□小川慶治朗が豪州へ
そういや横浜FCの小川慶治朗がオーストラリアに移籍することになりましたね。オーストラリアへの移籍というのは、海外移籍という達成ではありますが、待遇やサッカー界における社会的評価といったプレーヤーとしての側面に限定すれば、単純な意味でのステップアップとは言いづらい。
しかし、人間として、あるいは「サッカーに携わる者」という観点に立てば、カルチャーの異なるコミュニティでこれまで接してきたのとは違う種類のサッカーに触れられるわけで、その経験は確実にプラスになるはず。Jリーグでアウォーズに呼ばれるレベルの活躍している若手選手なら「ヨーロッパにこだわれ!」って言いたくなりますけど、そろそろ引退後の人生設計もぼんやり考えはじめる年齢ですからね、多面的な観点から彼の海外移籍を応援したい。
□残留争い
さて、横浜FCのサポーターとしては、「チームの絶対的支柱なんだから、なにがあっても今ここで出て行かれたら困る!」っていうテンションで小川を送り出したかったというのが本音でしょうか。最近のJ1昇格チームは、昇格してもさほど派手な(ある意味、花火的な)補強をしなくなりましたけど、去年今年の横浜FCは、懐かしいパターンの「ベテランビッグネーム大量補強」をやってます。そして、時代が変わっても、このやり方は奏功しないらしい。
対照的に質実剛健な補強方針でそれなりのスタートダッシュを見せた徳島ですが、颯爽としたスタートダッシュ以降は長期停滞傾向。……というか、ポヤトスで良かったのか? 甲本さんが代行していたときの方が圧倒的に獲得平均勝ち点は高かったような。もちろんコロナに関する諸状況によって発生した経緯からして、ポヤトスを切って甲本さんに戻すというのは、古い言い方だと「仁義に反す」ってことになって、現実的ではないのでしょうけど。
□サウロ・ミネイロ
さて、この夏に加入したサウロ・ミネイロ。この選手、まあまあ存在感があります。まず、「サウ“ロ”・ミネイ“ロ”」なんですよ。苗字と名前の最後の文字が同じ。まあ、それを言えば、徳島に加入したFWの名前も「ムシャ“ガ”・バケン“ガ”」で苗字と名前の最後の文字が同じですし、何より「だから何だ?」って話ではありますが。
それから、キックオフ直後の、主に遠目から見た印象ですと、サウロ・ミネイロとマギーニョの雰囲気が似ているのかな、とも思ったのですが、案外そうでもなかった。もっとマギーニョのように、ゴム鞠みたくピョンピョン飛び跳ねながらオーバーリアクション全開の選手かと予想してたら、なかなかエレガントというか、気品があるというか。イエローをもらったときはわざとらしく自分が被害者っぽく倒れるとかしてましたけど、総じて優雅なプレーをします。
□前半から点の奪い合い
試合は前半から動きまくる。徳島が攻めて横浜FCが受けるという構図ではあるのですが、横浜FCが意図的に徳島を誘い込んでいるような雰囲気もある。相手を引き寄せてから中盤でハードチェックを仕掛けるや奪い取って、そのまま松尾がファインショットを決めた先制ゴールなんて、まさにそういう感じ。横浜FCは続けざまにゴールを奪う。件のサウロ・ミネイロの単独突破から決めきったゴールですが、これも相手がブロックを築けていない状況を突いたゴールでした。
尤も徳島も引き下がらない。西谷?か誰かのパンチの効いたミドルシュートを、ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンド、じゃなくってステンド・ブローダーセンが弾いたところに岩尾がヘッドで押し込んで追いすがります。しかし、まだまだ前半のうちにスコアが動く。横浜FCの瀬古が超絶レベルのスルーパスを出し、走り込んだサウロ・ミネイロがGKの股を抜くシュートを決めて、この試合2点目。スコアを3ー1としてハーフタイムを迎えました。下位対決なのに凌ぎ合いでなく打ち合いになるのがJリーグっぽくて良いですね。
□最終的にはバカ試合
この試合、後半の途中から徳島ゴール裏のブーイングが目立つようになりましたね。試合中に自制を求めるアナウンスが入ったりして。で、そういうアナウンスを受けると余計にブーイングしたり、大きな声を出しちゃう。悪いことをして注意されるとムキになって、もっとそれをやってしまうって、たぶん心理学の先生に聞けば「幼稚性の象徴ですね」とか言われそう、よく知らないですけど。親に甘ったれた反抗期の中学生じゃないんだから。青い、青すぎる。
そんなことはともあれ、試合は後半も激動です。まず後半開始とともに徳島は宮代を投入。比較的インに絞る選手ですので、5レーンがよりシンプルになったかな、という印象。で、その宮代の折り返しを垣田が足で合わせて徳島が1点差とすると、さらに西谷のクロスを垣田が今度は豪快にヘッドで合わせて同点となります。ところがどっこい、まだまだ激動は収まらない。横浜FCは途中出場の選手がラッキーボーイ的な働きをしました。まずは左WBの高木。交代直後の(たぶん)ファーストプレーで電車道なドリブルで突進すると、そのままの勢いで豪快に振り抜いたミドルが、本人もビックリなくらいのスーパーさで徳島ゴールに突き刺さります。さらにロスタイムには、やはり途中出場の渡邉千真が相手GKがお留守にしたゴールマウスにダメ押しのロビングを放り込む。最終的に5ー3という、青臭さ満載の決着となりました。