オランダ代表の宿痾についてアレやコレや思いを馳せてみる【豪州vsオランダ】の周辺をウロウロと…★ワールドカップ各試合を振り返る★

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■オーストラリア 2 vs 3 オランダ[WCグループB 06月19日]

実況陣の話を聞いている限り、この日のポルトアレグレは随分と涼しかったらしい。そういうこともあってか、ただの玉砕かはしらないですけど、この試合のオーストラリアは、尋常じゃなくフォアプレスをかけていました。ただ、その玉砕プレスも、続くのはせいぜい最初の1520分。その証拠に、前半の18分にはロッベンに独走を許し、先制点を献上してしまいました。もっとも、これはロッベンが凄すぎましたけどね。まさにワールドクラスのスピード。

 

 

しかし、そこでケーヒルは怯みません。中盤のルーズボールをマクゴーワンがアバウトにロビング。それがペナルティエリア内にいたケーヒルの元に飛んでいくと、ケーヒルはダイレクトで強烈なドライブシュートを突き刺す。さすが2006年の日本代表を奈落の底に突き落とした男です。これで文字通り“振り出しに戻る”。試合の展開もいったんリセットされて、互いにロッベンの先制ゴール以前の状態のサッカーを繰り広げます。わりとイーブンな応戦。

 

 

前半の終了間際には、ケーヒルマルティンス・インディが交錯。マルティンス・インディはぶつけどころがあまり宜しくなかったらしく、軽い脳しんとうを起こしたのか、デパイとの交代を余儀なくされ、そのままハーフタイム。後半開始とともにオランダはデヨングをアンカー、デグズマンとスナイデルを2列目、トップに左からデパイ・ファンペルシー・ロッベンを並べた433にシステムを変更し、インディの退場をケアするとともに、勝ち越しを目指す。

 

 

しかし、先に2点目を挙げたのはオーストラリア。ハーフラインあたりでのFKからの流れで、途中出場したばかりのボサニッチがペナルティエリアに侵入。クロスがヤンマートの手にあたりPKを獲得すると、ジェディナクがきっちりと決めました。それでも、先制されたオーストラリアがケーヒルのゴラッソであっという間に追いついたように、勝ち越されたオランダもエースのファンペルシーが秒速で同点弾を蹴り込みます。このあたりは互いの意地ですな。

 

 

そして、試合を決めたのはオランダのデパイ。バイタル真ん中からのミドルシュートが突き刺さります。アウトにかかって、無回転のような弾道のシュートが飛んでいき、最後はドライブがかかる。あれはGKには絶対に防げない。試合そのものは、ここでほぼ決まる。終盤に地力に勝るチームに勝ち越されたのだから、オーストラリアとしては、なかなか厳しい。オランダとしては“苦戦”の範疇に入る試合でしたが、最終的には貫禄を見せつける結果となりました。

 

 

それにしてもオランダは苦戦しましたね。格下であっても圧勝できないのがリアクションサッカーの宿命といえなくともないですが、それにしても、それにしても。印象的だったのは、オランダの選手がとても実直だったこと。相手との力関係に左右されず、常にやるべきことをやる。“勤勉”を金科玉条とする日本人とすれば好感を持てるところでもありますが、逆に、それが「格下相手を転がしながら、ニタニタ勝つ」ってことを妨げているのかもしれません。

 

 

日本代表にも共通しますが、勤勉で実直な人間の集団というのは、往々にして、「臨機応変」とか、「ノリでのどうにかしてしまう」って能力が不足してしまう。もう一昔前になってしまいましたが、2002年に日韓ワールドカップという大会がありまして、そのときのオランダは本大会出場権を獲得できずアジアの端っこには来ていないのですね。このときの予選敗退なんかも、そういう“狂った歯車を修正する力”の足りなさがもたらした悲劇だったのかなって今更ながら思ってみたりして。