徳島遠征の関連記事を、またまた。何時の話?ってことですが、それはいつもの御約束と言うことで。それでも本エントリーは、そろそろ野球で言うところのストーブリーグの話題も盛り上がってきたこともあり、本人的には「まいていこう」的に頑張ったのです。
皆さん、ヴォルティスあるいはロアッソの印象って、どんな感じでしょうか?
個人的には、なんとなく似ているイメージがあります。理由はハッキリしていて、J1経験のある(J2としては相対的に)ビッグネームな選手を補強するのに積極的だという点が共通するんですね。
徳島の場合、事実上の親会社があって「独立採算」の呪縛から自由な立場にありますので、多少、羽振りが良くても不思議でないのですが、熊本は、どうやって、その辺の工面をしているんでしょうかね?
熊本駅前に行ったら、ロアッソの幟で埋め尽くされているって状況があるのでしょうか?
それとも、超絶的に買い物上手なんでしょうかね?
なかなか興味の尽きないところではありますが、ともあれ、徳島は美濃部監督を招聘して以来、突然、「買う側」のクラブになりました。
熊本については藤田俊哉の加入以来、けっこう移籍市場を賑わせています。そういや藤田選手、契約満了みたいですね。今シーズンは昨期ほど出番に恵まれていませんでしたし、高木監督の就任で、ある程度クラブの成績も軌道に乗ったことで「熊本でも自分に役割は済んだ」と考えたのでしょうか。どこか、オファーを出して欲しいっすね。いまでもワタクシの中では藤田選手が「Mr.Jリーグ」です。
話を熊本・徳島の補強に戻しますと、両クラブとも、「パンが無ければケーキを食べれば良いじゃない(はあと)」って程、リッチ・リッチャー・リッチェストではないので、レンタル移籍なんかも適度に組み合わせたりもしています。
さて、一概に移籍組と言っても様々な類別があります。
第一に、熊本で言えば堤選手、徳島ならば平繁選手や柿谷選手が、それに相当する、古式ゆかしきレンタル組。彼らの共通点は、(おそらく)レンタル元のクラブ的には、「このまま完全移籍」という考えを余り持っていないであろうところ。
「将来を見据えて、まずは試合に出られるところで揉まれてこい!」って感じの、いわゆる1つの武者修行。修行に出してはみたものの、結局J2でも出番がなくて、そのまま契約更改せず、なんてパターンも間々ありますが、上述の選手たちは、一応、出番を得ていますから、いずれ、一度はレンタル元のクラブに呼び戻されるのではないでしょうか。
第二に捲土重来を期す選手たちがいます。J1でも活躍していたが、コンディションを崩したり、世代交代があったり、クラブを取り巻く環境が変わったりして戦力外となった一群ですね。
熊本の南選手やカレン選手などについては多言を必要としないと思いますが、ロアッソには他にも宇留野選手などがいます。目を徳島に転じると、濱田選手や倉貫選手などが、新天地で、かつての輝きを年齢なりに取り戻しつつあるようです。
武者修行組と捲土重来組に加えて、この日のピッチを眺めていると、もう一つ顕著な特徴を発見しました。まず、熊本の右SBには筑城選手が入っており、左MFは片山選手でした。一方、徳島では津田選手が平繁選手の相棒として2トップの一角に入っていましたし、左SBはテクニシャン系の井上選手でした。
これらの選手の共通点にお気づきでしょうか?
そうですね、全員、もともと名古屋でプレーしていた選手なんですね。
名古屋は、なんと言っても、世界のトヨタがバックに付いていますから、以前より、大物選手の獲得に積極的でしたが、ストイコビッチが監督に就任して以来、その傾向に拍車がかかっています。まぁ、ジャパン的ビッグクラブですよね。で、ビッグクラブの宿命として、「完成されていない」選手が出番を与えられず、「完成されていない」まま、くすぶってしまったりする。必然的に、他のクラブに活路を見いだそうとする選手も多くなるって話なわけですね。
そんなわけなので、両チームとも、「寄せ集め」感を否めず、以前のエントリーでも述べたように、徳島の場合、その「寄せ集め」的ギクシャクが前面に出ていたのですが、その一方、熊本は非常にオートマチックで、高木監督の手腕が伝わってくるサッカーをしていました。
高木監督と言えば横浜FCを昇格させたシーズンに目立ったように堅守速攻。既に名前を挙げていたりするのですが、SBは堤選手と筑城選手でSHは片山選手と宇留野選手。J1から移籍してきた能力の高いを左右に2枚ずつ置いた、サイドアタックを攻撃の基本形としていました。
まさに、教科書に忠実なサッカー。おそらく、多くのサポは、このサッカーをしていればチームは着実にステップアップするだろうと安心できるのではないでしょうか。
ただ、高木流教科書に忠実なサッカーは、この日の徳島にはパンチ不足でした。だいぶ以前のマッチレポでも書いたように、この日の徳島は、先制後、結果的穴熊戦法へと移行しました。
「結果的」というのは、狙ってそうしたのではなく、ズルズル下がった結果、穴熊っぽくなってしまったという意味です。ともあれ、基本に忠実なサイドアタックですから、よっぽどサイズのあるCFが居ない限り、退いた相手には、非常に相性が悪い。だから、ヴォルティス戦に限れば、「高木、ここにあり!」ってアピールはできませんでした。
ただ、一度、相手の猛攻を跳ね返したとき、DFの誰かが、「広がれ!」って指示を出すや否や、一斉に中盤と前線の選手がスペースを探して全力疾走する場面がありました。この一糸乱れぬ連動性には、正直、感動すら覚えました。
そして、ワタクシでも気づけたのが一回だと言うだけで、実際には試合を通じて、似たようなシーンが何度も繰り返されていたものと想定されます。
そう考えると、ヴェルディ伝統のサッカースタイルとはマッチしなかったかもしれませんが、「高木、ここにあり!」と叫んで相応しい監督が、ロアッソにはいるなぁ、なんて感じました。