本シリーズは、2011年11月12月に書き散らしたものです。そういうものとしてお読みくださいませ。
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反町さんの続きです。11月26日、ホーム最終戦の平塚競技場には、「責任は監督だけじゃない」という横断幕が掲げてありました。それを見て、常々感じていた疑問が思い浮かびました。それは「どういう状態に陥れば監督は責任を取らなければならないのか? その客観的基準とは何か?」ということです。
「監督だけじゃない」という表現は、「大前提として監督に責任がある」という意味が込められているものと想像されます。では、今年(2011シーズン)の湘南の成績は“客観的に”監督が責任を問われなければならないようなものだったのか。ワタクシの結論を先取りして述べれば、責任にを問われても仕方ない数字だと思います。ただ、湘南サポの失望は、いくらか割り引いて考えなければならない要素もあるかと考えます。
同じようなことは、福岡についても当てはまります。アビスパは2011シーズン、J1に残留できなかったことにより、篠田監督と浅野監督という2人の功労者のクビを切りました。福岡フロントが下したこの判断は果たして妥当な判断と言えるのか? 別の言い方をすれば、「2011シーズンの福岡は、標準的な監督なら、もっとポジティブな結果になっていたはずだから、あの成績は監督が責任を取るべき、個人的失態だった」といえるのか、ということです。
例えば、徳島の美濃部監督。この監督はJ2参入以来、最下位近辺に低迷していたチームの成績を右肩上がりで引き上げ、ついに今年は昇格争いを繰り広げるところにまで導きました。勿論、弱者のメンタリティが染み付いたクラブに、勝ち癖を身に付けさせた功績を軽んじるつもりはありませんが、冷静に戦力、選手のラインナップを分析すれば、4位というのは「ごく当たり前の成績」という評価でも不当ではないかと思われます。すなわち美濃部さんのイメージがポジティブなのは、戦力に比して良い成績を収めたからではなく、右肩上がりだったからだと考えます。
ここで思い出すのが岡田武史氏(通称:岡ちゃん)がマリノス就任初年度に優勝したときの言葉。優勝の感想を問われた岡ちゃんは「本当は、1年目は3位くらいで、2年目とか3年目に優勝した方が、監督寿命は伸びるんだけど、初年度に優勝しちゃったから、来年以降が大変です」といった趣旨のコメントを発しました。
これは、なかなか真理を突いていると思うのです。つまりですね、サポーターや一部のフロントなんかは、ついつい直近の実績との比較で、監督を評価しがちなんだと思います。「去年5位だったから、今年はACLの権利を取れるだろう」みたいな。それも心情的には共感できなくもないのですが、監督の立場からすれば、こんな理不尽なことはない。
例えば、ある監督が本来ならJ2降格争いを避けられない戦力のチームを率いて6位くらいになったとしましょう。そして、特に補強をするわけでもなく、翌年は12位くらいになってしまった。そうした時、サポーターの中には「去年よりも6つも順位を落としたのだから、監督は更迭されて当然だ」との反応を示す人も出てくるでしょう。
しかし、冷静に戦力の絶対値を基準として評価すれば、残留できただけでも十全な結果と言えるわけです。仮に、その監督が13位→12位と成績を推移させれば、同じ12位であっても、「さすがは名将!」ってな評価を頂戴していたはずなんですね。
ある監督が神がかって好成績を収めたとしたら、翌年以降は、更に神がかり続けなければならない。これでは「奇跡のやり損」です。「奇跡が続けられないからダメ監督だ」なんて言われたら、たまったもんじゃありません。理不尽この上ない。
要するに、「監督の評価は直近の成績との比較ではなく、客観的な戦力値と実際の成績との比較の中で下すべきだ!」と主張したいわけですが、では、「客観的な戦力値」とは、如何にして求めるべきか。幣ブログでも時々述べるのですが、ワタクシは、けっこう原理主義的に資本主義社会を捉えています。つまり「経済的強者であるか否かと、社会的強者であるか否かは基本的に比例するはずだ」と。
だから、Jリーグの監督の評価も、そのクラブの補強予算(現場に投じる予算の総量)の順位と、実際の成績を比較して下すべきだと考えます。前年15位だったのを4位に引き上げたからといって、チームの補強費が全体で3番目だったら、その監督は失格ということになる。逆に、前年J1で8位だったチームを16位にしてしまい、J2降格を招いたとしても、そのクラブの補強費がJ1で最下位ならば、その監督は優秀な監督ということになる。
そう考えると、、、ちゃんと調べてないので迂闊なことは言えませんが、、、やっぱり反町さんの退任は妥当かもしれませんね。たぶん予算の順位より2011シーズンの成績は悪かったんじゃないでしょうか。ただ、それはそれとして、「去年J1にいたんだから昇格争いをして当然だ!」という基準で「反町監督には責任がある」とお考えの方がいらっしゃたとしたら、やはり、その論理には同意できません。
同じことは、日本代表にも言えて、「南アフリカでベスト16だったんだから、今回も最低でも決勝トーナメントに進出して当然だったはずだ!」という意見があるとするならば、ワタクシとして、その見解に与することはできないわけですね。日本代表の目標は、「日本は世界の中で何番目くらいにサッカー産業が経済的に成熟している国か?」という方向から考えていくべきだろうと思います。
というわけで、反町さんは典型的な「奇跡のやり損」監督だったのではないか、というお話でした。
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というわけで、ザックさんへのワタクシの評価は、「まぁまぁ」です。WCだけでいえば「5.05.5」。4年間トータルで見れば「5.56.0」ってところでしょうか。