連続足痙攣事件〜湘南ベルマーレvs鹿島アントラーズ(8/21)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□鹿島の蹉跌

我々が若い頃というのは、バブル崩壊からの長期不景気の真っ只中で、就職氷河期時代。企業の業績が悪いというより、いわゆる“団塊の世代”の人口が多すぎて、年功序列型給与体系の矛盾が思いっきり表出していたわけです。っていう状況を受けて、当時は盛んに「“成果主義”の給与体系に!」ってことが叫ばれておりました。…あれから20年、“成果主義”は浸透しましたかね。“能力主義”については「年齢も能力である」と年功序列を正当化する論理へと様相を変えました。

つまり、日本人社会の組織を生産的に機能させるためには、これまで日本という国が歩んできた道のりを適切に踏まえた上での評価慣習が必要だということなのですが、鹿島がバイラー監督を実質的に更迭した理由を説明する記事を読んで、そういうことを思い起こしました。ヴィッセルがいつまで経っても安定的な成績を収められないのも、まあ、同じ原因ですよね。

 

□我慢の湘南とリフレッシュした鹿島

監督人事を見る限り、湘南って20年くらい、なんなら上田栄治監督とかの時代から、ずっと我慢強いというか、あまり頻繁に交代しませんよね。もちろんそれは反町康治やらチョウキジェといった名将とめぐりあえたという僥倖的要素が強いからなのでしょうが、その我慢強さは現在の山口監督に対しても変わらず、そして、このままいけばその我慢強さが実を結びそうな雰囲気も出てきています。

対する鹿島についてはすでに触れた通り。もはや関心は、現役時代から“頭でっかち”感を否めなかった岩政監督が、どれくらい臨機応変さを発揮できるかってところに、ワタクシ的にはあります。岩政って学芸大ですよね。どういう入試方式で合格したのかは存じませんが、学歴的には頭が良さそう。ただ、単に頭が良いだけでは指導者キャリアスタートアップ期の相馬さんみたく、なかなか本領発揮とはいかないこともありえますので、柔軟さとか快活さが問われてくるんだろうとは思われます。

 

□湘南の優位

さて湘南ですが、浮嶋体制の象徴でもあった石原の最終ライン起用はやめたんですね。右のWBで使われてました。とはいえそれは背が低いという部分を考慮してというより、彼のストロングを生かすためでしょう。なぜならば同じような身長体重の舘は最終ラインだったから。やってるサッカーは悪くなかったですよ、ハードワークしてましたし、「クサビや縦パスが入ったらそこで潰す」という奪いどころも明確でしたし、攻撃もカウンターからラストパスまでの手順は整理されていました。

一方の鹿島ですが、海外帰りの鈴木優磨の存在感がえげつない。小笠原の系譜というか、海外で様々な経験をしたことで貫禄がついて、チームリーダーとしての資質が花開いた感じ。また家長昭博の系譜とも言えて、海外から帰ってくるや、キープ力とか、あたりの強さとか、落ち着きとかが、えげつなくなっている。名実ともに鹿島の看板を背負う選手となりましたね。

ただ、存在感が圧倒的ゆえ、むしろ狙いどころになってしまっていた感もなくはない。鹿島はマイボールにすると、何はともあれ鈴木優磨にボールを入れる、特に前半はファーストチョイスというより、絶対の選択肢でしたから、湘南としては、どこを潰せば良いかのメリハリが付けやすかったかもしれません。そんなこともあってか、前半に関してはシュートチャンスだけみれば湘南の方が鹿島より優位に立っていたと思われます。

 

□鹿島が先制して、湘南が追いつく。

岩政監督も前半の戦い劣勢と見たのでしょう、後半開始とともに魂の3枚替えを敢行します。中盤でのイニシアチブ争い強化において、それぞれ意味のある交代でしたが、中でも効果的だったのは、地味に和泉の投入だったでしょうか。前半から広瀬がビルドアップの逃げ道だったのですが、その先もう一つの逃げ道がなかった。和泉が1列前に入ったことで、ビルドアップで困ったらまずは広瀬に逃げて、さらに広瀬が和泉に逃げるというルートが作られたかと思われます。

ってゆうテコ入れもあって試合の流れがおおむねイーブンになったところで、鹿島が一刺し。安西と鈴木のコンビプレーで左サイドを攻略すると、最後はエヴェラウドが決めて先制に成功しました。そして、このゴールを境に鹿島のリズムが良くなり、逆に湘南は小気味よさを失ってしまったので、「湘南はちょっと厳しい感じかなぁ」と見ていたのですが、そこはサッカー、何が起きるかわかりません。コーナーキックピンボール状態で瀬川の頭にあたって値千金の同点ゴールとなりました。

こうなると、試合は膠着します。高温高湿度の環境下、エヴェラウドの投入後、よりフリーマン化して広範囲に動き回り続けた鈴木優磨もさすがに燃料切れ。湘南は右WBの石原を下げて左から右にスライドした畑が足を攣る。そこでCBに福島を投入して岡本を1列上げたら、今度は岡本が足を攣る。そういう消耗戦。ロスタイムは6分ありましたけど、どちらも一丸となってゴールに走り込むチームとしてのHPは残っておらず、そのまま1ー1のドローとなりました。