パスを繋がないもん勝ち〜町田vs金沢(4月13日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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え〜、今週は町田ですね。厳密には町田から。2週続けてのWヘッダー。もうね、どんなけ暇なんだと。

■前半

というわけで町田と金沢の対決だったわけですが、なんというか、J3のリアルがそこにありましたね。それは、知らない選手の中でポツポツ発見される知っている選手の名前から。例えば、金沢には保崎なんて選手がいました。左サイドバックとして堅実な働きを見せつつ。そして、逆側、町田の右サイドバックは星野。なんだか、とてもJ2じゃありません? しかも北関東界隈の。こういった選手たちが、貫禄を示してチームを支えている、それがJ3なのですな。ちなみに、星野と対面する金沢の左サイドバックは辻尾。そう、あのイケメン御曹司でございます。何も、こんなところでサッカーをしなくたって、生活に困ることはないであろうに。まあ、本人の人生ですからね、悔いなくやりきってもらいたいものです。

さて、試合の構図ですが、ツエーゲンを見ると、わりと手数を省略したサッカーをやっているように思われました。ロングボールを蹴るとか、相手のバランスが崩れたところで、スルスルスルとドリブルでボールを前に運ぶとか、そういう感じ。一方、町田については監督がご存知の相馬さん。いまだ名将か、ただの理論先行なのか判断をつけかねますが、若くて意欲的な監督さんですからモダンなサッカーを指向します。要するにパスサッカー。

で、繋ぐサッカーを指向するチームは、GKにもビルドアップを要求するなど、往々にして、低い位置でも短いパスで前にボールを運ぼうとする。この日の町田も、そんな感じ。

ただ、なかなかクリアというか、攻守の反転ができないのですよ。町田がボールを前に出しても出しても中盤で相手がスイープしてしまう。それだけ金沢のポジショニングバランスが良かったというのもあるんでしょうけど、町田にとってはリズムをつかみづらい前半となりました。

■後半

スタジアムに行くと、チームによってはマッチデープログラム的なフリーペーパーが貰えますよね。町田でも貰えるんです。そのフリーペーパーには「昇格候補対決」みたいな文字が躍っておりました。実際、両方ともに、昇格したとしても、決してサプライズにはならないだけの実力があるクラブです。特に中盤での攻防における互角感はなかなか見応えが充分でした。

このことを異なった角度から捉えると、中盤でのボール奪取力が互角なのだから、中盤で手数をかけて繋ごうとした方が不利だということです。ゆえに町田が全体として押されてしまう。しかし、サッカーとは面白いもので、町田は押し込まれたことで、クリアするのが精一杯となり、ロングボールが増える。そうするとかえって中盤でのボールロストが減って、徐々にリズムを掴み返すなんていう現象が発生するのですね。まさに、怪我の高名。

さらに町田は相馬監督の選手交代も当たります。後半の中頃、斎藤と戸高という若くて活気あふれる選手を同時投入すると、縦への推進力が増したことで、完全にペースを引き寄せてみせます。特に、左SHに入った戸高選手は良かった。「最近、よく似た選手を見たな」と思い出してみたところ、FC東京の武藤みたいなスタイルですね。小気味のよいドリブルで狭いところを突破する、みたいな。

ただ、ツエーゲンは信頼と実績の「縦に速いサッカー」ですから、やられっぱなしってことにはならない。互いにゴール前までは押し掛けながら、ゴールは奪えないってままタイムアップ。やはり、相手がミスしない限り、最後の最後は個のスキルとか、相手の意表を突く閃きとか、そういうプラスアルファというか、スーパーがないとゴールは決まらない。しかし、そこは、やはりJ3。互いにミスなく、かつキーパーが適切に仕事をすると、スコアレスで終わってしまうようです。

■日本代表への推薦状

□推薦者

・庄司悦大

□推薦理由

本論で述べたように、中盤を省略すればするほどチャンスが広がるっていう試合展開となり、埋没する中で途中交代となりましたが、町田がショートパスを繋ぐ丁寧なサッカーを追求するならば、そのキーマンとなる選手でしょう。

プレースタイルは古典的なレジスタですね。ボールをもらって、ミスなく受け手に優しいショートパスでリズムを作り、スペースを見つけるや、ワンタッチのミドルでサイドを変える、みたいな。名波みたいな選手です。

決してバルデラマではない。なぜなら、あらゆる局面に顔を出すから。サイドには積極的に開きますし、高い位置取りもする。守備のときもサボらす戻ります。それなりに運動量がありますから、そういう意味では現代風っちゃ、現代風。なんだかんだで望月重良みたいになっていくのかもしれません。ともあれ、パスの球質が綺麗なので、見ていて感心できる選手です。