監督の努力が及ばぬところ〜鳥栖vs広島(9月17日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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 2nd好調の鳥栖と、西日本の雄サンフレッチェの対決を遠征して観戦してきました。

■前半

 

試合前のセレモニーで知事さんだか市長さんだかが言ってましたけど、カープの緒方監督って佐賀の人なんですね。「サンフレッチェサポーターの皆さん、緒方監督の出身地へようこそ!」ってやっていましたよ。そんな名将が引き合いに出されましたけど、この試合の両チームも、ともに名将に率いられています。サンフレッチェは日本人ナンバーワンとの評価も耳にする森保監督、対する鳥栖フィッカデンティ監督もしっかりとチームを作ってきております。

 

 

そんな両チームの戦いは、序盤、サンフレッチェが攻勢に出ます。特に凄かったのがウタカの推進力。迫力満点。豪快に突進して相手守備陣をきりきり舞いにしたかと思えば、豪快にずっこけるようなミスをする、みたいな。それにしても、鳥栖からすれば簡単にフリーで裏抜けされていましたね。「誰もマークできてなくない?」みたいな抜け出し方が多くて、「守備組織構築のスペシャリストであるフィッカデンティにも筆の誤りがあるのかな?」と。

 

 

ただ、それは監督の責任としてしまうには酷でした。サッカーには監督にとってどうしようもない出来事が起きる。いやあ、審判がダメダメでした。主審も決して誉められたものじゃなかったですけど、ラインズマンがスタンドから見てもメチャクチャって、初めて見ました。これまで300試合くらいは現地観戦してきたと思いますが、マジで、初めて。オフサイドの判断、そこまで間違えますかね? 何よりボールがタッチラインを割ったかどうかくらいはちゃんと判断しようよ。そこまで難しい流れでもなかったんですから。

 

 

ウタカの裏抜けの背景には、このラインズマンさんのオフサイド判定があるような気がします。なのでウタカの突進を「個の凄さ」というには抵抗がありますが、塩谷の先制ゴールは、掛け値なしに「個の凄さ」です。監督にとってどうしようもないこと、それは「審判のミスジャッジ」と「個の凄さ」です。その2つに前半から鳥栖は苦しめられました。それにしても塩谷のシュートはえげつなかった。

 

 

 

■後半 

後半になっても鳥栖は審判と「個」に苦しめられます。まず、綺麗な流れからの完璧なシュートでネットを揺らしながらも、オフサイドか何かで取り消されました。正直、スタンドからでは実際にオフサイドなりファールなりがあったかどうかは確認できてませんでした。ただ、現場の皮膚感覚からすれば、なかなか納得しがたい取り消しでした。いつも思うのですが、サッカーのジャッジに「現場の皮膚感覚」って、とても大切。そことシンクロできない審判はダメです。

 

 

鳥栖にとって“弱り目に祟り目”となったのはフィッカデンティ監督の退場。ゴール取り消しに抗議してのもの。確かに執拗な抗議は退場の対象ではあるのですが、審判からすれば“身から出た錆び”ですからね、そこで逆ギレしてどうする。そうやって鳥栖が動揺しているうちに、したたかに広島はリードを広げます。迫力とズッコケが共生していたウタカが、ようやく歓喜をもたらします。もっとも、あれはあれでオフサイドだった疑惑がなくもない。

 

 

ここで、いったん、鳥栖はガクッときてしまいました。広島のペースとなります。その立役者は広島の2シャドーですね。スペースが出来たこともあり、俄然、躍動しはじめます。その帰結として、茶島が3点目のゴール。この時間帯は、前半から猛威を振るっていた、キムミヌと吉田という、鳥栖の右サイドコンビの距離感が悪くなっていた。広島2シャドーが躍動するから、キムミヌは下がりすぎてしまい、キムミヌが下がりすぎるからスペースを与えてしまうという悪循環。

 

 

それでも運動量のある選手を立て続けに投入することで鳥栖は落ち着きを取り戻す。そして、キッカーが2人いる鳥栖名物なトリッキーコーナーキックから谷口が決めて反撃の狼煙を上げると、ホームスタジアムの空気感はイケイケモードに激変。その後押しもあってキムミヌが1点差に追い上げるゴールを決めますが、そこからがチャンピオンチームの本領発揮。しっかりとゲームの雰囲気を引き締めた広島が、貫禄の逃げ切りを果たしました。

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

高橋義希

 

□推薦理由

この選手って、直前まで長野の高校の監督をしていた松本育男さんによって、ややもすれば「コネ?」って思われてしまいかねない入団の仕方をした選手ですよね。それくらい、この選手が入団した頃のサガン鳥栖というクラブは手弁当だった。それから、一時、ベガルタに移籍したりもしましたけど、ずっとチームの顔として鳥栖を支えています。前経営陣を退場して、そして、J1に上がってからの環境の変化に、最も感慨を抱いているのは、この選手なのではなかろうか。

 

 

この選手の良いところは、ハードワークと技術のバランスですかね。なんとなく、若い頃のイメージだと、どちらかというとレジスタ寄りのボランチだった印象もあるんですけど、近年はハードワーカーというイメージ。そういう意味では、少しキャラが長谷部とかぶらなくもない。よりイメージが近いのは、この試合で対面した青山敏弘かもしれないですが、ともあれ、“円熟味を増したハードワークのできるプレーメーカー”というのは貴重ですから、推薦に値するでしょう。