■ブラジル 0 vs 3 オランダ[WC3決 07月12日]
そうは言っても、前半の1分30秒でPK献上って・・・。蹴ったのはエースのファンペルシー。PKを獲得したロッベンではないんですね。“エースプレーヤー”ではなく、“エースストライカー”の役割と言うことでしょう、どこかの国とは違って。オランダは前半の15分にも得点。ロッベンのドリブルが起点となり、デグズマンがクロス。ダビドルイスが跳ね返したボールをフリーのブリントが拾って、やすやすとネットに突き刺しました。
ホント、準決勝以降のブラジルというのは余裕がない。無駄に前がかり。大局的に戦況を眺めるという雰囲気がまるでなくって、猪突猛進に攻め込むような感じ。どこかコンフェデのときのザックジャパンを彷彿とさせなくもない。それでも徐々にポゼッションを高めていくのですが、結局のところはオスカルの個人技に委ねるしかないって感じになってしまう。連動性がない。そして、連動性のなさを埋め合わせるだけのクラッキは手負いでピッチに立てない。
まぁ、これは今大会に限ったことでも、いわんやブラジル代表に限ったことでもないんですけど、総じて、チャンスの活路はセットプレー絡みということになる。流れの中からギャラリーを喜ばせるようなシーンはあまり作られることはなくハーフタイムを迎えます。そこで、フェリペは後半の10分までにドイスボランチをそっくり入れ替えますが、状況は改善されないどころか、いっそう深刻化。機能不全の前がかりで、まさに「オランダに攻めさせられている」。
その後の展開は残酷でした。ブラジルのポゼッション率、およそ60%。なんとも空しい60%。フッキの投入。彼が個で突破しようとすればするほど、チーム全体がオートマティックでないことが露呈されていく。残酷です。そして後半45分には大会を通じて最高の黒子を演じ続けてきたワイナルドゥムに神様の御褒美が与えられ、ブラジルから見れば3失点目。さらにロスタイムにはGK交代という余裕の策を見せつけられ、ブラジルとしては屈辱的な終幕を迎えました。
大会を通じての流れが悪くなっていたので、さしもの名将フェリペも立て直せませんでしたね。仕方ないっちゃ仕方ないところ。ただ、それを差し引いてもブラジルの出来は悪かった。キックオフ直後から、ずっとロッベンをフリーにしてしまっていましたし。ダビドルイスが前に行きすぎるんですよね。つられてパウリーニョも前へ前へになっていた。バイタル真ん中をグスタボ1人でカバーしなければならなくなっていた。でもグスタボはデグズマンのマークに忙しく。
逆にオランダとしては“おいしい展開”となりました。もともと今大会ではカウンターサッカーを基調としているチームですから、この日のブラジルみたく“バランス崩して攻めてくるチーム”は大好物。しかも先制した。好循環になるわけです。そもそもブラジルと違って中盤3枚のバランス感覚がすこぶる素晴らしかった。ワイナルドゥムが2.5列目っぽく23列目を往来し、デグズマンも1.5列目っぽく広範囲をカバーする。クラーシはクラーシで左右に活動的。セカンドボール争いで悉くオランダが優位に立っていたのだから、ブラジルといえども“手も足も出ない”になるのも頷るところです。