J3における実力差はやむをえない〜YS横浜vs鳥取(5月7日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

鳥取とか日本海側って、江戸時代には北前船的なあれこれで、それはそれは繁栄したそうな。米子とか。で、今や世界屈指の港が横浜。なわけで、このカードは新旧港町ダービーですな。

■前半

J3の試合を見ていて、よく感じるのですが、やっぱり、かつてJ2に所属していたクラブというのは、その頃の蓄積がありますから、サポーターが多いですよね。去年の大分は極端なパターンであるにせよ、鳥取も元J2としての沽券が偲ばれます。ただ、ピッチの中で繰り広げられた光景に関して言えば、前日に観戦したFC東京U23vs琉球よりもJ3臭が香ばしめ。見ていて「まー、J3だからなぁ」と感じることが多かった。

 

 

どの辺がJ3っぽかったかと言うと、それはそれは縦ポンスペシャルだったのですよ、鳥取さん。ビルドアップという概念などに惑わされることなく、ただひたすらに前線の選手を相手DF裏に走らせ続ける。そんな鳥取を率いるのは、今年から森岡隆三監督ですね。森岡さん、プレーの途切れ目などには選手を呼び寄せて、何か細かく指示を出しておりましたが、守備の指示だった模様。攻撃の指示を出してアレだったら、ある意味でミラクルです。

 

 

「守備は約束事、攻撃はインスピレーション」なんてことがしばしば言われますが、森岡さんもそう考えているのでしょう。その証拠に、あの前田俊介が先発でしたし。組織ではなく個を重視するならば、このタレントを起用しないわけにはいかない。ただ、肝心なところが解決できてない。最前線を徘徊する前俊にどうやってボールを届けるかってところに問題が山積みでした。というか、そもそも前俊が貰おうとしていなかったような気もする。

 

 

対するYS横浜は、ある程度そのあたりはトレーニングされている。ボールを奪ってから、どうやってボールを前に運んでいくかってところで、一定の決まり事が共有されていたように思います。こういうところは、YS横浜を去年から率いている樋口監督らしいですね。この監督さんは、どこに行っても、「当然、最低限これだけは教えるよね」ってことをしっかり教えるイメージ。その一方で、スペシャルワンな何かを感じさせないイメージでもありますけど。。。

 

 

 

■後半

試合は前半のロスタイム前後に動きます。動いたようです。その直前に蹴り出されたボールがスタンドに飛び込んできて、その行方を眺めているうち、スコアが動いてしまいました。その後、大型ビジョンのスロー再生で確認しましたけど。ともあれ、リードした状態で折り返した鳥取は、後半開始まもなく、ソツなく追加点をあげます。決めたのはハーフタイム明けから投入された河合。その起点となったのは前俊の、いわゆる“鬼パス”でした。受け手がアタフタしているうちに、結果オーライ的にチャンスになって、河合がズドン!

 

 

リードを広げた鳥取は、余裕の試合運び。全体として、YS横浜の方が洗練されていたんですけどねえ。サイドチェンジとか横幅を使った攻撃なども織り交ぜて、テンポよく攻撃を仕掛けるYS横浜なんですが、そこからゴールまでが遠かった。もうね、こうなってくると“個のクオリティ”としか要素が見出しがたい。ゴール前でモタついたり、失点についても、なんだかエアポケットみたいなものができてしまったり。小さなミスを帳消しにする部分のクオリティが足りないのかもしれません。

 

 

で、そこの不足を補うべく投入されたのが仲村京雅。ユース年代では国際舞台でも活躍した選手だけあって、テクニックはJ3レベルを軽く超越している。この選手にボールが渡れば、あっという間にチャンスとなる。ただ、それでもYS横浜は決め切れません。やっぱり、J2経験があるかないかの壁って、かなり高いようですね。例えば、YS横浜でいうと、辻なんかはしっかりプレーできていましたが、それ以外の選手は、最後まで“やり切る”ってことができなかった。妨げられてしまっていた。

 

 

それでも、町クラブの希望としては、町クラブならではのサポーターの後押しを裏切るわけにはいかない。鳥取GKの遅延行為だかバックパスだかで得た間接フリーキックをスイっと決めて1点差に追い上げます。残念ながら、コーナーキックのチャンスで一度ならず上がっていったGKフィリップの奮闘も報われず、そのままタイムアップとなりましたが、最低限の意地は示せたのではないでしょうか。鳥取サポは鳥取サポで素敵なGWの締めくくり。月曜日からは頑張って働きましょう。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

仲村京雅

□推薦理由

そんなわけで、YS横浜の中では明らかに頭一つ抜きん出ている選手。小柄でカラダを張れないから先発を外れていたりします。ちなみに小柄で足の長さは普通だからユニフォーム姿になったとき、胴の部分が異様に短く見えるのは宮間あやと同じです。宮間、元気か? ともあれ、相手のプレスが弱まりだす時間帯に投入されると、ものの見事なまでのジョーカーっぷり。凄かったですよ。1人だけまるでレベルが違うんですもん。

 

 

具体的にはキックの精度が素晴らしい。セットプレーとか、全部が全部、決定機になる。それから視野の広さですね。ボールを貰ってから出す、ほぼワンタッチのパスがいちいち「そこ見てたか〜」ってところに出て行く。相手の鳥取では前俊が担っていた役割を果たしていたわけですが、前俊よりも確実にアジリティーがある。ただ、前俊に比べて“ふてぶてしさ”が足りないのが玉に瑕。やっぱり王様系プレーヤーは前俊みたいな、良くも悪くも無責任さがないとね。