サポーターの反応2ステージ制復活の周辺をウロウロと…/7

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ネット世論

Jリーグの2ステージ制移行構想が表面化して以来、サポーターの反応は「断固反対!」で一貫しております。しかも見事なまでに。それについてはネット上の多数派意見とも一致している。ワタクシの場合、よっぽどこことがない限り某巨大掲示板群をはじめとした、いわゆる‘掲示板’は見ません。あれを眺めるのって、けっこうエネルギーが要りますからね。一方で某コメント欄については、仕事の合間のサボリの延長で目に入れたりします。

あそこのコメント欄の意見に一定(以上)の偏向があることを重々承知の上で、読んでみますと、まあ、マスコミ批判と事務局批判の多いこと。曰わく、「2ステージ制の導入は、現執行部がJリーグを私物化し、独裁体制を築くための措置だ」とか、「オリンピック招致決定のタイミングで報道するのはJリーグ執行部とマスコミが結託しているからだ」とか。

いわゆる‘陰謀史観’とでも言いましょうか、「自分が気に入らない現象が発生するのは、誰か特定少数の悪者が、悪いことをやっているからだ!」という考え方。逆に言うと「悪い人がいなければ、世の中うまくいくはずだ」というお花畑思想。こういう基本的な発想がネット上に横行していることは、既に論じ尽くされておりますし、別に構わないんですけど、気になるのは、「カズが2ステージ制移行に一定の理解を示した」との報道がされるや、一斉に「カズは魂を売った」とか、「所詮、カズごとき…」というコメントが指示を集めたこと。こういう反応をみると、「あなたたち、本当にJリーグを愛し、Jリーガーをリスペクトしてますか?」という気持ちになる。

■怒りの本質

もちろん、スタジアムという現場でしっかりと意思表示をされた方々までもを含めて、全てがそうだ、と主張するつもりは毛頭なく、あくまで某コメント欄に限っての話ですけど、どうも2ステージ制に反対する意見を伺っていると、「この人、本当に‘1ステージ制のJリーグ’をちゃんと愛した上で、愛するものを失う危機感から反対意見を主張しているのかな?」って疑問を感じることがなくもない。

つまりですね、これはスタジアムに駆けつけて反対を主張されている方々の一部も含まれようかと思いますが、もはや、怒りの本質が「1ステージ制が失われること」にあるのではなくて、「自分たちの意見が尊重されないこと」というところにシフトしてしまっているのではなかろうかと感じるのですよ。端的に述べれば「自己承認欲求が満たされないこと」への不満ですね(「〈自己承認欲求〉の使い方が厳密ではない!」みたいな御批判は御容赦)。

再び某コメント欄に限定した話に戻しますが、どうも、あの手の‘ネット上で匿名主張する人々’というのは、「ネット上の世論(=自分たちの意見)は疑う余地もなく正しく、絶対的に尊重されるべきだ」と誇大妄想的に信じてしまっているように感じるわけですよ。簡単にいうと、「〈机上の正論=正義〉⇔〈大人の事情=悪〉」だと考えている。

とはいえ、自分が稼いだ給料で自分(たち)の生活を成立させなくてはならなくなると、〈机上の正論〉より〈大人の事情〉にプライオリティを置かないことにはしかたなくなる。しかし、日本の学校教育では、「〈机上の正論〉こそ大切にしなければなりませんよ」という価値観が刷り込まれるから、まだ社会人デビューしていない人たちは、〈机上の正論〉より〈大人の事情〉が優先される現実をみて「悪が栄えている」とか、「社会は腐ってる」とか感じるだろうし、社会人となっている我々も学校教育の刷り込みから自由になれない以上、どこかで釈然としない思いを抱えている(個人的には社会が悪いのではなくて、社会があたかもユートピアであるかのごとく刷り込んでしまう教育制度の方に問題があると考えていますが、それはともかく)。

今回の2ステージ制騒動は、もはや「1ステージ制が失われることへの怒り」というよりも、「理論上の正論が現実社会における経済原理に敗北することへの口惜しさ」とか、先に述べた「自分たちの意見が認めらんない(自己承認欲求が満たされない)ことへの不満」へと、怒りの本質が変わっているような印象を受けるのです。

■既にサポーターになっている人々への影響

で、いろいろここまで考えてくると、素朴な疑問が浮かんできます。それは、「ネット上、あるいは、スタジアムで反対意見を述べている人のなかで、2ステージ制への移行を契機として、本当にスタジアムに来なくなる人たちがどれくらいいるだろうか?」という疑問です。

この疑問には、2つの意味が込められていて、1つには、「ネット上でJリーグ執行部批判をしている人のうち、実際にスタジアムに足を運ぶ習慣のある人(=Jリーグビジネスに対しお金を払っている人)はどれくらいいるんだろうか?」という疑問で、もう1つは「スタジアムで反対意見を掲出するようなコアサポは、どうせ2ステージ制になっても、なんだかんだ文句を言いながらも、結局、スタンドに吸い寄せられるんでしょ!」という皮肉です。

つまり、今回、2ステージ制移行に反対している人たちって、結局、「どうせ来ないヤツ」と「それでも来るヤツ」の二種類に分類されて、だとしたら、事務局が、「そんな意見、さしあたり聞き流して、あとになってから、ひたすら謝っときゃよい」と判断したとしても、それは至極合理的ということになろうかと思うのですよ。

もちろん、「それでも来るヤツ」というのは、いわゆる「常連さん」ですので、その層に対する「お・も・て・な・し」を疎かにしてはいけません。なんでもかんでも「説明責任を!」っていう日本全国総クレーマー化に与同するつもりはサラサラありませんけど、必要な範囲内で‘意見交換会’とか‘説明会’という名のガス抜きの場を設定していくほうが、物事は進めやすくなるでしょう。ただし、サポーターはサポーターで、〈今は「それでも来るヤツ」よりも「ひょっとしたら来るかもしれないヤツ」を重視しなければならない段階である〉という部分に理解を示していかなければならないんじゃないかな、と思います。