この試合では、両チームとも、それなりにパスを繋いできました。ただ、両チームのパス回しには決定的な相違があるんですね。それは、パスが見事に通った局面において、マリノスの場合、選手各人の技術が際立つのに対し、アントラーズには、それを感じないという相違です。

こう表現すると、アントラーズに対しネガティブな印象を抱いたように感じられるかもしれませんが、実際は、その逆なのです。誤解なきよう、表現を改めましょう。マリノスのパスは単発的なグッドプレーだったのに対し、鹿島はシンプルなワンタッチパスの連続体だったということです。

つまり、鹿島は複数の選手がイメージを共有した上で、パスを交換していた。で、思ったのです。サッカーの美しさを最大公約数的に定義付けるなら、「イメージの共有」ということになるのではないか。日本人好みの言い方をすれば、「阿吽の呼吸」ってヤツですね。個人的にサッカーの見方が少し広がったように思います。

ヴェルディの左右対照[東京VvsFC岐阜(06月13日)]

最近でこそ変容しつつありますが、ブラジルのサッカーって基本的に中盤がボックスの442で、それぞれのポジションに対照的な選手を配すことに特徴がありますよね。

例えば、FWにはポストプレーヤーとシャドー系、2列目にはパサーとアタッカー、ボランチにはレジスタとバランサー、SBも比較的攻撃的と比較的守備的を置き、CBは前に強いタイプとカバーリングに優れた選手を配す、みたいな。

翻って、この日のヴェルディ。この試合のヴェルディも、ポジションごとに見事な対照が成立していました。まず、FWですが、1人は大型CFでターゲットになれる杉本健勇。その相方が、チームの得点源で技術とクイックネスで勝負する阿部拓馬。典型的な1stトップと2ndトップという組み合わせですね。

次に2列目は西と飯尾。両者ともベテランでポジショニングに妙があるって点では共通していますが、とはいえ、足下の技術に優れていて、どちらかといえば消えてる時間も長い西に対し、汗かき役で、ちょこまかボールに絡んでいく飯尾という意味では好対照。さらにボランチについては、非常にわかりやすく、攻撃的な梶川と、守備的な和田という明確な役割分担がありました。

CBについては土屋バウルと深津という、比較的よく似たタイプのペアでしたが、SBの組み合わせは特徴的でした。右は森勇介で、左が高橋祥平。うん・・・?なんか似てるぞ。なんというかお行儀が宜しくないところというか、なにかと「処分」という言葉と縁が深いというか。。。ま、まぁ、そういう部分はさておき、SBとしては超攻撃的な森勇介と、CBもこなせる高橋祥平という意味では、比較的攻撃的と比較的守備的という組み合わせってことで宜しいんじゃなかろうかと。