地上戦のクオリティに差があったと思われます大宮vs名古屋(7月10日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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最近では、ヨーロッパだと「4231」が、Jリーグでは「3421」「3322」が流行していて、中盤ボックスの「442」って、すっかり肩身が狭くなりました。ただ、個人的にはには今なおボックス442って、重要な古典だと思うのですね。

そんなクラシカルな442同士の対決となった、この一戦。やはり、442というのは、よくできたシステムだなぁと再認識させられました。ワタクシはプレーヤー経験がないので確実なことは言えませんが、サッカーの基本って、〈真ん中で組み立ててサイドを崩す〉ってところにあるんだと思います。で、442というのは、その〈真ん中で組み立ててサイドを崩す〉を実践するのに最も適したシステムなんじゃないかなと感じます。

442の長所というのは、なんといっても流動性。2トップなりWボランチなりが開けば、サイドで数的優位を作れますし、SHがPAに侵入するのもスムーズ。だから、比較的〈クロスは上げたが、中に誰もいない〉になりづらい。この安心感というか淀みのなさは、観ている側にも非常に魅力的だと思います。

そんな442同士の対決ですと、〈2トップvs2人のCB〉の対決も見所になってくる。特にこの試合では、そこが面白かった。まずは‘ケネディvs菊池’のマッチアップですね。この対決は、戦前の期待を裏切らぬ肉弾戦が繰り広げらていました。ただ、この日はケネディの出来が今ひとつ。時間帯によっては、ケネディのところが絶好の‘取られポイント’になっていました。

逆側は、それ以上に迫力満点。名古屋CBコンビのフィジカルはJリーグでも屈指ですからね。この試合では増川ではなくダニエルが出ていましたが、‘闘莉王&ダニエル’であっても迫力は変わらない。それに対する大宮2トップは、‘ノバコビッチ&長谷川’、もうJリーグの基準を遙かに超過した大型コンビ同士のしばきあいとなるわけですよ。

いわゆる‘戦隊ヒーローもの’って、終盤になると、必ず悪の怪物が大型化し、それに対応し我らがヒーローたちもロボットを呼び寄せて、「じゃぁ、最初から大きくなった状態で戦えばいいじゃん!」って状態になりますが、なんだか、そんな感じ。

ただ、皮肉というか、こういう場合にはえてしてそうなってしまうのか、逆に両チームともに、相手の高さを過度に牽制してしまっていたらしく、‘闘莉王&ダニエルvsノバコビッチ&長谷川’の対決においては、むしろ地上戦が多かったように思います。‘闘莉王&ダニエル’を相手にするなら裏のスペースを突くというのが定石でしょうし、ノバコビッチは体型からしてラファエルっぽくて、背は高いけど、実際には足下の方を好むタイプっぽいので、必然っちゃ必然かもしれませんが。

得点シーンを振り返っても、空中戦的要素は皆無でした。大宮の2得点は共にショートカウンター。1点目は青木がノバコビッチにロングスルーパスを通してことで生まれたもので、2点目も青木のラストパスを長谷川が足で決めたゴール。それにしても青木、「東アジア選手権に帯同するんじゃないか?」なんて、まことしやかに噂されていますが、それも十分に納得できる大活躍でした。

一方、名古屋の先制点は中村直志の芸術的なミドルシュート。ちなみに両チームの、それぞれファーストゴールを決めた中村直志ノバコビッチは、後半、思いっきりぶつかり合って、両者とも負傷退場することとなりました。

どちらかに一方的な悪意があるようなものでは決してありませんでしたが、つっかかっていったのは中村。で、この中村、前半からフォアザチームの精神を体現するようにハードなディフェンスを見せていましたし、悪質か否かはさておき、結果的にノバコビッチが‘被害者’になるんですかね。

ともあれ、この2人の負傷退場への対応が、両チームベンチの成熟度を如実に表していました。20分あまりを残しながらもベルでニックは片岡を入れて5バックに移行し、実際、そのまま逃げ切った。一方のピクシーは、矢野や田中、さらにはヤキモフスキーなどアタッカーを次々と投入し、最終的には藤本と小川がWボランチを組むという超攻撃的布陣となりましたが、そういう中盤省力の人海戦術というのは、5バックで穴熊モードに切り替えた大宮からしてみれば、まさに‘飛んで火に入る夏の虫’。ピクシーらしいといえばそれまでですが、リードを奪われたときの‘したたかさ’が名古屋の課題になろうかと思います。

□日本代表への推薦状

・推薦者

楢崎正剛

・推薦理由

コンフェデにおける〈実力相応の結果〉に対して、世間の過剰反応が収まらず、おもむろに闘莉王待望論なんてものが喧しく議論されていますが、個人的には、「どちらでもよい」という感じです。この試合のパフォーマンスを見る限り、‘可もなく不可もなく’。

とはいえ、前回の川口や、2002年の秋田・中山みたいに感じで本大会直前にメンバー入りさせるのはアリかなとも思います。ただ、そういう役割は多く第3キーパーが担ったりするので、ならば楢崎が適役だろうと考えるところです。